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64.黒焔公爵家の伝説(2)
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「それで、アルノルト王子はどうなったのですか?」
「竜をその身に宿したことで、アルノルトは王位継承権を放棄して、臣籍に下ることになった。その際に、スノーデンに対してエルヴァリグルの王は、アルノルトによって救われたのだからアルノルトに統治させるべきだと主張したのだ」
救援を拒んだのにも関わらず、冷遇していた王子を利用するだなんて厚かましいわね……。
「それがきっかけで、両国の戦が勃発した。数で圧倒的に不利だったスノーデンが敗北し、残党たちが氷河山脈の更に北へと逃げ延びた。その際に、奪われたこの地が永久に雪と氷に閉ざされるよう呪いを掛けたのだという」
「永久に………ですか?でも……」
確かにこの公爵領の冬は長い。でも、きちんと雪が溶ける時期も僅かにあるという話だ。
「……今でもその呪いは生きている。スノーデンがこの地をさり、アルノルトがグロリオサ公爵としてこの地に正式に封じられたあと、数年は厳しい気候ながらも平穏な日々が続いていた。少しずつ移民も増えてきたが………アルノルトの体に異変が出始めた」
アデルバート様は、まるでその場にいらっしゃったかの様に言葉を紡いでゆく。
その表情は、何故か苦しげに見えた。
「アルノルトの青かった瞳が、赤く染まり、穏やかだった性格が徐々に残虐で凶暴になり、歯向かうものに対しては容赦ない振る舞いが目立つようになった。……それは、身の内に封印された炎の竜の魂が、アルノルトのそれと一体化した結果だった。アルノルトは、炎の竜を封印する器ではなく、炎の竜そのものに、変貌してしまったのだ。それに気がついた側近が、アルノルトを殺すように国王に進言をした」
「そんな……」
「仕方がなかろう。そのままにしておけば、スノーデンと同じ道を辿ることになるからな」
私は、アルノルト王子に同情した。何て過酷な運命を背負った人なのかしら。
「アルノルト王子は、どうなったのですか……?」
「アルノルトは、自ら命を絶とうと、城を出た。そして城下の街で、ある女性と出会った。ラトーヤという名前のその女性は、不思議な力を持った聖女だったそうだ」
「不思議な力って、まさか……」
私ははっとして、アデルバート様を見た。アデルバート様は、ゆっくりと頷く。
「お前と同じ、冬の嵐を止め、消えゆく命を再び芽吹かせる、春を呼ぶ魔法。ラトーヤは、その力故に異端の聖女という烙印を押され、王都から追放されてこの地に辿り着いたのだと言った」
何だか、ラトーヤという聖女の力だけでなく、境遇が私と被るような気がして、私は他人事だと思えなかった。
「竜をその身に宿したことで、アルノルトは王位継承権を放棄して、臣籍に下ることになった。その際に、スノーデンに対してエルヴァリグルの王は、アルノルトによって救われたのだからアルノルトに統治させるべきだと主張したのだ」
救援を拒んだのにも関わらず、冷遇していた王子を利用するだなんて厚かましいわね……。
「それがきっかけで、両国の戦が勃発した。数で圧倒的に不利だったスノーデンが敗北し、残党たちが氷河山脈の更に北へと逃げ延びた。その際に、奪われたこの地が永久に雪と氷に閉ざされるよう呪いを掛けたのだという」
「永久に………ですか?でも……」
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アデルバート様は、まるでその場にいらっしゃったかの様に言葉を紡いでゆく。
その表情は、何故か苦しげに見えた。
「アルノルトの青かった瞳が、赤く染まり、穏やかだった性格が徐々に残虐で凶暴になり、歯向かうものに対しては容赦ない振る舞いが目立つようになった。……それは、身の内に封印された炎の竜の魂が、アルノルトのそれと一体化した結果だった。アルノルトは、炎の竜を封印する器ではなく、炎の竜そのものに、変貌してしまったのだ。それに気がついた側近が、アルノルトを殺すように国王に進言をした」
「そんな……」
「仕方がなかろう。そのままにしておけば、スノーデンと同じ道を辿ることになるからな」
私は、アルノルト王子に同情した。何て過酷な運命を背負った人なのかしら。
「アルノルト王子は、どうなったのですか……?」
「アルノルトは、自ら命を絶とうと、城を出た。そして城下の街で、ある女性と出会った。ラトーヤという名前のその女性は、不思議な力を持った聖女だったそうだ」
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