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本編(アルフォンシーナ視点)
92.ベルナルド帰還の知らせ
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結局事態が動いたのは、ビアンカが行方不明になってから十日が過ぎた日の夜になってからだった。
その日も、一日中ベルナルド達の帰りを待ち侘び、窓辺から離れることなく知らせが届かなかった事に落胆したアルフォンシーナがそろそろ休もうかとしていると、いつもは冷静なソフィアが、慌てた様子で部屋に飛び込んで来た。
「奥様!たった今…………、旦那様がビアンカを連れてお戻りになられたと………!」
「旦那様がっ?」
聞いただけでも分かるくらいに、ソフィアの呼吸は乱れていた。それだけソフィアも動揺しめいるのだろう。
ソフィアの報告に、アルフォンシーナは思わず立ち上がると、ソフィアのほうへと歩み寄った。
「旦那様は、どんなご様子なの?ビアンカは?怪我なんかはしていなかった…………?」
自制しなければ、と思うのに
口を開けば矢継ぎ早にソフィアに質問をするが、ソフィアは困ったように首を横に振った。
「………申し訳ございません。私も詳しくは存じておらず、それ以上のことは………。ただ、急ぎ旦那様の執務室へ奥様をお連れするようにとのことだけでしたので………」
少し肩を竦めるソフィアに、アルフォンシーナは気不味そうに苦笑いを浮かべた。
「………そう。そうよね………」
そして、まるで自分に言い聞かせているかのように、アルフォンシーナは静かに呟いた。
正直なところ、ソフィアを問い詰めても仕方ない事は分かっていた。
だが、一刻も早くベルナルド達の様子を知りたくて、仕方がない。
期待と不安が入り混じり、アルフォンシーナはそわそわとしてしまう。
(………でも、考えてみれば寝室ではなく執務室にいらっしゃるのだから、少なくとも旦那様はご無事なのよね………)
分からないながらに、あれこれと思案することしか出来ないことが、もどかしかった。
とにかく一刻も早くベルナルドに会わなければ、何も分からない。
アルフォンシーナはほんの少しドレスの裾を持ち上げると、真っ直ぐソフィアを見据えた。
「……………では、すぐに旦那様のいらっしゃる執務室へ、案内してくれるかしら………?」
遠慮がちに、アルフォンシーナがそう切り出す。
するとソフィアはアルフォンシーナの言葉をしっかりと噛みしめるかのように目を伏せたかと思うと深く、はっきりと頷いた。
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「旦那様がっ?」
聞いただけでも分かるくらいに、ソフィアの呼吸は乱れていた。それだけソフィアも動揺しめいるのだろう。
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口を開けば矢継ぎ早にソフィアに質問をするが、ソフィアは困ったように首を横に振った。
「………申し訳ございません。私も詳しくは存じておらず、それ以上のことは………。ただ、急ぎ旦那様の執務室へ奥様をお連れするようにとのことだけでしたので………」
少し肩を竦めるソフィアに、アルフォンシーナは気不味そうに苦笑いを浮かべた。
「………そう。そうよね………」
そして、まるで自分に言い聞かせているかのように、アルフォンシーナは静かに呟いた。
正直なところ、ソフィアを問い詰めても仕方ない事は分かっていた。
だが、一刻も早くベルナルド達の様子を知りたくて、仕方がない。
期待と不安が入り混じり、アルフォンシーナはそわそわとしてしまう。
(………でも、考えてみれば寝室ではなく執務室にいらっしゃるのだから、少なくとも旦那様はご無事なのよね………)
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とにかく一刻も早くベルナルドに会わなければ、何も分からない。
アルフォンシーナはほんの少しドレスの裾を持ち上げると、真っ直ぐソフィアを見据えた。
「……………では、すぐに旦那様のいらっしゃる執務室へ、案内してくれるかしら………?」
遠慮がちに、アルフォンシーナがそう切り出す。
するとソフィアはアルフォンシーナの言葉をしっかりと噛みしめるかのように目を伏せたかと思うと深く、はっきりと頷いた。
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