YOU BECAME SO…

せんのあすむ

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策謀の章

エピローグ それでも彼は幸せなのだ。

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そして、それから1ヶ月後の裏庭。

「涼君、今日もしっかり食べてね!」

「ああ、いただきます」

「あ、ちょっと私、トイレに行ってくるから、先に食べてて」

 芙美が言って、駆けていく。その後姿が消えるのを確かめてから、俺はもらった(っていうか、押し付けられた)弁当の中身をそっと、猫たちのために買ってきた(って、建前を芙美には言ってる)食器へ移し変える。 

(よし、これで半分)

 濃ゆいおかずてんこもりになった猫の食器をそっと、芙美が座る場所からは見えないところへ隠しておいて、もう一度箸をとったところで、芙美が戻ってきた。

「あー、早いねー。嬉しいなあ」

「ああ、だって美味いから」

 いきなり半分に減った俺の弁当を見て、疑いもしないで芙美は無邪気に微笑んでいる。少々良心は痛むが、こういうのをお互い様って言うんだろう。 

「モデル、続けるんだってね」

「ああ、やっぱり辞められない。義理とかあるし」

「がんばってねー。私、いつまでも応援するよ」

 俺にまだバレてない、なんて思っているらしいところが可愛いと思えてしまうあたり、逆にコイツの『策』にはまったと言えなくもないかもしれないけど。

「ごちそうさまでした」

社長と聖護院センセイが言ってた「腹八分目」を、今日も守れた。少しまだ腹は減ってるけど、ホッとしながら俺は神妙に両手を合わせる。

「じゃあ、お昼寝する?」

「そうだなあ」

 芙美が大きな瞳をくるくる動かしながら、にこにこと笑いかけてくる。それへ俺も、ちょっぴり幸せ気分で頷き返した。

今日は体育の授業も無い。ゆっくり昼寝できそうだ。

 今後は、なんとか元に戻った体重をどうやって維持するかが課題になるんだろう。それと、こいつのカロリー弁当の対応法も考えなきゃいけない。

木陰によりかかって地面に足を投げ出しながら、ぼんやり空を眺めていたら、いつの間にか芙美は俺の肩によりかかって眠ってる。

(いつか俺の方から、お前が好きだって言えたら…)

小さい頃から当たり前みたいにずっと見てきた、あどけない寝顔。いじめたりも、泣かしたりもしたけど、やっぱり俺はコイツが好きだ。

(風邪、引くぞ)

日差しはどんどん暖かくなっていくけど、やっぱり木陰は少しひんやりしてる。軽い寝息を立てている芙美へ、そっと制服の上着をかけて、俺も一緒に目を閉じた。 



FIN~
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