国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

292.気遣い

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その日以降、ベルナルドは時間さえあればアルフォンシーナと共に屋敷で過ごすようになった。

ベッリーニ侯爵が隣国ラパロ王国と手を組んで起こした一連の事件の後処理で、かなり多忙なはずなのに、毎日日暮れ前には屋敷へと戻り、必ず晩餐は一緒に摂り、その後も可能な限りアルフォンシーナの為に時間を割いてくれた。

もしかしたら、それは今までの罪滅ぼしだという気持ちも、ベルナルドの中にはあるかもしれないが、それでもアルフォンシーナは嬉しかった。
それと同時に、多量の仕事をたった一人で熟す彼の身体が心配でもあった。
彼の能力については、全く心配していないが、そうは言っても、諜報のような肉体労働とは違い、残務については主に頭脳労働だが、ベルナルドは頭の回転も速いし、冷静に物事を判断し、的確に動くことも出来るだろう。
それに数日程度であれば、睡眠を取らずとも仕事をすることも可能だ。
だが彼とて、生身の人間だ。
いくら人間離れした能力を複数持っていたとしても、無理を続ければ、いずれは倒れてしまうだろう。

「………ベルナルド様。ここのところお忙しいようですが………きちんと、休めていますか?」

食後のお茶の時間。
アルフォンシーナは徐ろにベルナルドに尋ねた。
するとベルナルドは一瞬考え、それからゆっくりと頷いた。

「………ああ」

とても短く、簡潔にベルナルドは答えた。

「……私の事よりも、あなたはどうなのだ?以前に比べて随分と痩せてしまって、ドレスのサイズが合わなくなってしまったのと、ソフィアから聞いたが………」

深い瑠璃色の双眸を、アルフォンシーナへと向ける。
思いがけない話題を振られ、アルフォンシーナは一瞬、面食らったように息を呑んだ。
それから目を瞬き、少し考えた。

(………ご自身の事については、答えたくないから敢えて質問を質問で返すような真似をなさったのかしら………?それとも、ベルナルド様にとっては、やはりあの程度の仕事は大したことはないということなのかしら………)

じっと彼を見つめる。
だが、ベルナルドの真意を読み取ることは、出来なかった。
ただ分かるのは、ベルナルドがアルフォンシーナの体調を、ひどく心配しているらしい、ということだけだった。
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