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白鷺と鶴と
上陸
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備前・岡山城。
坂崎直盛は切支丹の動向に神経を尖らせていた。
(自分が治めているところで九州のように暴動など起こされてしまっては…)
自分の統治者としての経歴に疵がつくだけではない。あの憎き宇喜多秀家の方が良かったと言われるようなことは絶対に許されない。
春から厳しく詮議するように指示を出しているが、それでも成果は薄い。
「殿…」
そんな状況のところに、家臣が声をかけてきた。
「何だ? わしは忙しいのに」
とは言っても、何かをしているわけではない。ただ、「何かしなければならない」と考えているので忙しいと思い込んでいるのであるが。
「領内の切支丹が、数人ほど備前を出たいと申しておりますが」
「何? そんなことが認められ…」
と言いかけて、直盛は考える。
(置いておいて、暴動を起こされるくらいなら追放にした方がいいのかもしれん。隣で問題を起こしても知らぬ存ぜずで決め込めばよいし)
「一応、殿の裁可を仰ぐ必要があると思いましたが、いかがいたしましょう?」
「分かった。出ていく分には認めてやれ」
「よろしいのですか?」
「構わぬ。変に不満分子になるくらいなら相手の方に走らせた方がいいだろう」
「分かりました」
夜の瀬戸内海は真っ暗であるが、僅かな月明かりに目を凝らすと動いているものがあった。耳も澄ませると舵を漕ぐ音、船がきしむ音も僅かに聞こえてくる。
船は児島の西側に向かって動いている。一山超えたあたりであると人の住む場所はない。しかし、その岸にはかがり火のようなものが見えていた。
「よし、あそこにつけるぞ」
微かに船体と舵がきしむ音をたてながら、船は陸へと向かっていく。
翌朝、児島の湊の人々が起きてきた頃には、事態は一変していた。
「き、北に…福島軍が!」
町の北側には福島正則の兵士が大挙している。南の海側を見ると、豊臣家の旗を携えた船が続々と近づいてきていた。
児島湊の代表は唖然とした顔で海を向いた。
南はともかくとして、いつのまに北に回り込まれたのか。
しかし、ここまで包囲されると港町にはどうすることもない。
「湊を開いて、受け入れるしかない」
「まずは上々のようですな」
上陸した山内忠義、蜂須賀至鎮も上機嫌で福島正則と合流する。
その後から、遅れて豊臣秀頼も児島に上陸した。
「しかし、湊ではないところにかがり火を立てて、そこから夜中の強行軍で湊の北部を包囲するとはさすがに福島殿、豊臣の一番大将は健在でしたな」
至鎮の言葉に、正則が笑い声をあげる。
「はははは、そう言ってもらえるとうれしいが、この程度で満足するような福島正則ではありませんぞ」
そう言って、視線を北東に向ける。
「まずは岡山の坂崎め、であるな…」
まるでこの夜に食べる料理を想像しているかのように、舌なめずりをした。
児島に上陸されたという報告はすぐに岡山城の直盛のところにももたらされる。
「児島いた連中は何をやっていたのじゃ!?」
「恐れながら、どうも追放された面々が湊の外れ側で福島隊を迎え入れたのではないかという話もございます」
侍大将の言葉に、直盛が血走った目を向ける。
「何じゃ? その方、わしのせいでこうなったと言いたいのか?」
「い、いえ、そういうわけでは…」
「児島が占領されたら、岡山もすぐに攻撃を受けることになる! 鳥取の吉川殿に早く援軍要請を出せ!」
「は、ははっ」
直盛の癇癪を被ってはたまらない。侍大将は脱兎のごとく駆け出していった。
「西の三原にも急使を送れ! 広島にも伸びていくかもしれぬからな」
山内忠義を児島に残し、福島正則を先頭に豊臣軍は岡山へと向かっていく。
「良いか、領民に呼びかけるのだ。我々は敵ではない、とな」
「はい」
至鎮の指示を受けて、伝令が次々と走っていく。
「いや、しかし、武士であるわしらが、農民一揆の真似事をすることになるとはのう」
至鎮が笑い、秀頼も応じる。
一年前、九州で切支丹が一揆を起こしていた時に一番威力を発揮したのは、農民や領民への浸透であった。領民が相手の行動を逐一連絡しあっていたため、加藤家などはやることなすことが全て筒抜けであり、結局は宇土を奪われることになった。
切支丹の農民などはお互いの連絡を密に行う。忠直や信綱からそのことを聞いていた秀頼もまた、その手を採用することにしたのである。
「しかし、後々宇喜多様に怒られませんかな?」
もっとも、それだけであれば切支丹以外の領民には響くものがない。そこで、「豊臣家が備前を占領した暁には宇喜多秀家が備前領主に戻る。そうなれば、今よりはよくなるぞ」と呼びかけることにした。
「さあて。ただ、好き放題言っておいて、終わってみてから、自分は八丈島にいたいのだ、とか寺にでもいたいのだ、というのは身勝手ではないか。義兄上にもきちんと働いてもらわないとな」
秀頼はそう言って、楽しそうに笑った。
「殿、岡山の領民に不穏な気配が!」
岡山城では、再び侍大将らがひっきりなしに駆け込んでくる。
坂崎直盛はこめかみに血管を浮かばせながら叫んでいた。
「たわけが! 元々不穏だっただろう! 敵が近寄ってきたら尚のこと不穏になるのは当然じゃ! そんなことを一々言っていたら戦にならんわ!」
「いや、しかし…」
「わしは元々領民など信用しておらんわ! 領民共が暴れたとて、この岡山城はビクともせんわ! 忘れたか?」
「あ、左様でございましたな…」
「ここには一年分の兵糧があるし、4000の兵が十分活動できるだけの状況はある。お主も含めてここにいる兵士共は津和野からの古参じゃ。ビクビクするな」
直盛が侍大将の肩に手を置く。
「吉川殿から攻め込まれた場合は被害を考える必要はなく、とにかく時間を稼ぐように言われておる。その路線通りの道を進んでおる。良いか? 全ては予定通り、なのじゃ」
「は、はははは」
全て予定通りとはとても言えないのではないか、そういう表情が侍大将の顔に浮かんでいた。
児島から岡山への十里ほどの道を進む間、豊臣秀頼らにも岡山の状況が伝わってくる。
「坂崎直盛は籠城のつもりらしい。岡山にいるのは津和野からの古参兵らしいので、動揺は少ないということらしいな」
「ははは、それはそうでしょうが、津和野の古参がいい扱いを受けるのなら、備前の連中は全員こちらに駆け込んでくるでしょう。そこにいる領民を大切にできないのなら、池田と同じです」
福島正則が豪快に笑う。
「まあ、籠城でもしてくれるのは有難い。わしは関ヶ原の時から15年、つまらないことばかりさせられていたからのう」
戦場という場所が福島正則に力を与えているらしい。
その姿を頼もしいと秀頼は思い、このような家臣を多数抱えていた父・秀吉の凄さを改めて感じるのであった。
坂崎直盛は切支丹の動向に神経を尖らせていた。
(自分が治めているところで九州のように暴動など起こされてしまっては…)
自分の統治者としての経歴に疵がつくだけではない。あの憎き宇喜多秀家の方が良かったと言われるようなことは絶対に許されない。
春から厳しく詮議するように指示を出しているが、それでも成果は薄い。
「殿…」
そんな状況のところに、家臣が声をかけてきた。
「何だ? わしは忙しいのに」
とは言っても、何かをしているわけではない。ただ、「何かしなければならない」と考えているので忙しいと思い込んでいるのであるが。
「領内の切支丹が、数人ほど備前を出たいと申しておりますが」
「何? そんなことが認められ…」
と言いかけて、直盛は考える。
(置いておいて、暴動を起こされるくらいなら追放にした方がいいのかもしれん。隣で問題を起こしても知らぬ存ぜずで決め込めばよいし)
「一応、殿の裁可を仰ぐ必要があると思いましたが、いかがいたしましょう?」
「分かった。出ていく分には認めてやれ」
「よろしいのですか?」
「構わぬ。変に不満分子になるくらいなら相手の方に走らせた方がいいだろう」
「分かりました」
夜の瀬戸内海は真っ暗であるが、僅かな月明かりに目を凝らすと動いているものがあった。耳も澄ませると舵を漕ぐ音、船がきしむ音も僅かに聞こえてくる。
船は児島の西側に向かって動いている。一山超えたあたりであると人の住む場所はない。しかし、その岸にはかがり火のようなものが見えていた。
「よし、あそこにつけるぞ」
微かに船体と舵がきしむ音をたてながら、船は陸へと向かっていく。
翌朝、児島の湊の人々が起きてきた頃には、事態は一変していた。
「き、北に…福島軍が!」
町の北側には福島正則の兵士が大挙している。南の海側を見ると、豊臣家の旗を携えた船が続々と近づいてきていた。
児島湊の代表は唖然とした顔で海を向いた。
南はともかくとして、いつのまに北に回り込まれたのか。
しかし、ここまで包囲されると港町にはどうすることもない。
「湊を開いて、受け入れるしかない」
「まずは上々のようですな」
上陸した山内忠義、蜂須賀至鎮も上機嫌で福島正則と合流する。
その後から、遅れて豊臣秀頼も児島に上陸した。
「しかし、湊ではないところにかがり火を立てて、そこから夜中の強行軍で湊の北部を包囲するとはさすがに福島殿、豊臣の一番大将は健在でしたな」
至鎮の言葉に、正則が笑い声をあげる。
「はははは、そう言ってもらえるとうれしいが、この程度で満足するような福島正則ではありませんぞ」
そう言って、視線を北東に向ける。
「まずは岡山の坂崎め、であるな…」
まるでこの夜に食べる料理を想像しているかのように、舌なめずりをした。
児島に上陸されたという報告はすぐに岡山城の直盛のところにももたらされる。
「児島いた連中は何をやっていたのじゃ!?」
「恐れながら、どうも追放された面々が湊の外れ側で福島隊を迎え入れたのではないかという話もございます」
侍大将の言葉に、直盛が血走った目を向ける。
「何じゃ? その方、わしのせいでこうなったと言いたいのか?」
「い、いえ、そういうわけでは…」
「児島が占領されたら、岡山もすぐに攻撃を受けることになる! 鳥取の吉川殿に早く援軍要請を出せ!」
「は、ははっ」
直盛の癇癪を被ってはたまらない。侍大将は脱兎のごとく駆け出していった。
「西の三原にも急使を送れ! 広島にも伸びていくかもしれぬからな」
山内忠義を児島に残し、福島正則を先頭に豊臣軍は岡山へと向かっていく。
「良いか、領民に呼びかけるのだ。我々は敵ではない、とな」
「はい」
至鎮の指示を受けて、伝令が次々と走っていく。
「いや、しかし、武士であるわしらが、農民一揆の真似事をすることになるとはのう」
至鎮が笑い、秀頼も応じる。
一年前、九州で切支丹が一揆を起こしていた時に一番威力を発揮したのは、農民や領民への浸透であった。領民が相手の行動を逐一連絡しあっていたため、加藤家などはやることなすことが全て筒抜けであり、結局は宇土を奪われることになった。
切支丹の農民などはお互いの連絡を密に行う。忠直や信綱からそのことを聞いていた秀頼もまた、その手を採用することにしたのである。
「しかし、後々宇喜多様に怒られませんかな?」
もっとも、それだけであれば切支丹以外の領民には響くものがない。そこで、「豊臣家が備前を占領した暁には宇喜多秀家が備前領主に戻る。そうなれば、今よりはよくなるぞ」と呼びかけることにした。
「さあて。ただ、好き放題言っておいて、終わってみてから、自分は八丈島にいたいのだ、とか寺にでもいたいのだ、というのは身勝手ではないか。義兄上にもきちんと働いてもらわないとな」
秀頼はそう言って、楽しそうに笑った。
「殿、岡山の領民に不穏な気配が!」
岡山城では、再び侍大将らがひっきりなしに駆け込んでくる。
坂崎直盛はこめかみに血管を浮かばせながら叫んでいた。
「たわけが! 元々不穏だっただろう! 敵が近寄ってきたら尚のこと不穏になるのは当然じゃ! そんなことを一々言っていたら戦にならんわ!」
「いや、しかし…」
「わしは元々領民など信用しておらんわ! 領民共が暴れたとて、この岡山城はビクともせんわ! 忘れたか?」
「あ、左様でございましたな…」
「ここには一年分の兵糧があるし、4000の兵が十分活動できるだけの状況はある。お主も含めてここにいる兵士共は津和野からの古参じゃ。ビクビクするな」
直盛が侍大将の肩に手を置く。
「吉川殿から攻め込まれた場合は被害を考える必要はなく、とにかく時間を稼ぐように言われておる。その路線通りの道を進んでおる。良いか? 全ては予定通り、なのじゃ」
「は、はははは」
全て予定通りとはとても言えないのではないか、そういう表情が侍大将の顔に浮かんでいた。
児島から岡山への十里ほどの道を進む間、豊臣秀頼らにも岡山の状況が伝わってくる。
「坂崎直盛は籠城のつもりらしい。岡山にいるのは津和野からの古参兵らしいので、動揺は少ないということらしいな」
「ははは、それはそうでしょうが、津和野の古参がいい扱いを受けるのなら、備前の連中は全員こちらに駆け込んでくるでしょう。そこにいる領民を大切にできないのなら、池田と同じです」
福島正則が豪快に笑う。
「まあ、籠城でもしてくれるのは有難い。わしは関ヶ原の時から15年、つまらないことばかりさせられていたからのう」
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