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…棲む家
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家の奥。伯母がかつて使っていた、台所とつながっている和室。
畳を上げて、俺はその下の地面を掘り返していた。
夏だから、汗の滲んだ俺の肌にまといついてくる蚊がマジ、鬱陶しい。それを払いのけながら、
(…古い家には、何かが住む…か。美幸ネエ)
俺は黙々と『作業』を続ける。
あの時無理に緊急入院させた病院から、俺の従姉がまだ出てこられないのは、全部この家のせいなのだ。
古い家には、何かが住む…棲む。
シャベルで土を掘り返すたび、周りの景色がぐにゃりと歪む。まるでこの家が、俺の行動を阻止しているように思えて、
(負けるもんか…『お前』なんかに)
ゲロが出そうになるのを懸命に堪えながら、俺は必死に手を動かし続けた。
古い家には、何かが住む…棲む。この家に限って言うなら、その原因は。
俺がそれを確信したのは、ついこの間のことだった。
「ようい、しょっと! オジキ! これでいいのか?」
「おう、すまんな、翔!」
ぎらぎらした太陽の光が、めちゃくちゃ皮膚に痛かった。
退職金で、築年数はかなりだけれど、格安で長年の夢だった庭付きの家を買ったのだと、嬉しそうに言う伯父の引越しを手伝っていた俺は、その時大学の二年生だった。
(…こんなにも、暑いのに)
ものすごく…失礼だけど「ど田舎」ってほどじゃない。都会っていうにはちょっと憚られるけど、まあ一応、そこそこに人口密度があるっぽい市で、ずっと住み手がなくて…ほぼ四十年近くは空き家だったっていう平屋。
俺んちの両親が冗談交じりに言ったところでは、
「あの市であの場所で、安すぎる。何かあるんじゃないか」
ってことだったんだけれど、伯父と伯母はもちろん、
「そんなことあるもんか、今時」
なーんて笑い飛ばしてた。そういうことを気にする人は気にするかもしれないけど、伯父も伯母もその手の類の話は一切信じない、超のつく現実主義者だった。『何かあるんじゃないか』とか言うくらいだから二人に比べると多少は話題にする程度は気にする俺の両親も、本気でそんなこと信じてる訳じゃないから、一緒になって笑ってたっけ。
元が安かった分、それを代金に充てて丁寧にリフォームして使いやすくして、一見しただけなら新築にも見えるくらいに綺麗にした。実際、この広さの家のこの感じで新築すると、軽く一・五倍はするらしい。
いい買い物をしたと、美幸ネエも本当に嬉しそうだった。
(ま、野暮なことは言うまい)
けれど、そんな風に思いながら、玄関を上がって台所を通り抜けて、新しく敷き直された畳の香りがつんと鼻をつく奥の部屋へ伯母の鏡台を運んだ時、
(なんか。寒い…誰かに、見られている?)
変な寒さを感じて、俺は思わず、ぞくりと背中を震わせていた。
「ショウ、サンキュ! おそうめん作ったから、食べよ」
「あ、ああ」
その時、台所のほうから暖簾をぱっと上げて、従姉の美幸が言ったもんだから、
(まあ…気のせい、だよな)
ちょっと固まった感じになってた俺も、そこで我に帰ることが出来た。
「でもさ、綺麗に見えてもホントはボロ家なんだよな。何と言う詐欺物件」
一時的に出したのだという小さなテーブル。席について遠慮なくそうめんをすすりながら俺が言うと、
「あてっ!」
間髪をいれず、美幸ネエのゲンコツが飛んでくる。そこでいつもみたいに…前住んでたマンションでもやってたみたいに、皆で笑って…だけど、
(なんか、雰囲気悪い気がする、この家…何故だ…?)
不可解なその思いは俺の心の中から去ってくれず、
「また来い!」
「遠慮しないでね」
「はいはーい」
見送ってくれた伯母夫婦に明るく手を振りながらその家を出るとき、悪いけど俺は心底ホッとしてたんだ。
(あ…れ?)
道の曲がり角を曲がる時、振り返ったその家は、一瞬だけだけど、なんだか黒いものに包まれているように見えた。
目を擦りなおしたらそれは消えたから、本当にただの錯覚だとその時は思い過ごしてしまった。
なのに、まだ五十四という年で、伯母がその家の中で亡くなったのは、その一週間後のことだった。
「まだまだ若いのに、信じられないよな」
「元気、出してね」
俺の両親も、もちろん俺もこもごも言って、伯父と美幸ネエを慰めた。
気さくな伯母だったから、前に住んでたマンションの人とも付き合いがあって、葬式にも色んな人が来てくれたけど、その参列者が連れてきた幼稚園くらいの女の子が、
「やだ! やだぁ! こここわい! はいらない! やだぁ!」
って酷くぐずってたりした。その女の子の祖母らしい、伯母の知り合いだった女性は、
「ダメよ、そんなこと言っちゃ」
と諫めるけど、女の子は全く耳を貸さなかった。
「ごめんなさい。あの子、ちょっと癇癪もちなところがあって…」
どうしても家に入ろうとしないその女の子を、別の知り合いに預けて焼香した後、女性はオフクロに向かって申し訳なさそうに頭を下げてた。
「いえ、どうぞお気になさらずに。小さい子にはお葬式とか怖かったりするでしょうからね。うちのショウだって、曽お祖母ちゃんが亡くなった時のお葬式の時なんか祭壇見てお漏らししちゃったんですよ」
とか、俺がまったく覚えてない、二歳とかそこらの話でお茶を濁してた。
まあそれはいいんだけど、俺はむしろ女の子の気持ちが分かる気がした。正直、俺もあまりここには来たくなかった。やっぱり、分かる人には分かるのかもしれない。
なんて思いながらも、うなだれる美幸ネエのことは心配だった。
「美幸ネエ」
「…ショウ…今日はありがとうね」
声をかけると、彼女は俺に向かって力なく微笑む。
本当のことを言ったら、大好きな美幸ネエ…泣き腫らして目を真っ赤にしてた…の側に、せめて一晩だけでもついていてやりたい。だけど、
「ごめん。明日、卒論の中間発表なんだ」
「気にしないで。それよか、アンタはちゃんと大学を卒業するのよ」
というわけで、俺はあの家に残された二人を気にしながら、俺ん家へ帰る事になったのだ。
すると、帰りのタクシーの中で、俺のオフクロが言った。
「お義姉さん、なんだか家の中に黒いシミが一杯ついててごめんなさいって。座るところも無くてごめんなさい、って言ってたわ」
オフクロが伯母の家を訪ねるたびに、そう言って伯母さんがすまなさそうに謝るもんだから、
「どこも汚れてないってば」
元からリフォームで新築同様に綺麗になってたのをさらに伯母がぴかぴかに磨きあげた部屋を見ながら、呆れたようにオフクロが言うと、しまいには「私は気になるの!」とか怒り出したらしい。だから、いたたまれなくなって、いつもすぐに帰ってきてしまうって。
(…どこにもシミなんてついてなかった、よな)
葬式が行われたのは、住んでいるあの家。伯母を病院にでも行かせたほうがいいんじゃないかって、何度伯父に言っても、
「笑い飛ばされるばかりで聞いてもらえなかったのよねえ。しまいには、毎日食べるご飯の中にも、すぐに黒いのがべっとりついて食べられなくなるから、って言い出して…」
とか。
…だから伯母の死因は、診断としては、「鬱に伴う重度の拒食症による衰弱死」。病院で検査してもらっても、極度の飢餓状態だった以外には、小さな癌すら見当たらない、腎臓や肝臓や年齢の割には綺麗なものだったそうだ。
そう言えば、念願のマイホームを手に入れてそこに移り住むというのも、医学的に見ればストレスになるという話をテレビでやってたのを見たことがある。伯母のそれがまさに当てはまるってことかもしれない。
家の前に着いて嘆息と一緒にオフクロがタクシーを降りる。
「知らなかったよ」
俺がぽつりと言うと、
「そりゃそうでしょうよ。アンタは研究室にこもりっきりだったんだから。これからも頑張んなさいよ」
だって。とんだヤブヘビだ。
「でも、もしもヒマだったら、アンタもちょくちょく様子を見に行ってあげてくれない?」
「もちろんだよ」
言われなくてもそうするつもりだった。美幸ネエは会社勤めだし、明るいあの伯母がいつも家をしっかり守っていたからこそ、伯父も退職してからだって、安心して「やれ飲みだ」「やれカラオケだ」って毎日みたいに出かけられていたのに、
「伯父さんくらいの男の人ってねえ、奥さんを突然亡くすと一気にガックリくるものなのよ」
オフクロが言うように、あれだけ出好きだった伯父は、葬式が終わった途端に人が変わったように家にこもりがちになってしまった。
俺が訪ねていっても、庭の縁側にしょんぼり座りこんでいるだけだったり、「やあ翔。来たのか」なんて言うだけで、黙りこんでしまったり。
伯母が生きていた頃より、間違いなく一回り以上縮んでしまったその背中をわざと強く叩いて、
「ちゃんと食ってんのかよ。美幸ネエに心配かけてんぞ」
俺が言っても、
「…すまんな」
無気力な答えが返ってくるだけだった。
心配だから、オフクロが作った料理とかを差し入れに、何度も伯父の家へ行ってたある日、
「オジキ!? 何してんだよ!?」
「おお、翔」
いつ訪ねても、俺がたまらない寒気を感じる、この家の中心にある部屋の畳を、伯父が、一心不乱に雑巾がけしていた。
いや、別に雑巾がけをやってたから、って変なわけじゃない。そうじゃない。
「…拭いても拭いても、あっちこっちに黒いシミが出てきてな…。ほれ、座る場所も無いわい」
何でも無いところを顎で指して言う…。
何度、別に普通の床だ、黒いシミなんてどこにもついてない、って言っても、
「いや、そんなことはない。こんな家に上げるのも申し訳無いから、今日のところはすまないが帰ってくれ」
って、伯父はピカピカの畳をなおも磨き続ける。
それをオフクロに言ったら、大騒ぎになった。伯母と全く同じ状態になったということで即入院させたけど…。
病院にいても、伯父は、異常にあの家に帰りたがる。それをなだめるのに、俺らはどれだけ苦労しただろう。
伯父も、最後まで「黒いシミがきっと天井についてる」「襖の奥にも」なんて言いながら、しまいには病院で出される食事にまで「黒いのが!」とか言って手を付けず、病院側も点滴などで栄養補給はしてくれたんだけど、努力の甲斐なく亡くなってしまったのだ。
心身症の専門医でさえお手上げなくらいの状態だったらしい。なにしろ精神安定剤の類すらまったく効果がなかったそうで。
…わずかの間に、自分の両親が二人とも亡くなってしまって、今度は美幸ネエが家にこもりがちになってしまった。
会社の有給はたっぷりあるからって、それを使って。
「…綺麗にしなきゃ」
その美幸ネエの身にも異変が現れたのは、伯父の葬式を終えて一週間後だった。
「ショウ…アンタ、そんなシミだらけの服を着て、ダメじゃない」
例の部屋で、伯父と同じように畳に雑巾がけをしていた美幸ネエは、訪ねてきた俺を見て言い放つ。
そんな彼女の姿を見て、俺は腰が抜けそうなほど自分の体が震えるのが分かった。
慌てて病院へ彼女を入院させる俺とオフクロを、
「ちょっと、私はなんともないって! 入院させるなんてどういうつもり?」
病院の職員に押さえ付けられた美幸ネエは、足をバタバタさせながら、
「ダメよ! 私をあの家から引き離さないで! こんなことして、恨んでやるから!!」
そう罵ったっけ…。
美幸ネエをとにかく病院に連れて行こうとした日、近所の人たちが、騒いでいる俺らを見てヒソヒソ話してた。その時には、ただの物好きな野次馬だってムカついたけど、なるだけ気に止めないようにしていたのに。
なのに、
「あの…失礼なんだけど、入院なさったお若い方、まだ生きてらっしゃるの?」
「…は?」
美幸ネエが病院に入院してさらに一週間。彼女の入院中の着替えを取りに行くためにあの家へ寄っていた俺に、比較的若い近所の奥さんらしき人が話しかけてくる。見れば美幸ネエと同い年くらいで、
「あ、あの、気を悪くなさらないでね。ごめんなさい」
自分でも分かるくらいに不機嫌な顔になった俺に怖じ気づいたのか、その女性は逃げるように立ち去ろうとする。
「待ってください!」
その時、何故か俺はその女性を引き止めていた。
「まだ生きてる、って、どういうことですか? 貴女はなにかご存知なんですか?」
そういえば、この家に越してきてから、あれだけ気さくで前に住んでいたところでは近所づきあいを欠かしたことのない伯母が、近所の人を家へあげているのを見たことがない…知り合ったばかりの人とだってすぐ仲良くなって茶の間でお菓子を摘んだりしていたのに。
「あ…あの、私も今年の初め、結婚してここに引っ越してきたばかりだったんだけど、その家は…」
俺がその人の二の腕を掴んで迫ると、その人はお姑さんから聞いたのだという話を、ためらいながらしてくれた。
…やがて、
「…あの、私が言ったってことは誰にも言わないで…じゃあ」
全てを聞き終えて、呆然としている俺から、そそくさと彼女は去っていく。
(なんてこった…なんてこった!)
そして今、俺は伯母の部屋の畳を上げ、土を掘り返しているのだ。
昼過ぎから汗だくになって始めたその作業は、すっかり辺りが暗くなってもまだ終えられない。
こんなこと、オヤジやオフクロに言ったところで到底信じちゃくれないし、当たり前だけど手伝ってもくれないだろうから、
(早く…早く出て来い!)
掘った地面にも、ぽたぽたと俺の汗は落ちていく。日が落ちて、どれくらいの時間が経ったんだろう。
痺れそうになる腕を励まし励まし、土を掘り続ける俺のシャベルの先に、
(…あたった…!!)
硬いものがぶつかって、俺はほぼ条件反射的にそれへ用意してきていた懐中電灯を向けた。
…あげようとした悲鳴は、声にはならなかった。
『実はね、その家で、二十年ほど前にその家の奥さんと小さな息子さんが行方不明になっているらしいのよ。
旦那さんに尋ねても、奥さんは子供を連れて田舎の実家に帰ってしまったってだけ…もともと、近所づきあいのあまりなかったご家庭だったらしいから、奥さんの田舎も誰も知らなかったのね。
だけど、いつの頃からか、近所の子供達が言い出したの。その旦那さんが奥さんと子供達を奥の畳の部屋の、ちょうど真ん中に埋めてたのを見たって…子供達が言い出したことだから、当てにはならないって警察の人もそのままにしちゃったらしいけど』
今ならさすがに、子供の言うことだからってそんな蔑ろにしたりしないかもだけど、子供が学校にも通ってないってなったら放っておかないかもしれないけど、当時はそんな感じだったらしい。
若い奥さんの話が、俺の頭の中に改めて蘇る。
呆然としたまま肩で荒く呼吸を繰り返して、土にまみれて埋もれた二つの頭骸骨を懐中電灯で照らしていると、ぽっかり開いたその眼窩が、じっと俺を見つめているようで、
(…警察…)
俺は震える手でようやくズボンの尻ポケットからケータイを取り出して、110番を押したのだ。
『だけど実はその家、二十年前の住人の前にも、何人も人が亡くなってるらしいの。かれこれ四十年くらい前くらいから?
その奥さんと子供が急にいなくなったって件の後にも、今度は不動産屋がオーナーになって借家として貸し出されたこの家に入った人はいたんだけどね。二回くらい。でもやっぱり次々にお亡くなりになったり家族が行方不明になったりしているの。だからこの辺りじゃ呪われてるんじゃないかって噂に…』
俺が、四十年間空き家だったって聞いてる、って言ったら、その奥さんは「そんなはずはない」なんて、逆に驚いたっけ。
(不動産屋め…)
いや、この場合は、伯父と直接契約した不動産屋も知らなかったのかもしれない。『仲介』の『仲介』ってことで、あちこちたらいまわしにされているうちに、そんな『噂』なんて埋もれてしまうのだろう。
それに、実際には『事件』にはなってない。二十年前のその父親にしたってその後に入院してから亡くなってる(自分には家族がいないからと言って亡くなった後の葬式の手配まで自分でしたそうだ)し、それ以降の住人についてもやっぱり癌や交通事故で亡くなってるから、いわゆる『事故物件』扱いにはなってなかったんだろう。行方不明の話だってただの家出扱いらしいし。
『事故物件』については告知義務もあると聞くけど、ただの『噂』に過ぎないものについてはその限りじゃない。
ともかく、そんなことがあった家…実際、証拠が俺の目の前にある以上はこれは『事件』だ…なんて、誰も買いたがらないだろうから、この家を管理していた一番最初の不動産屋は、そんな噂をひた隠しにして売り出したに違いない。
建築関係の経済事情も教わるから、大体のところは予想だってつくんだ。『告知義務』なんて建前で、実際には、『事故』の後に誰かが契約して住んでたっていう事実があればその次の契約者には告知しなくていいっていう『抜け穴』もあって、だから不動産会社の親族に契約だけさせて一時的に住民票を置いたりしてあたかも住んでた風を装って次の契約者に対する『告知義務』を回避するなんてことも行われてたって聞く。
不動産の仲介なんて、自分で作ってる訳じゃないのもあって、売れりゃいい、ってなもんだから、実態は本当にいい加減なんだよな。
(…ともかく、美幸ネエ。これで多分助かるぞ!)
やってきたパトカーの赤いランプが、襖に眩しく映るのを見た途端、俺の体中から力がどっと抜けた。
俺の大事な、たった一人残った従姉は、これできっと助かるに違いない、そう思ったから。
でも、この時の俺は、大事なことを忘れてたんだ。
そう、この家は、その二十年前の住人が買う以前からずっと、四十年以上前から何度も人が亡くなってたってことを。
だけど俺は、二十年前の一件のことさえ解決すれば『呪い』とやらも解けるんじゃないかと思ってた。その『二十年前の一件』すら、実はそれよりずっと以前から続いていたことの一部でしかないんじゃないかってことまで頭が回らなかったんだ。
(う…わ?)
警察を出迎えようと畳へ手を突いて、部屋へ上がった途端、視界がぐにゃりと歪んだ。
眩暈と同時に吐き気も覚えて、思わず側の畳へ向かってえずいたら、
(…シミだ…)
俺の手も、側の畳も、そして俺の吐寫物も、皆が黒いシミに染まっていて、
(…綺麗にしなきゃ…綺麗に…警察の人たちが来る前に)
こんなに汚しちゃダメだって、そう思いながら、俺はふらふらと台所へ行って、流しにあった雑巾を手に取ったのだった…。
FIN~
畳を上げて、俺はその下の地面を掘り返していた。
夏だから、汗の滲んだ俺の肌にまといついてくる蚊がマジ、鬱陶しい。それを払いのけながら、
(…古い家には、何かが住む…か。美幸ネエ)
俺は黙々と『作業』を続ける。
あの時無理に緊急入院させた病院から、俺の従姉がまだ出てこられないのは、全部この家のせいなのだ。
古い家には、何かが住む…棲む。
シャベルで土を掘り返すたび、周りの景色がぐにゃりと歪む。まるでこの家が、俺の行動を阻止しているように思えて、
(負けるもんか…『お前』なんかに)
ゲロが出そうになるのを懸命に堪えながら、俺は必死に手を動かし続けた。
古い家には、何かが住む…棲む。この家に限って言うなら、その原因は。
俺がそれを確信したのは、ついこの間のことだった。
「ようい、しょっと! オジキ! これでいいのか?」
「おう、すまんな、翔!」
ぎらぎらした太陽の光が、めちゃくちゃ皮膚に痛かった。
退職金で、築年数はかなりだけれど、格安で長年の夢だった庭付きの家を買ったのだと、嬉しそうに言う伯父の引越しを手伝っていた俺は、その時大学の二年生だった。
(…こんなにも、暑いのに)
ものすごく…失礼だけど「ど田舎」ってほどじゃない。都会っていうにはちょっと憚られるけど、まあ一応、そこそこに人口密度があるっぽい市で、ずっと住み手がなくて…ほぼ四十年近くは空き家だったっていう平屋。
俺んちの両親が冗談交じりに言ったところでは、
「あの市であの場所で、安すぎる。何かあるんじゃないか」
ってことだったんだけれど、伯父と伯母はもちろん、
「そんなことあるもんか、今時」
なーんて笑い飛ばしてた。そういうことを気にする人は気にするかもしれないけど、伯父も伯母もその手の類の話は一切信じない、超のつく現実主義者だった。『何かあるんじゃないか』とか言うくらいだから二人に比べると多少は話題にする程度は気にする俺の両親も、本気でそんなこと信じてる訳じゃないから、一緒になって笑ってたっけ。
元が安かった分、それを代金に充てて丁寧にリフォームして使いやすくして、一見しただけなら新築にも見えるくらいに綺麗にした。実際、この広さの家のこの感じで新築すると、軽く一・五倍はするらしい。
いい買い物をしたと、美幸ネエも本当に嬉しそうだった。
(ま、野暮なことは言うまい)
けれど、そんな風に思いながら、玄関を上がって台所を通り抜けて、新しく敷き直された畳の香りがつんと鼻をつく奥の部屋へ伯母の鏡台を運んだ時、
(なんか。寒い…誰かに、見られている?)
変な寒さを感じて、俺は思わず、ぞくりと背中を震わせていた。
「ショウ、サンキュ! おそうめん作ったから、食べよ」
「あ、ああ」
その時、台所のほうから暖簾をぱっと上げて、従姉の美幸が言ったもんだから、
(まあ…気のせい、だよな)
ちょっと固まった感じになってた俺も、そこで我に帰ることが出来た。
「でもさ、綺麗に見えてもホントはボロ家なんだよな。何と言う詐欺物件」
一時的に出したのだという小さなテーブル。席について遠慮なくそうめんをすすりながら俺が言うと、
「あてっ!」
間髪をいれず、美幸ネエのゲンコツが飛んでくる。そこでいつもみたいに…前住んでたマンションでもやってたみたいに、皆で笑って…だけど、
(なんか、雰囲気悪い気がする、この家…何故だ…?)
不可解なその思いは俺の心の中から去ってくれず、
「また来い!」
「遠慮しないでね」
「はいはーい」
見送ってくれた伯母夫婦に明るく手を振りながらその家を出るとき、悪いけど俺は心底ホッとしてたんだ。
(あ…れ?)
道の曲がり角を曲がる時、振り返ったその家は、一瞬だけだけど、なんだか黒いものに包まれているように見えた。
目を擦りなおしたらそれは消えたから、本当にただの錯覚だとその時は思い過ごしてしまった。
なのに、まだ五十四という年で、伯母がその家の中で亡くなったのは、その一週間後のことだった。
「まだまだ若いのに、信じられないよな」
「元気、出してね」
俺の両親も、もちろん俺もこもごも言って、伯父と美幸ネエを慰めた。
気さくな伯母だったから、前に住んでたマンションの人とも付き合いがあって、葬式にも色んな人が来てくれたけど、その参列者が連れてきた幼稚園くらいの女の子が、
「やだ! やだぁ! こここわい! はいらない! やだぁ!」
って酷くぐずってたりした。その女の子の祖母らしい、伯母の知り合いだった女性は、
「ダメよ、そんなこと言っちゃ」
と諫めるけど、女の子は全く耳を貸さなかった。
「ごめんなさい。あの子、ちょっと癇癪もちなところがあって…」
どうしても家に入ろうとしないその女の子を、別の知り合いに預けて焼香した後、女性はオフクロに向かって申し訳なさそうに頭を下げてた。
「いえ、どうぞお気になさらずに。小さい子にはお葬式とか怖かったりするでしょうからね。うちのショウだって、曽お祖母ちゃんが亡くなった時のお葬式の時なんか祭壇見てお漏らししちゃったんですよ」
とか、俺がまったく覚えてない、二歳とかそこらの話でお茶を濁してた。
まあそれはいいんだけど、俺はむしろ女の子の気持ちが分かる気がした。正直、俺もあまりここには来たくなかった。やっぱり、分かる人には分かるのかもしれない。
なんて思いながらも、うなだれる美幸ネエのことは心配だった。
「美幸ネエ」
「…ショウ…今日はありがとうね」
声をかけると、彼女は俺に向かって力なく微笑む。
本当のことを言ったら、大好きな美幸ネエ…泣き腫らして目を真っ赤にしてた…の側に、せめて一晩だけでもついていてやりたい。だけど、
「ごめん。明日、卒論の中間発表なんだ」
「気にしないで。それよか、アンタはちゃんと大学を卒業するのよ」
というわけで、俺はあの家に残された二人を気にしながら、俺ん家へ帰る事になったのだ。
すると、帰りのタクシーの中で、俺のオフクロが言った。
「お義姉さん、なんだか家の中に黒いシミが一杯ついててごめんなさいって。座るところも無くてごめんなさい、って言ってたわ」
オフクロが伯母の家を訪ねるたびに、そう言って伯母さんがすまなさそうに謝るもんだから、
「どこも汚れてないってば」
元からリフォームで新築同様に綺麗になってたのをさらに伯母がぴかぴかに磨きあげた部屋を見ながら、呆れたようにオフクロが言うと、しまいには「私は気になるの!」とか怒り出したらしい。だから、いたたまれなくなって、いつもすぐに帰ってきてしまうって。
(…どこにもシミなんてついてなかった、よな)
葬式が行われたのは、住んでいるあの家。伯母を病院にでも行かせたほうがいいんじゃないかって、何度伯父に言っても、
「笑い飛ばされるばかりで聞いてもらえなかったのよねえ。しまいには、毎日食べるご飯の中にも、すぐに黒いのがべっとりついて食べられなくなるから、って言い出して…」
とか。
…だから伯母の死因は、診断としては、「鬱に伴う重度の拒食症による衰弱死」。病院で検査してもらっても、極度の飢餓状態だった以外には、小さな癌すら見当たらない、腎臓や肝臓や年齢の割には綺麗なものだったそうだ。
そう言えば、念願のマイホームを手に入れてそこに移り住むというのも、医学的に見ればストレスになるという話をテレビでやってたのを見たことがある。伯母のそれがまさに当てはまるってことかもしれない。
家の前に着いて嘆息と一緒にオフクロがタクシーを降りる。
「知らなかったよ」
俺がぽつりと言うと、
「そりゃそうでしょうよ。アンタは研究室にこもりっきりだったんだから。これからも頑張んなさいよ」
だって。とんだヤブヘビだ。
「でも、もしもヒマだったら、アンタもちょくちょく様子を見に行ってあげてくれない?」
「もちろんだよ」
言われなくてもそうするつもりだった。美幸ネエは会社勤めだし、明るいあの伯母がいつも家をしっかり守っていたからこそ、伯父も退職してからだって、安心して「やれ飲みだ」「やれカラオケだ」って毎日みたいに出かけられていたのに、
「伯父さんくらいの男の人ってねえ、奥さんを突然亡くすと一気にガックリくるものなのよ」
オフクロが言うように、あれだけ出好きだった伯父は、葬式が終わった途端に人が変わったように家にこもりがちになってしまった。
俺が訪ねていっても、庭の縁側にしょんぼり座りこんでいるだけだったり、「やあ翔。来たのか」なんて言うだけで、黙りこんでしまったり。
伯母が生きていた頃より、間違いなく一回り以上縮んでしまったその背中をわざと強く叩いて、
「ちゃんと食ってんのかよ。美幸ネエに心配かけてんぞ」
俺が言っても、
「…すまんな」
無気力な答えが返ってくるだけだった。
心配だから、オフクロが作った料理とかを差し入れに、何度も伯父の家へ行ってたある日、
「オジキ!? 何してんだよ!?」
「おお、翔」
いつ訪ねても、俺がたまらない寒気を感じる、この家の中心にある部屋の畳を、伯父が、一心不乱に雑巾がけしていた。
いや、別に雑巾がけをやってたから、って変なわけじゃない。そうじゃない。
「…拭いても拭いても、あっちこっちに黒いシミが出てきてな…。ほれ、座る場所も無いわい」
何でも無いところを顎で指して言う…。
何度、別に普通の床だ、黒いシミなんてどこにもついてない、って言っても、
「いや、そんなことはない。こんな家に上げるのも申し訳無いから、今日のところはすまないが帰ってくれ」
って、伯父はピカピカの畳をなおも磨き続ける。
それをオフクロに言ったら、大騒ぎになった。伯母と全く同じ状態になったということで即入院させたけど…。
病院にいても、伯父は、異常にあの家に帰りたがる。それをなだめるのに、俺らはどれだけ苦労しただろう。
伯父も、最後まで「黒いシミがきっと天井についてる」「襖の奥にも」なんて言いながら、しまいには病院で出される食事にまで「黒いのが!」とか言って手を付けず、病院側も点滴などで栄養補給はしてくれたんだけど、努力の甲斐なく亡くなってしまったのだ。
心身症の専門医でさえお手上げなくらいの状態だったらしい。なにしろ精神安定剤の類すらまったく効果がなかったそうで。
…わずかの間に、自分の両親が二人とも亡くなってしまって、今度は美幸ネエが家にこもりがちになってしまった。
会社の有給はたっぷりあるからって、それを使って。
「…綺麗にしなきゃ」
その美幸ネエの身にも異変が現れたのは、伯父の葬式を終えて一週間後だった。
「ショウ…アンタ、そんなシミだらけの服を着て、ダメじゃない」
例の部屋で、伯父と同じように畳に雑巾がけをしていた美幸ネエは、訪ねてきた俺を見て言い放つ。
そんな彼女の姿を見て、俺は腰が抜けそうなほど自分の体が震えるのが分かった。
慌てて病院へ彼女を入院させる俺とオフクロを、
「ちょっと、私はなんともないって! 入院させるなんてどういうつもり?」
病院の職員に押さえ付けられた美幸ネエは、足をバタバタさせながら、
「ダメよ! 私をあの家から引き離さないで! こんなことして、恨んでやるから!!」
そう罵ったっけ…。
美幸ネエをとにかく病院に連れて行こうとした日、近所の人たちが、騒いでいる俺らを見てヒソヒソ話してた。その時には、ただの物好きな野次馬だってムカついたけど、なるだけ気に止めないようにしていたのに。
なのに、
「あの…失礼なんだけど、入院なさったお若い方、まだ生きてらっしゃるの?」
「…は?」
美幸ネエが病院に入院してさらに一週間。彼女の入院中の着替えを取りに行くためにあの家へ寄っていた俺に、比較的若い近所の奥さんらしき人が話しかけてくる。見れば美幸ネエと同い年くらいで、
「あ、あの、気を悪くなさらないでね。ごめんなさい」
自分でも分かるくらいに不機嫌な顔になった俺に怖じ気づいたのか、その女性は逃げるように立ち去ろうとする。
「待ってください!」
その時、何故か俺はその女性を引き止めていた。
「まだ生きてる、って、どういうことですか? 貴女はなにかご存知なんですか?」
そういえば、この家に越してきてから、あれだけ気さくで前に住んでいたところでは近所づきあいを欠かしたことのない伯母が、近所の人を家へあげているのを見たことがない…知り合ったばかりの人とだってすぐ仲良くなって茶の間でお菓子を摘んだりしていたのに。
「あ…あの、私も今年の初め、結婚してここに引っ越してきたばかりだったんだけど、その家は…」
俺がその人の二の腕を掴んで迫ると、その人はお姑さんから聞いたのだという話を、ためらいながらしてくれた。
…やがて、
「…あの、私が言ったってことは誰にも言わないで…じゃあ」
全てを聞き終えて、呆然としている俺から、そそくさと彼女は去っていく。
(なんてこった…なんてこった!)
そして今、俺は伯母の部屋の畳を上げ、土を掘り返しているのだ。
昼過ぎから汗だくになって始めたその作業は、すっかり辺りが暗くなってもまだ終えられない。
こんなこと、オヤジやオフクロに言ったところで到底信じちゃくれないし、当たり前だけど手伝ってもくれないだろうから、
(早く…早く出て来い!)
掘った地面にも、ぽたぽたと俺の汗は落ちていく。日が落ちて、どれくらいの時間が経ったんだろう。
痺れそうになる腕を励まし励まし、土を掘り続ける俺のシャベルの先に、
(…あたった…!!)
硬いものがぶつかって、俺はほぼ条件反射的にそれへ用意してきていた懐中電灯を向けた。
…あげようとした悲鳴は、声にはならなかった。
『実はね、その家で、二十年ほど前にその家の奥さんと小さな息子さんが行方不明になっているらしいのよ。
旦那さんに尋ねても、奥さんは子供を連れて田舎の実家に帰ってしまったってだけ…もともと、近所づきあいのあまりなかったご家庭だったらしいから、奥さんの田舎も誰も知らなかったのね。
だけど、いつの頃からか、近所の子供達が言い出したの。その旦那さんが奥さんと子供達を奥の畳の部屋の、ちょうど真ん中に埋めてたのを見たって…子供達が言い出したことだから、当てにはならないって警察の人もそのままにしちゃったらしいけど』
今ならさすがに、子供の言うことだからってそんな蔑ろにしたりしないかもだけど、子供が学校にも通ってないってなったら放っておかないかもしれないけど、当時はそんな感じだったらしい。
若い奥さんの話が、俺の頭の中に改めて蘇る。
呆然としたまま肩で荒く呼吸を繰り返して、土にまみれて埋もれた二つの頭骸骨を懐中電灯で照らしていると、ぽっかり開いたその眼窩が、じっと俺を見つめているようで、
(…警察…)
俺は震える手でようやくズボンの尻ポケットからケータイを取り出して、110番を押したのだ。
『だけど実はその家、二十年前の住人の前にも、何人も人が亡くなってるらしいの。かれこれ四十年くらい前くらいから?
その奥さんと子供が急にいなくなったって件の後にも、今度は不動産屋がオーナーになって借家として貸し出されたこの家に入った人はいたんだけどね。二回くらい。でもやっぱり次々にお亡くなりになったり家族が行方不明になったりしているの。だからこの辺りじゃ呪われてるんじゃないかって噂に…』
俺が、四十年間空き家だったって聞いてる、って言ったら、その奥さんは「そんなはずはない」なんて、逆に驚いたっけ。
(不動産屋め…)
いや、この場合は、伯父と直接契約した不動産屋も知らなかったのかもしれない。『仲介』の『仲介』ってことで、あちこちたらいまわしにされているうちに、そんな『噂』なんて埋もれてしまうのだろう。
それに、実際には『事件』にはなってない。二十年前のその父親にしたってその後に入院してから亡くなってる(自分には家族がいないからと言って亡くなった後の葬式の手配まで自分でしたそうだ)し、それ以降の住人についてもやっぱり癌や交通事故で亡くなってるから、いわゆる『事故物件』扱いにはなってなかったんだろう。行方不明の話だってただの家出扱いらしいし。
『事故物件』については告知義務もあると聞くけど、ただの『噂』に過ぎないものについてはその限りじゃない。
ともかく、そんなことがあった家…実際、証拠が俺の目の前にある以上はこれは『事件』だ…なんて、誰も買いたがらないだろうから、この家を管理していた一番最初の不動産屋は、そんな噂をひた隠しにして売り出したに違いない。
建築関係の経済事情も教わるから、大体のところは予想だってつくんだ。『告知義務』なんて建前で、実際には、『事故』の後に誰かが契約して住んでたっていう事実があればその次の契約者には告知しなくていいっていう『抜け穴』もあって、だから不動産会社の親族に契約だけさせて一時的に住民票を置いたりしてあたかも住んでた風を装って次の契約者に対する『告知義務』を回避するなんてことも行われてたって聞く。
不動産の仲介なんて、自分で作ってる訳じゃないのもあって、売れりゃいい、ってなもんだから、実態は本当にいい加減なんだよな。
(…ともかく、美幸ネエ。これで多分助かるぞ!)
やってきたパトカーの赤いランプが、襖に眩しく映るのを見た途端、俺の体中から力がどっと抜けた。
俺の大事な、たった一人残った従姉は、これできっと助かるに違いない、そう思ったから。
でも、この時の俺は、大事なことを忘れてたんだ。
そう、この家は、その二十年前の住人が買う以前からずっと、四十年以上前から何度も人が亡くなってたってことを。
だけど俺は、二十年前の一件のことさえ解決すれば『呪い』とやらも解けるんじゃないかと思ってた。その『二十年前の一件』すら、実はそれよりずっと以前から続いていたことの一部でしかないんじゃないかってことまで頭が回らなかったんだ。
(う…わ?)
警察を出迎えようと畳へ手を突いて、部屋へ上がった途端、視界がぐにゃりと歪んだ。
眩暈と同時に吐き気も覚えて、思わず側の畳へ向かってえずいたら、
(…シミだ…)
俺の手も、側の畳も、そして俺の吐寫物も、皆が黒いシミに染まっていて、
(…綺麗にしなきゃ…綺麗に…警察の人たちが来る前に)
こんなに汚しちゃダメだって、そう思いながら、俺はふらふらと台所へ行って、流しにあった雑巾を手に取ったのだった…。
FIN~
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