国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

22.レベッカ

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「わたくしは、そんなつもりはありません」

 思いも寄らない言いがかりに、アルフォンシーナは驚いて、慌てて首を横に振った。

『国一番の淑女』という二つ名も、アルフォンシーナ自身は畏れ多いと感じているし、仮に周囲がそう認めてくれているとすれば、それはアルフォンシーナをそう育ててくれた両親のお陰だと思っていたからだ。
 それなのに、まるでアルフォンシーナ自身がそう呼ばれる事を望んでいるかのように思われるのは心外だった。

「そんなつもりはない?何を言っているの?そんな訳ないでしょう?」

 また一歩、レベッカがアルフォンシーナに躙り寄る。
 物凄い圧力を感じて、アルフォンシーナは反射的に一歩後ろに下がった。

「『国一番の淑女』なんて呼ばれて、お高く止まっているくせに、肝心の夫からは見向きもされないだなんていい笑い者ねぇ?」

 わざとらしく笑い声を上げるレベッカだったが、彼女の目は全く笑っていなかった。

「………一体、何故わたくしにそのような事を仰るのです?」

『夫に見向きもされない』という事実を指摘されて、アルフォンシーナは惨めな気持ちになったが、それでも怯むことなく、毅然とした態度でレベッカに立ち向かう。
 何故突然、良く知りもしない令嬢から、このような場所で詰られなければいけないのか。
 自分がそのように責められる理由が、思い当たらなかったからだ。

 するとレベッカは、より一層目を吊り上げ、険しい顔つきになった。

「……………どうして、ですって?」

 レベッカの声が、一段階低くなった。
 何故自分を責め続けているレベッカの方が怒っているのだろう。
 アルフォンシーナは慎重に、レベッカの出方を窺う。

「ベルナルド様の妻になるのは、この私のはずだったのに!それなのに、どうしてあなたなんかが!!一体、どうやって国王陛下に取り入ったのよ?!」

 アルフォンシーナを詰るうちに興奮してきたレベッカは、今が舞踏会の最中だという事を忘れ、大声で叫び始めた。
 周囲もざわつき始め、その場にいる者たちがアルフォンシーナ達に注目し始める。

「レベッカ様………」
「馴れ馴れしく呼ばないで頂戴!あなたなんか、早く離縁されればいいのよ!!」

 何とかレベッカを宥めようとするが、彼女はアルフォンシーナの言葉に全く耳を貸そうとしなかった。
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