超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜

ネリムZ

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黒巫女召喚士と暴食の悪魔

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 わたしはベルゼブブに接近して鎌を振り下ろす、ベルゼブブは右に体をずらして躱し、足に力を入れて右拳を突き出す。
 それを屈んで躱し鎌を振り上げて切り裂く。
 そして霊符を貼ろうとさらに接近するとベルゼブブは大きくバックステップをして距離を取る。
 霊符【風足】を使って距離を一気に詰めると目の前に剣士骸骨が現れた。
 わたしは剣士骸骨に突撃する形に成ってしまったのだ。
 ベルゼブブに攻撃しようとしていた剣士骸骨はバランスを崩してすぐに建て直して横にステップして距離を取る。

「す、すまん」
「いや、わたしも見てなかった」

 骸骨達は見方NPCでパーティメンバー扱いだ。
 攻撃すれば反動が来たりノックバックしてしまう。
 ベルゼブブは右手を前に突き出す。

『【ダークプリズム】』

 複雑な形の黒紫が形成されてそれが放たれた。
【風足】を使ってバックステップをして後ろに大きく下がり距離を大幅に取る。
 剣士骸骨は左に構えている盾を前に出してガードしている。

「【ホーリー】」

 魔法使いの骸骨が味方全体にバフを掛ける。
 バフの内容としてはステータスが10パーセント上昇するのと悪魔に対するダメージが上昇する。

 わたしと剣士骸骨は同時に地を蹴り弱点に向かって鎌と剣を同時に振り下ろす。
 弱点に当たる前に鎌と剣が当たり、互いに反動とノックバックを受ける。
 鎌が後ろに引っ張られるように弾かれた。
 それに合わせて体も仰け反る。
 足に力を入れてバク転して体制を直して地面に着地する。

『ふん、動きが格段に悪く成ったな。【ダークロープ】』

 右手から出された1本の蛇のような触手。
 自由自在に動かせるようで的確にわたしと剣士骸骨に向かって動く。
 その速度も速く鞭を操っている人と何ら変わりない。

 まずい。
 この状態だとハク達にも危害が及ぶかもしれない。
 それだけは阻止する。
 ネマは今でも動き出したい様子だし⋯⋯だけど、このままだとジリ貧だ。
 剣士骸骨達に攻撃を辞めろとも言えないし、ベルゼブブのHPが2割減って出て来たイベントならNPCである剣士骸骨達に意味があるのかも不明だ。

「ネマ、イサ、マナ、ハク、全力で逃げろ!」

 ベルゼブブの出した黒紫の鞭の長さはそこそこ長いが最大距離があるようだ。
 ベルゼブブは鞭を操作している間は足を動かして居ない。
 便利な魔法だ。動けなくても当然と言えば当然かもしれない。
 変化自在で自由に動ける武器があればそれは最早チートだろう。

 ベルゼブブの鞭の射程範囲からハク達は全力で逃げてターゲットが変更しないようにわたしは射程範囲内に留まりタゲ取りをする。
 この時でも妖術は意味が無いようだ。
 魔法使い骸骨は再使用可能時間《リキャストタイム》が終わったようで再び【ターンデーモン】を放つ。
 ベルゼブブはそれを大きく動いて躱し、その際に黒紫の鞭も消える。
 ベルゼブブが地面に着地したタイミングで攻撃する為に接近しようとするが、それは剣士骸骨も同じ事を考えていると思いわたしは動くのを辞めた。
 結果、どちらも動かない。同じような思考や考えだとこのようなミスもあったりする。

『【ダークプリズン】』

 ベルゼブブが右手を掲げて放たれた黒紫の球体は破裂して檻のようになり降り注ぐ。

「させるか。天使タロット様。悪しき暴食之悪魔から守る力を、【ホーリーシールドエリア】!」

 わたし達を覆い被さるような薄金色の結界を魔法使い骸骨が顕現させて黒紫の檻を止める。
 そして薄金色に黒紫が侵食して行く。
 水に絵の具を落とした時のような広がり方で侵食して行くが、途中で互いに霧散し打ち消しあった。

 わたしは気を持ち直してベルゼブブに接近して鎌を斜めに振るう。
 ベルゼブブは鎌を左手で防いだがすぐに霊符【風槍】を解放して弱点に風の槍を突き刺した。
 剣士骸骨はベルゼブブの背後を再び取り剣を斜めに振るう。

『【ダークシールド】【パーフェクトキューブ】』

 黒紫の結界の立方体がベルゼブブは完璧に包み込む。
 剣士骸骨の剣は弾かれて鎌は投げられる。
 わたしは鎌を取ってベルゼブブに集中する。

『フー。我が名は暴食之悪魔、捕食の限りを尽くす欲望の塊なり。我が名を持って顕現させよ。【ダークナイツ・マリオネット】!』

 空に雲が掛かりそこから1つ、また1つと黒紫の液体が落ちて来る。
 地面に落ちて水溜まりのように成る。
 それは攻撃8つと成っていた。
 液体は自ら動き出して形を構成して行く。
 そして出来たのは液体版ゴーレムのような黒紫の物体であった。
 8体全員が盾と剣を持ち目は無く口が裂けたように開き液体がポトポトと口の中に落ちる牙を持っている。
 液体が流れるような模様をしているその物体は気持ち悪さを体現したような存在だった。
 キモイ、幽霊などが苦手な人なら発狂しているレベルで怖い顔、そしてキモイ。

「きしょ」

 ただ一言そう言ってわたしは地を蹴ってベルゼブブの生み出した人形《マリオネット》に近づき鎌を横薙ぎに払う。

『馬鹿め、それは魔力の塊、そんじょそこらの武器では攻撃を当てる事すら出来ぬわ』
「あっそ」

 巫者の大鎌はどんな物質だろうが攻撃を与える事が出来る。
 それがMP魔力の塊だろうがなんだろうが関係ないのだ。
 ただ、斬る。

 胴体を横に真っ二つに切り裂かれた黒紫の人形は消滅した。

『何?』
「悪いが、貰った鎌にそんなのは通用しない!」
「あれ?そんな口調だったけ?」

 剣士骸骨の疑問に対して疑問をぶつける。

「いや、何で話し方知ってんのよ?居たの?」
「ま、まぁ」
「あっそ」

 聞いて居てなんだがベルゼブブよりも重要じゃないのでベルゼブブに集中する。
 残り7体の人形をどう倒そうと検討しているとベルゼブブが動く。

『【ダークスラッシュ】』

 黒紫の斬撃がわたしに向かって飛んで来る。
 バックステップで躱したり力を込めて前進して潜り避けしたりと躱す。
 そして迫り来る人形達の斬撃も躱し鎌で横薙ぎに斬り裂いたり、縦に真っ二つにしたり。
 わたしが人形を相手している間に剣士骸骨はベルゼブブに攻撃を仕掛ける。
 魔法を使わせる時間を与えないように猪突猛進している。
 近接攻撃も盾でガードしたり受け流したりする。

 人形は剣士骸骨よりもわたしを優先して襲って来る。

「霊符風刀解」

 ベルゼブブの作り出した人形に風の斬撃が飛んで行く。
 ベルゼブブの作り出した人形は盾を前に突き出す。
 そして盾に呑み込まれるように風の斬撃は入って行った。

「まじかよ」

 あの盾には捕食の力があるようだ。
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