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第一部
第一章 とりあえず責任者よ出てこい!!!⑨『異世界じゃん!!』
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九
「そろそろ街に着きます。」
馬車内に従者の壮年の男の声が響く。
居心地の悪い空気から逃げるように、沢崎直は窓から外の景色を見つめた。
あれほど茂っていた木々は既になく、整った街道には他の通行人や馬車の姿も見える。
視界に入る全ては、沢崎直が二十五年で見慣れてきたモノとは別物だった。
(……ちょっと、待って。もしかして、これって……。)
沢崎直の心に芽生える一つの答え。
それを何度も否定して考察して矯めつ眇めつ眺めてみて、ようやく確信に到る。
(異世界じゃん!!)
(私、異世界転生しちゃってんじゃん!!!)
(それも見知らぬイケメンになってんじゃん!!!)
「……あのー?」
目の前に座るご令嬢が話をしたそうにしているが、今、それどころではない。
声にこそ出さないが、沢崎直は心の中で絶叫し続けていた。
(だって、よく考えれば変だもん。夢じゃなければ、異世界じゃん!!)
(私死んだはずだし!死んだはずなのに、もう一回死にそうになるし!!イケメンだし!)
(目の前のこの人だって、絶対日本語喋ってなさそうだけど、言葉通じてるし!!)
(テーマパーク以外に馬車的な物なんてないし!!あったとしても、外国だし!!)
(外、見たことない景色だし!!よく見たら、このご令嬢、ほっそい剣持ってるし!!)
「その、……なんとお呼びすればいいかしら?」
(知らんし!!こっちが聞きたいし!!)
「……。」
心の中の絶叫を言葉にする不作法だけは必死に押しとどめ、沈黙を続ける。
「……騎士様とお呼びしてもよろしいですか?」
「えっ!?」
(剣も持ってないけど?)
よく分からないが、目の前のご令嬢が沢崎直のイメージから呼び方を決定したらしい。まだこの身体になって全身を確認したことがないのだが、騎士に見える何かしらがあるのだろうか?たとえ帯剣していなかったとしても。
「騎士様。」
上目づかいに頬染めて、ご令嬢が呼びかけてくる。
「えーっと、私は何とお呼びすれば?」
便宜上必要な呼び名を尋ねる。相手が伯爵令嬢である以上、失礼があってはならない。ここが、想像通りの異世界ならば、今までの常識は通じないと考える方がいい。慎重に慎重を重ねていかなくてはならない。沢崎直は改めてその事実を心に刻んだ。
「何とでもお呼びください。」
期待に溢れた返答。
さて、酷く難しいクイズを出されてしまったようだ。
「えーっと……。」
イケメンとして生きてきた経験値がゼロ過ぎて、正解が全く分からない。果たして、イケメンというのはどこまでの失礼が許されて、勘違いをされないためにはどう行動するべきなのだろう?
少なくとも、こちらのご令嬢の真心を受け取るつもりも、利用するつもりもないというのに。
「……ハンプシャー伯爵令嬢様。」
「いえ、クリスティーンで。」
一番他人行儀な呼び名は、即座に却下された。その上、何とでもお呼びくださいと言った前言も撤回され、沢崎直に自由はなくなった。
「……ク、クリスティーン様。」
「はい?」
「はははは。」
困ったのでとりあえず笑ってみた。
ご令嬢は恥じらうように頬を染めて視線を逸らした。
(あっ、うん。)
そこでもう一つ大事なことに沢崎直は気づいた。
(イケメンって、笑顔に破壊力があるんだなぁ。)
あまりに今までの自分とはかけ離れた事態に、他人事のように沢崎直はそう思った。
このままだと無自覚イケメンとしてご令嬢を弄ぶ男になりかねないなぁ。気を付けよう。
新米イケメンとして、沢崎直は心に要注意事項としてしっかりとそう刻むことにした。
「そろそろ街に着きます。」
馬車内に従者の壮年の男の声が響く。
居心地の悪い空気から逃げるように、沢崎直は窓から外の景色を見つめた。
あれほど茂っていた木々は既になく、整った街道には他の通行人や馬車の姿も見える。
視界に入る全ては、沢崎直が二十五年で見慣れてきたモノとは別物だった。
(……ちょっと、待って。もしかして、これって……。)
沢崎直の心に芽生える一つの答え。
それを何度も否定して考察して矯めつ眇めつ眺めてみて、ようやく確信に到る。
(異世界じゃん!!)
(私、異世界転生しちゃってんじゃん!!!)
(それも見知らぬイケメンになってんじゃん!!!)
「……あのー?」
目の前に座るご令嬢が話をしたそうにしているが、今、それどころではない。
声にこそ出さないが、沢崎直は心の中で絶叫し続けていた。
(だって、よく考えれば変だもん。夢じゃなければ、異世界じゃん!!)
(私死んだはずだし!死んだはずなのに、もう一回死にそうになるし!!イケメンだし!)
(目の前のこの人だって、絶対日本語喋ってなさそうだけど、言葉通じてるし!!)
(テーマパーク以外に馬車的な物なんてないし!!あったとしても、外国だし!!)
(外、見たことない景色だし!!よく見たら、このご令嬢、ほっそい剣持ってるし!!)
「その、……なんとお呼びすればいいかしら?」
(知らんし!!こっちが聞きたいし!!)
「……。」
心の中の絶叫を言葉にする不作法だけは必死に押しとどめ、沈黙を続ける。
「……騎士様とお呼びしてもよろしいですか?」
「えっ!?」
(剣も持ってないけど?)
よく分からないが、目の前のご令嬢が沢崎直のイメージから呼び方を決定したらしい。まだこの身体になって全身を確認したことがないのだが、騎士に見える何かしらがあるのだろうか?たとえ帯剣していなかったとしても。
「騎士様。」
上目づかいに頬染めて、ご令嬢が呼びかけてくる。
「えーっと、私は何とお呼びすれば?」
便宜上必要な呼び名を尋ねる。相手が伯爵令嬢である以上、失礼があってはならない。ここが、想像通りの異世界ならば、今までの常識は通じないと考える方がいい。慎重に慎重を重ねていかなくてはならない。沢崎直は改めてその事実を心に刻んだ。
「何とでもお呼びください。」
期待に溢れた返答。
さて、酷く難しいクイズを出されてしまったようだ。
「えーっと……。」
イケメンとして生きてきた経験値がゼロ過ぎて、正解が全く分からない。果たして、イケメンというのはどこまでの失礼が許されて、勘違いをされないためにはどう行動するべきなのだろう?
少なくとも、こちらのご令嬢の真心を受け取るつもりも、利用するつもりもないというのに。
「……ハンプシャー伯爵令嬢様。」
「いえ、クリスティーンで。」
一番他人行儀な呼び名は、即座に却下された。その上、何とでもお呼びくださいと言った前言も撤回され、沢崎直に自由はなくなった。
「……ク、クリスティーン様。」
「はい?」
「はははは。」
困ったのでとりあえず笑ってみた。
ご令嬢は恥じらうように頬を染めて視線を逸らした。
(あっ、うん。)
そこでもう一つ大事なことに沢崎直は気づいた。
(イケメンって、笑顔に破壊力があるんだなぁ。)
あまりに今までの自分とはかけ離れた事態に、他人事のように沢崎直はそう思った。
このままだと無自覚イケメンとしてご令嬢を弄ぶ男になりかねないなぁ。気を付けよう。
新米イケメンとして、沢崎直は心に要注意事項としてしっかりとそう刻むことにした。
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