孤独な姫君に溺れるほどの愛を

ゆーかり

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「なあジジイ」

「何だクソガキ」

国王の執務室にて、エドヴァルドは祖父に差し向っていた。
ふざけ合っているようだが二人の表情は至って真面目そのものだ。

「リラは俺の送ったネックレスを身に着けていたぞ。見ただろ」

「そうだったかぁ?」

「はっ耄碌もうろくしたかジジイ。だが約束まで忘れたとは言わせないぞ」

王はにっと笑うと蓄えた顎髭あごひげを撫でた。

「ああ、確かに言ったな。リラが了承すれば婚姻を許すと」

「ならとっとと──」

「で、リラは了承したのか?」

エドヴァルドは言葉に詰まる。了承どころかまだハッキリとプロポーズすらしていない。

「ふん、想いも伝えられないガキが粋がるなよ」

「ジジイ……何でセヴク家の者を側に置いたんだ」

「ロランは良い男だ。それにリラの選択肢が一つしかないのはフェアじゃない。そうだろ?」

この顔、絶対面白がっている……エドヴァルドは拳を握りしめた。
ジジイ……もとい王が認めたのなら、ロランに二心はないのだろう。

だが──

理性と感情は必ずしも一致しない。
ロラン自身に罪はないが、両親を奪われた――その恨みはずっと胸の奥に燻っている。生涯消えることのない痛みだろう。

「まああの遊学を3年で終わらせた事は大いに褒めてやる。お前、山は高い方が燃えるだろ? ん?」

──こンのクソジジイが!

祖父は本当にエドヴァルドには容赦がない。この遊学だって通常10年かけて学ぶことを3年で終わらせたのだから、エドヴァルドの苦労も偲ばれるというもの。

どんなにハードな課題を与えようとも、エドヴァルドは必ずそれに応えてきた。祖父はそれが面白くて愉快で仕方がないようだった。

「まだまだ課題は山積みだが、これからはリラの側にも居られるし、まあせいぜい励めよ。ロランはあの通り良い男だからな」

持ち上げつつもしっかりエドヴァルドを煽ることも忘れない。本当に良い性格をしている、とエドヴァルドは苦々しく思う。

「ジジイらしい最っ高の人選だな。感謝するよ」

「そうだろ? お前もやっと分かるようになったな、頼もしいことだ」

内心舌打ちしつつ、エドヴァルドは不敵に笑んだ。

「ああ、伊達に3年遊んできた訳じゃないからな、精々期待してろジジイ」

祖父は手を止めて頬杖をつくと、目尻の皺を深めた。
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