黒焔公爵と春の姫〜役立たず聖女の伯爵令嬢が最恐将軍に嫁いだら〜

玉響

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70.疑念

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「彼が………スネーストルム………?」

そんなはずはない。だって、彼はスネーストルムによって両足を潰されて、瀕死の状態だった。
アルヴァを庇う理由はないけれど、悪い人には見えなかったわ……。
勿論、スネーストルムが全て悪と言う訳ではないのは分かっている。でも、彼らはリーテの村の人達を殺した。どんな理由があったとしても、尊い命を奪ったその行為は、悪だと思う。

「お前が、あの男を見つけたときに魔法の気配があったのが気になった。もしかしたら、氷の魔法の影響なのかと思い、野営地こちらに身柄を移すように指示をした」

魔法の気配?…ろ私は全然感じなかった。

「その魔法の気配とは、スネーストルム独特のものなのですか?私には、何も感じませんでしたが………」
「そうだな。その魔法の属性により、気配は異なるから、スネーストルム独特と言えばそうなのだろう。お前が、治癒魔法を使い、氷魔法の影響を完全に取り払った後も、あの男から感じるのは、氷魔法の気配だ」

アデルバート様はそう断言する。
魔力が強いせいなのか、炎の竜の力なのかは分からないけれど、アデルバート様は魔力に敏感に反応されるようだ。
氷魔法の使い手は確かに少ない。知識としては頭に入っているけれど、実際に目にしたのは、アデルバート様の従兄妹のモーリス侯爵令嬢が初めてだった。

「ただ、スネーストルムだという確信が持てなかった。魔法の気配が薄かったからな。……だが、お前があの男を蘇生させてくれたお陰で、疑念が確信に変わりつつある」
「助けて……良かったのですか?」

私は、聖女だ。
目の前に、困っている人がいれば、敵味方関係なく救いの手を差し伸べる事が仕事だと叩き込まれている。
だから、仮にアデルバート様が止めたとしても、アルヴァを助けようとした筈だ。
でも、アルヴァがスネーストルムなら、アルヴァはアデルバート様の敵に他ならない。

「お前なら、そうするだろう?……それに、もしかしたら本当にリーテの村の生き残りだったかもしれないからな」

アデルバート様は、おもむろに右手を前に差し出し、詠唱する。

陽炎ミラージ・ナド・ダローゴイ

すると、アデルバート様の掌の上に、黒色の炎が浮かび上がった。
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