かぷせるあにまるず

宇宙人の話

それでも、宇宙人の話をちゃんと聞いてくれる人はいませんでした。

そんな中で、共に十歳の男の子と女の子が、

「僕達にも話を聞かせて」

とやってきたんです。二人は、大人達の言ってることに違和感を覚えて、それで自分で確かめようと宇宙人の下を訪れました。だけど、大人達は、

「そんな怪しいヤツの言うことなんか信用するな！」

と二人を諌めます。

「子供は大人の言うことを聞いていればいいんだ！」

なんて言って。

でも、二人は思います。

『本当のことを確かめようともしない大人が、何が正しいのかなんて分かるの？』

って。

なのに、男の子と女の子も、病気を発症してしまいます。痛みと苦しみで、二人は正気を保てなくなり、狂ったように暴れる。大人達は、そんな二人に何もしてあげられません。

そして、二人をよく調べた結果、人間の手で世界にばら撒いた毒のせいだというのが、ついに突き止められてしまったのです。宇宙人を理解しようとした男の子と女の子も犠牲によって、ようやく。

大人達は後悔しました。何が正しいのかをちゃんと調べもせずに、自分達がそうであってほしいと思っていたことを盲目的に信じ込んでいたことで、幼い二人を犠牲にしてしまったと。

だけど、最初に宇宙人の話を信じた科学者と次に信じた科学者は、諦めませんでした。それまで自分達が調べたことを基にすれば男の子と女の子だけじゃなく、今まで病気になった人達も治せるかもしれないと考えて、研究を続けます。

すると、宇宙人は言いました。

「僕の役目はどうやらこれで終わりのようです。だから、僕の体を使ってください」