国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

24.公爵夫人の采配

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公爵夫人の指摘は尤もだった。
そして、このような騒ぎに発展したのは、自分が上手く立ち回れなかったせいだ。
アルフォンシーナはゆっくりと腰を落とし、頭を垂れた。

「舞踏会の品位を貶めるような真似をして、申し訳ございませんでした。心よりお詫び申し上げます」

ヴァレンツィ公爵夫人に劣らぬ、凛とした声が静まり返った広間に響いた。
集まった貴族達の視線が自分に集中しているのを感じ、アルフォンシーナは恥ずかしくなる。
しかし、ヴァレンツィ公爵夫人はちらりとアルフォンシーナの方を見ただけで、すぐにレベッカの方を見据える。

「わたくしは、ベッリーニ侯爵令嬢に言っているのです」

名指しされたレベッカは、びくりと肩を揺らした。
先程までの威勢の良さはすっかり鳴りを潜め、蛇に睨まれた蛙のように小さくなっている。

「あなたのその耳は、お飾りですか?それとも、わたくしとは口を聞きたくないとでも?」
「あ………いえ………、そんなことは…………」

消え入りそうな程に小さな声で、レベッカは答える。
しかしその言葉はしどろもどろで、何を言っているか分からなかった。

「わたくしは、自分のすべきことをやらない者は、嫌いですよ」

ヴァレンツィ公爵夫人の鋭い視線と声音に、レベッカは今にも泣き出しそうな表情を浮かべた。

「も、申し訳………ありませんでした!」

何度も何度も、ペコペコと頭を下げながら謝罪の言葉を叫ぶレベッカだったが、ヴァレンツィ公爵夫人は険しい表情を崩すことはなかった。

「謝罪すべき相手は、わたくしではないわ。主催者である陛下と、この場にいる全ての貴族。………そして何より、シルヴェストリ侯爵夫人に対してでしょう」

はあ、と呆れ顔で溜息をつくと、ヴァレンツィ公爵夫人はゆったりとした動きで踵を返した。

「あの、ヴァレンツィ公爵夫人。助けて頂き、ありがとうございました」

ドレスので裾を握りしめ、ぶるぶると肩を震わすレベッカに、これ以上関わりたくないとでもいうようにさっさと立ち去ろうとするヴァレンツィ公爵夫人に対し、アルフォンシーナは慌てて声を掛けた。

「別に、あなたを助けようとしたわけではありませんよ。………わたくしは自分本気でしか動かない者も、嫌いなのです」

ヴァレンツィ公爵夫人はつん、と顎を上げて素っ気無い態度を取った。
しかし去り際に、アルフォンシーナに見えるように、小さく片目を瞑ったように見えて、アルフォンシーナは微かに微笑んだのだった。
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