かぷせるあにまるず

せんのあすむ

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リスクを顧みない空気

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この世界は、そうやって、一万年単位の時間を費やして発展してきたのです。なのに、たった数百年で人口は十倍になり、貨幣経済の規模は一千倍を超え、物流の規模は一万倍を超えたと言います。

さすがにこれは異常と言えるでしょう。けれど、当時の人々は、急速に発展していく社会の熱に浮かされ、冷静に俯瞰的に物事を見るという習慣が失われてしまっていたのです。

これにより近視眼的な価値観が幅を利かせ、リスクを顧みない空気が醸成されていきました。結果としてそれが、大変な被害をもたらしたことになります。

確かにその数百年の間に科学は発展し、技術も発展し、生活はとても便利になりました。けれど同時に、世界にばらまかれた毒のこともそうですが、たくさんの便利な物を作るための資源の奪い合いが起こり、世界規模の戦争にまで至ったこともあったのです。

それまでも戦争は確かにありましたけど、強力な武器の登場で、規模が全く違ってしまいました。

もちろん、一方的に奪おうとする相手に対しては抵抗しなければならなかったとはいえ、その規模自体が、それまでとは全く違ってしまっていたのです。そうなれば当然、亡くなる人の数も、全く違ってしまいます。

世界規模の戦争については、百年ほどで沈静化しましたけど、その後も、地域を限定した紛争という形では、今なお残っています。

しかしそれ以上に、狂乱とも言える時期を経たことで、『戦争状態でさえなければいいだろう』という感覚が生まれてしまったことも否めないのかもしれません。

結果としてそれが、戦争によって失われてしまったものを取り戻そうとする気持ちとも合わさって、際限なく膨れ上がってしまったのかもしれませんね。

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