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本編(アルフォンシーナ視点)
257.慟哭
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意外なことに無礼極まりないアルフォンシーナの言葉に腹を立てることなく、ベルナルドは引き上げていった。
その様子から、やはり彼は自分に、何の未練もないのだと再認識する。
いや、それ以上に離婚の成立のために必要な自分のサインを手に入れた事で、今だけは上機嫌なのかもしれない。
しかし一方のアルフォンシーナはというと、ベルナルドの見送りなど出来る訳もなく、彼が立ち去ったのを確認すると応接室を出て、一目散に自分の部屋へと戻った。
そしてそのまま床に崩れ落ちると、溢れ出る感情をそのままに、涙を流す。
それは『国一番の淑女』と謳われる淑女の振る舞いとしては、ありえない行動だったが、今はもう我慢出来そうになかった。
「………どうして…………、………どうして………っ!」
唇を戦慄かせ、慟哭した。
もう、何もかもどうでも良かった。
いっそのこと、このまま窓から身投げをしてしまいたいという、衝動にすら駆られる。
悔しくて、悲しくて、どうしようもなくて、アルフォンシーナはまるで幼子のように泣きじゃくった。
それは、ベルナルドへの想いが叶わないこと、そして、自分自身の気持ちを彼に伝えることが出来ないことへの絶望と苛立ちで、感情が爆発してしまったからだった。
つまらない我慢などせずに、素直に彼に自分の気持ちを伝えればいい。
痛いほどに分かっているにもかかわらず、どうしても出来ない。
気持ちを伝えようとしても、肝心の言葉が喉の奥に引っかかったかのように詰まってしまって、全く出てこなかった。
それが淑女教育の影響なのか、それともアルフォンシーナの自尊心が邪魔をしているのかは、アルフォンシーナには分からなかった。
しかも、狂おしいほどのその気持ちがベルナルドに伝えられたとしても、彼が自分の想いを受け入れてくれることはない。
憐れみの視線を向けられ、上辺だけの優しさを与えられるだけに決まっている。
それがまた苦しくて、感情を抑え込もうと、アルフォンシーナは強く両手を握りしめた。
するとたった今、ベルナルドが丁寧過ぎる程に丁寧に手当てしてくれた右手の傷が自己主張をするかのように、ずきりと痛んだ。
「…………っ」
漏れ出た嗚咽は、虚しく部屋の静寂に溶けていった。
その様子から、やはり彼は自分に、何の未練もないのだと再認識する。
いや、それ以上に離婚の成立のために必要な自分のサインを手に入れた事で、今だけは上機嫌なのかもしれない。
しかし一方のアルフォンシーナはというと、ベルナルドの見送りなど出来る訳もなく、彼が立ち去ったのを確認すると応接室を出て、一目散に自分の部屋へと戻った。
そしてそのまま床に崩れ落ちると、溢れ出る感情をそのままに、涙を流す。
それは『国一番の淑女』と謳われる淑女の振る舞いとしては、ありえない行動だったが、今はもう我慢出来そうになかった。
「………どうして…………、………どうして………っ!」
唇を戦慄かせ、慟哭した。
もう、何もかもどうでも良かった。
いっそのこと、このまま窓から身投げをしてしまいたいという、衝動にすら駆られる。
悔しくて、悲しくて、どうしようもなくて、アルフォンシーナはまるで幼子のように泣きじゃくった。
それは、ベルナルドへの想いが叶わないこと、そして、自分自身の気持ちを彼に伝えることが出来ないことへの絶望と苛立ちで、感情が爆発してしまったからだった。
つまらない我慢などせずに、素直に彼に自分の気持ちを伝えればいい。
痛いほどに分かっているにもかかわらず、どうしても出来ない。
気持ちを伝えようとしても、肝心の言葉が喉の奥に引っかかったかのように詰まってしまって、全く出てこなかった。
それが淑女教育の影響なのか、それともアルフォンシーナの自尊心が邪魔をしているのかは、アルフォンシーナには分からなかった。
しかも、狂おしいほどのその気持ちがベルナルドに伝えられたとしても、彼が自分の想いを受け入れてくれることはない。
憐れみの視線を向けられ、上辺だけの優しさを与えられるだけに決まっている。
それがまた苦しくて、感情を抑え込もうと、アルフォンシーナは強く両手を握りしめた。
するとたった今、ベルナルドが丁寧過ぎる程に丁寧に手当てしてくれた右手の傷が自己主張をするかのように、ずきりと痛んだ。
「…………っ」
漏れ出た嗚咽は、虚しく部屋の静寂に溶けていった。
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