孤独な姫君に溺れるほどの愛を

ゆーかり

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エドは筆マメではありません。三度に一度でも返事が来れば良い方です。

それでも私は満足でした。あの手紙嫌いのエドが返事をくれるのですから、それだけでも御の字なのです。

エドからの手紙は大抵簡潔にして簡素なものでした。
今は某国にいて勉強中、疲れたとか、景色が綺麗だとかご飯が美味しいだとか……日常の何気ない一コマを切り取ったような、実に彼らしい手紙でした。

それを見るだけで、私は変わりない彼と無事とに安堵するのでした。








「リラ、お前に専属の騎士を与えよう」

珍しく祖父からの呼び出しを受け、待ち構えていたのは褐色の髪に漆黒の瞳を持つ美しい青年でした。

「リラ・グランジェリンと申します」

「ロラン・セヴクです。本日よりお側に侍る栄誉を賜りました」

ロランは跪いてこうべを垂れました。突然のことに困惑しつつ、私はロランの肩に手を置き、立ち上がるよう促しました。

「お爺様、何故突然騎士を?」

「お前ももう16だ。外へ出る機会も増えるだろうし、エスコート役の一人も居ないのは可哀想だろう」

「まあ! 酷いわお爺様ったら」

むくれる私に祖父は愉快そうに笑っています。

16となった私は、来月社交界へのデビューが決まっていました。
まだ婚約者もおらず、親しい男性も父を除けば祖父かエドしか居ない現状。確かにエスコート役には事欠いていました。

エドに至っては、もうこの所ろくに手紙の返事も来ず、いつ帰ってくるのかも分からない状況です。

改めてロランを見上げます。これほどの美丈夫にエスコートされるのならば、きっと最高のデビューを飾る事ができるでしょう。

「ロラン様、どうぞよろしくお願い致しますね」

「ロランとお呼びください、リラ様。身命を賭してお仕え致します」

ロランは私の手を取ると、恭しく甲に口付けました。
男性に免疫のない私はそれだけで、おとぎ話の王女にでもなったような、フワフワとした心地に暫しボンヤリとしてしまったのでした。
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