国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

82.夫婦の再会

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 ヴァレンツィ公爵夫人と別れたアルフォンシーナは、一人で廊下の更に奥へと進んでいった。
 辺りに照明などは一切なく、夜の闇が訪れる者を誘い込んでいるような気にさえなるほどに、暗かった。

 本当にこの先の部屋に、ベルナルドがいるのだろうか。
 仮に彼に会えたとしても、何と伝えたら良いのだろうか。
 ビアンカの為に急がなければと思う反面、不安が大きくなればなるほどに足取りは重くなる。

 今回の出来事を知ったベルナルドが激怒するのは目に見えている。
 けれども彼の力を借りなければ自分の大切な侍女一人すらも助けることが出来ない。
 アルフォンシーナは自分の無力さと愚かさを痛感した。

 そうこうしているうちに、暗闇の中に浮かび上がる大きな扉が見えてきた。
 重厚な造りのその扉は、殆ど訪れることのない空間にあるせいなのか、近寄りがたい、厳かな雰囲気を醸し出している。

「……………」

 これが、ヴァレンツィ公爵夫人が言っていた部屋に違いない。
 アルフォンシーナはその扉の前までやってくると、足を止め、徐ろに扉を見つめた。

 心の準備の出来ぬままに辿り着いてしまったが、この扉の向こう側に、本当にベルナルドがいるのだろうかーーー。
 不安に駆られながらも、とにかく早くしなければという思いに突き動かされ、アルフォンシーナは自分を落ち着かせるように何度も深呼吸を繰り返す。
 それからじっと扉を見つめ、意を決したかのように、扉に近づいたかと思うと、目の前に立ちはだかる大きな扉を叩いた。

 しかし、中からは返事はおろか、物音一つすらも返っては来なかった。

(………やはり、こちらに旦那様はいらっしゃらないのかしら…………)

 そアルフォンシーナは胸の奥がずきりと痛むのを感じたが、それに気が付かないふりをして、ゆっくりと真鍮製のドアノブにてをかけようとしたーーーー、まさにその瞬間。

「何者だ!」

 突然、扉が内側から勢いよく開いた。
 それと同時に、今まで聞いたこともないくらいに厳しい、ベルナルドの声が響き渡った。

「あ…………っ」
「え…………っ?!」

 突然の事態に、アルフォンシーナは驚いて固まった。
 しかし、扉を開けた側であるベルナルドもまた驚きのあまり、言葉を失ったまま、ただアルフォンシーナを見つめたのだった。
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