国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

23.乱入者

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レベッカとベルナルドの間には、縁談があったのだろうか。
それとも、彼女もまた、ベルナルドと関係を持っている女性の一人なのだろうか。
しかし、その事実を確認する術を、アルフォンシーナは持っていない。
それに、この場でそれを問い詰めた所で、何も利益になることはないだろうし、騒ぎ立てることで、更にレベッカを怒らせてしまう可能性もある。

そう思案している間も、アルフォンシーナに対して罵声を浴びせ続けるレベッカに対して反応するのは得策ではないと判断し、アルフォンシーナは唇を引き結ぶと、僅かに目を伏せた。

「聞いているの?!そうやって私を莫迦にしているんでしょうっ?本当に何が『国一番の淑女』よ?反論の一つも出来ない、ただの出来損ないじゃない!」

ヒステリックに叫び続けるレベッカの言葉は存外簡単に受け流す事が出来たが、それよりも折角の舞踏会に水を差す形になってしまったことが申し訳なかった。
気分が悪い、と言って休憩室に移動すれば、この場は収まるかもしれない。
実際に朝からの様々な出来事でアルフォンシーナの心は疲弊していた。
おそらく今こうしてしっかりと立っていられるのは、気が張り詰めているからだろう。

アルフォンシーナは小さく深呼吸をし、退出を申し出ようとした、その時だった。

「そこまでになさい、ベッリーニ侯爵令嬢」

突然、二人の間に一人の老年の貴婦人が割って入った。
途端に周囲で事の成り行きを興味本位で見ていた者たちからどよめきが起こった。

「…………っ、ヴァレンツィ公爵夫人…………」

それまで勢いよくアルフォンシーナを罵っていたレベッカは、老貴婦人の名を口にし、気不味そうに押し黙った。
アルフォンシーナの方も、老貴婦人の突然の介入に驚きを隠せなかった。

彼女はカッサンドラ・ヴァレンツィ。
初代国王の弟を祖とする、歴史ある公爵家の夫人であり、現国王の伯母に当たる女性だ。
また、齢五十を過ぎた今でも社交界に於いて多大な影響力を持つ実力者である。
いくら勢いのあるベッリーニ侯爵家の令嬢といえども、彼女には到底太刀打ちはできないだろう。

「一体何の騒ぎかと思って来てみれば………。これは国王陛下主催の舞踏会ですよ?みっともない真似をして………恥を知りなさい」

決して大きくはない、けれども凛としてよく通る声に、その場は完全に支配された。
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