かぷせるあにまるず

多くの人々が努力を

とは言え、人は、一度手に入れてしまった便利な生活というものを手放すことはできませんでした。それに、十倍にも増えてしまった人口を支えるには、発展した科学や技術を捨てることはできなかったのです。本当にそれをするためには、人口を十分の一にまで減らすしかない。

まさか、そんなことができるはずもありません。だとすれば、十倍に増えてしまった人口を、安心安全に維持できる方法を探すしかない。

資源の奪い合いのための戦争を経て、まるで爆発のような社会の膨張を経て、人々はその失敗から学び、無謀ではない、無理のない、穏やかな社会の獲得を目指し、努力をしたのです。

『そんなことができるはずがない』

と口にする人も少なくありませんでしたが、そういう人はつまり、多くの人が苦しみ傷付き悲しむ世界のままでいいと言っているのと同じですから、それを聞き入れることもできません。

必要だから努力するんです。努力をせずに諦めるのは、無責任というものでしょう。当時の人々は、大きな失敗はしたかもしれませんが、だからといって、失敗を失敗のままで放置して、努力することまで諦めてしまうほど、愚かでもなかったということでしょう。

そして現在、全ての問題が解決したとまでは言えませんが、マナ転換炉の実用化を含め、間違いなく良い方向には行ってると考えていいのではないでしょうか。

ここに至るまでにも数百年の時間を要したものの、無闇に急いでは同じことの繰り返しになってしまいます。そうならないように、多くの人々が努力をしてきたということなのです。

それを実現しつつある今、なるほど、セイラの言うことにも一理あるのでしょう。