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本編(アルフォンシーナ視点)
291.笑顔
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遊び人侯爵として名を馳せているベルナルドが、女性の扱いには慣れているのは当然の事だ。
だが、気を引くためだったとしても、いくら何でもこれはやり過ぎではないだろうか。
それとも、彼にとってはこれが『普通』なのだろうか。
アルフォンシーナが反応に困っていると、ベルナルドは不安そうに彼女の顔を覗き込んできた。
「やはり、気に入らなかったのではないか?ならば、あなたの好みに合わせて、全て買い換えた方がいいな」
「い、いえ!そうではないのです!」
またしてもとんでもないことを言い出すベルナルドを慌てて止めると、アルフォンシーナは小さく咳払いをした。
「とても素敵だと、思います。………ですが何も全てを新しいものに買い換える必要はなかったのではないかと………。以前使っていたものも、とても上質な品で、わたくしはとても気に入っていたので………」
ベルナルドを傷付けないように新調に言葉を選びながら、アルフォンシーナは自分の気持ちを説明する。
「………すまないが、前のものは全て処分してしまった。あの時用意したものは、とにかくあなたのために最高の品を用意しただけで、あなたの好みに合わせたものではなかったからな。本当は、あなたの好みに合わせたかったが、パルヴィス伯爵夫妻………あなたのご両親が、頑なに拒否したため、致し方なかったのだ。………今回のものは、ソフィアやレベッカに話を聞いて、あなた好みのものを選んだつもりなんだ」
前半は申し訳なさそうに、そして後半はどこか照れ臭そうに、ベルナルドは呟いた。
それを聞いて、アルフォンシーナは驚いた。
両親が結婚前にベルナルドに対してそのような態度を取っていたこともだが、ベルナルドがそんな思いで家具を選んでくれていただなんて、思ってもみなかったからだ。
「………それは、両親が大変失礼を致しました」
特段ベルナルドが気を悪くしている感じはなかったが、それでも申し訳なくて、アルフォンシーナは両親の非礼を謝罪した。
「それから…………ありがとうございます」
続けて感謝の言葉を伝えると、ベルナルドは意外そうに眉を片方、跳ね上げた。
「そんな風にわたくしのことを気遣ってくださっていたことが、嬉しいのです」
ふわりと微笑むと、ベルナルドは口元に手をやり、赤面しながら視線を逸らす。
「………そんな顔をされると………」
小声でそんな事を呟いたが、幸か不幸か、アルフォンシーナの耳には届かなかった。
だが、気を引くためだったとしても、いくら何でもこれはやり過ぎではないだろうか。
それとも、彼にとってはこれが『普通』なのだろうか。
アルフォンシーナが反応に困っていると、ベルナルドは不安そうに彼女の顔を覗き込んできた。
「やはり、気に入らなかったのではないか?ならば、あなたの好みに合わせて、全て買い換えた方がいいな」
「い、いえ!そうではないのです!」
またしてもとんでもないことを言い出すベルナルドを慌てて止めると、アルフォンシーナは小さく咳払いをした。
「とても素敵だと、思います。………ですが何も全てを新しいものに買い換える必要はなかったのではないかと………。以前使っていたものも、とても上質な品で、わたくしはとても気に入っていたので………」
ベルナルドを傷付けないように新調に言葉を選びながら、アルフォンシーナは自分の気持ちを説明する。
「………すまないが、前のものは全て処分してしまった。あの時用意したものは、とにかくあなたのために最高の品を用意しただけで、あなたの好みに合わせたものではなかったからな。本当は、あなたの好みに合わせたかったが、パルヴィス伯爵夫妻………あなたのご両親が、頑なに拒否したため、致し方なかったのだ。………今回のものは、ソフィアやレベッカに話を聞いて、あなた好みのものを選んだつもりなんだ」
前半は申し訳なさそうに、そして後半はどこか照れ臭そうに、ベルナルドは呟いた。
それを聞いて、アルフォンシーナは驚いた。
両親が結婚前にベルナルドに対してそのような態度を取っていたこともだが、ベルナルドがそんな思いで家具を選んでくれていただなんて、思ってもみなかったからだ。
「………それは、両親が大変失礼を致しました」
特段ベルナルドが気を悪くしている感じはなかったが、それでも申し訳なくて、アルフォンシーナは両親の非礼を謝罪した。
「それから…………ありがとうございます」
続けて感謝の言葉を伝えると、ベルナルドは意外そうに眉を片方、跳ね上げた。
「そんな風にわたくしのことを気遣ってくださっていたことが、嬉しいのです」
ふわりと微笑むと、ベルナルドは口元に手をやり、赤面しながら視線を逸らす。
「………そんな顔をされると………」
小声でそんな事を呟いたが、幸か不幸か、アルフォンシーナの耳には届かなかった。
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