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黒巫女召喚士と暴食の悪魔
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ベルゼブブの人形は形を変えて背中から触手のような細い物を形成してわたしに向かって動かす。
わたしはそれをステップしながら躱して回転して遠心力を乗せて鎌を横薙ぎに振るい胴体を斬り飛ばす。
人形はベルゼブブとは雲泥の差で斬るのは容易いし1度真っ二つに斬れば魔力となり消えるので倒すのも簡単だ。
さらに動きも鈍いので避けるのも簡単だし接近も用意。
そして人形の殲滅を終わってベルゼブブに視線を向けると魔法を躱したり盾で受け流したりしてベルゼブブとの格闘も行い、隙を見ては攻撃している剣士骸骨を見る。
「ダメだな」
剣士骸骨の動きが良くでどのタイミングで参戦するべきか分からない。
「急がないと」
もうすぐわたしに切り替わってから1時間が経過してしまう。
嫌な感じが滅茶苦茶増して喉辺りまで来ている感覚だ。
後、ちょっとした捻りさえあれば溢れ出て来そうな、そんな感じだ。
だけど、焦りは禁物だ。
相手は強者であり仲間も強い。
だが、そこに自分が入ると仲間の足を引っ張り自分の動きも悪くなる。
寧ろこのまま見守って終わる方が良いのではないだろうかと考えてしまう程に。
だけどそんな流暢な時間は今のわたしには存在しない。
急いで倒さないといけない。だけどベルゼブブは素早く硬くそして強い。
悔しいが今のわたしでは速攻で倒せない。
でも、負けるのは嫌だしわたしの出て来た意味が無い。
「畜生」
どう考えてもわたしでは仲間と共闘してベルゼブブと戦う事が出来ない気がして成らない。
「わ~ん?」「にゃ~」「ギャラ~」「きゅ~ん」
「はは、まじかよ」
まさかハク達にも心配されてしまうとは。
そんな顔していたのかよ。情けないね。
でも、撫でようとすると逃げるのは変わらないようだな。
『そうだよ。私達には皆が居るよ』
そんな脳内メッセージを受け取る。
「うそ、だろ」
掠れながらそんな言葉を漏らす。
頑張って来て、ここまで来て、そしてゲームでこうなった。
わたしは鎌を杖のように地面に刺し両手で凭れ掛かる。
「ここまで、来たのに。ここまで、来れたのに」
ゲームの精神状態が一定値を観測してわたしの目から涙が零れ落ちる。
皆の心配そうな顔が深まり何声も弱く成って行く。
だけど、そんなのが耳に通る事は無かった。
「全部、思い出したのか?」
ここまでやって来て。そして隠して来て、ゲームでわたしが再び来て、また来て、また来て。そして目覚めるとか、まじ無いわ。
『うん。全部、思い出したよ』
わたしが頑張って記憶を消して来たのに。
『そうだね。桃ちゃんの事、初心者狩りの事、バグ乱用の人』
全部、無駄に終わったじゃあねえか。
『そうかな?』
嗚呼《ああ》?
『私はそうは思わないよ。確かに君のお陰で私は嫌な記憶を忘れて楽しくゲームをしていました。だけどね。桃ちゃんの事を忘れてのうのうと生きて居た事に私は悲しい気持ちに成ったんだよ?』
⋯⋯⋯⋯。
『でもね。私は貴女に対して思うのは感謝しかないよ。私の為に頑張ってくれてありがとう。ネマちゃんの事ありがとう。ハクちゃん達の事ありがとう。もうね。1人?で背負わないで。私はわたし。わたしは私なんだから』
背中から誰かが抱き締めて来るような温かみを感じた。
母親が泣く子を慰める為のような、そんな温もりを感じる。
わたしの涙は次第に勢いを増して行く。
「畜生」
そう呟いた。
1人で背負うな、か。
はは、私らしいな。
ベルゼブブに勝ちたいと思う気持ちは、同じか?
『そもそも私からだしね!』
「そっか」
「ワン!」「ニャン!」「ギャラー!」「コン!」
皆を見ると決意のような覚悟の火がその瞳に宿っていた。
私も言いたい事や思っている事はあるだろう。
だけど、今は後だ。
『答えは決まった?』
「嗚呼、そうだな。もう、全部1人で解決しようと言う理念は捨てるよ。でも、まさかこんな日がゲームの中で起こるとはな」
『凄いよね~』
「そうだな」
第三者から見たら独り言で会話をしている人にしか見えない。
だけど、そんな人は居ない。
皆共通の敵、ベルゼブブに集中しているからだ。
『行きますか』
「そうだな」
『「こっからが本番だよ(だ)!」』
体を操作するのはわたし、全体を確認するのは私。動きを制限して脳内ですぐにそれを処理する。
体や脳は共通している。ただ、中身が2つあるだけだ。
それが普通じゃない事は分かっている。でも、そんなのは関係ない。
今重要なのはベルゼブブに勝つか、倒すかだ。
「ネマちゃん達、行くよ!」
皆からの咆哮を聞き届け地を蹴りベルゼブブに接近する。
剣士骸骨は前方からベルゼブブを相手にしているのでこちらも正面から行く。
跳躍して剣士骸骨の上を通り剣士骸骨の剣がベルゼブブの弱点を斬り裂いた瞬間に鎌を振るう。
そしてベルゼブブを足場にして高く跳躍してマナちゃんにキャッチして貰う。
そしてネマちゃんが攻撃して剣士骸骨の股を潜り後ろに下がる。
『邪魔を【ダークダート】』
ダーツに使う矢が黒紫で生成される。
「ハクちゃんは剣士骸骨さんに防御バフ!」
「コン!」
剣士骸骨が跳躍して私達に向けられて放たれたダートを盾で防ぐ。
地面に着地してベルゼブブに接近して鎌を横薙ぎに振るい跳躍する。
剣士骸骨が私の下から剣を横に振るい攻撃を当てる。
そして師匠のお父さんからの魔法も放たれベルゼブブは回避行動を取る。
『全く、今度はなんなんだ』
ベルゼブブは私の動きが変わった事に混乱しているようだ。
ネマちゃんを背中に忍ばせてベルゼブブに接近する。
そして鎌を振るうがベルゼブブは鎌を右手で掴む、背後からネマちゃんが飛び出て来て弱点に引っ掻く。
ベルゼブブは鎌から手を離してネマちゃんに向かって拳を振るう。
心苦しいがネマちゃんを鎌で回収して抱き寄せて後ろに跳躍して着地する。
入れ替わるように剣士骸骨が接近して剣を振るう。
『んー体だけを動かすって変な気分だな』
うん、確かに自分も意識と口だけを動かしているので変な気分だ。
二重人格の人ってこんな気分なんだろう。
『いや、こんなケース滅多にないぞ?わたし達絶対レアだよ?それにゲームでこうなっているし』
そうだね。
ベルゼブブに集中しよう。
『そうだな』
私達は鎌を構え直してベルゼブブに接近する。
駆けた時の勢いを鎌に乗せてベルゼブブに振るう。
合わせてネマちゃんも攻撃して互いの方向に大きくステップする。
その分かれ目に剣を振るう剣士骸骨。
ベルゼブブのHPはあと少しで3割減る事に成る。
わたしはそれをステップしながら躱して回転して遠心力を乗せて鎌を横薙ぎに振るい胴体を斬り飛ばす。
人形はベルゼブブとは雲泥の差で斬るのは容易いし1度真っ二つに斬れば魔力となり消えるので倒すのも簡単だ。
さらに動きも鈍いので避けるのも簡単だし接近も用意。
そして人形の殲滅を終わってベルゼブブに視線を向けると魔法を躱したり盾で受け流したりしてベルゼブブとの格闘も行い、隙を見ては攻撃している剣士骸骨を見る。
「ダメだな」
剣士骸骨の動きが良くでどのタイミングで参戦するべきか分からない。
「急がないと」
もうすぐわたしに切り替わってから1時間が経過してしまう。
嫌な感じが滅茶苦茶増して喉辺りまで来ている感覚だ。
後、ちょっとした捻りさえあれば溢れ出て来そうな、そんな感じだ。
だけど、焦りは禁物だ。
相手は強者であり仲間も強い。
だが、そこに自分が入ると仲間の足を引っ張り自分の動きも悪くなる。
寧ろこのまま見守って終わる方が良いのではないだろうかと考えてしまう程に。
だけどそんな流暢な時間は今のわたしには存在しない。
急いで倒さないといけない。だけどベルゼブブは素早く硬くそして強い。
悔しいが今のわたしでは速攻で倒せない。
でも、負けるのは嫌だしわたしの出て来た意味が無い。
「畜生」
どう考えてもわたしでは仲間と共闘してベルゼブブと戦う事が出来ない気がして成らない。
「わ~ん?」「にゃ~」「ギャラ~」「きゅ~ん」
「はは、まじかよ」
まさかハク達にも心配されてしまうとは。
そんな顔していたのかよ。情けないね。
でも、撫でようとすると逃げるのは変わらないようだな。
『そうだよ。私達には皆が居るよ』
そんな脳内メッセージを受け取る。
「うそ、だろ」
掠れながらそんな言葉を漏らす。
頑張って来て、ここまで来て、そしてゲームでこうなった。
わたしは鎌を杖のように地面に刺し両手で凭れ掛かる。
「ここまで、来たのに。ここまで、来れたのに」
ゲームの精神状態が一定値を観測してわたしの目から涙が零れ落ちる。
皆の心配そうな顔が深まり何声も弱く成って行く。
だけど、そんなのが耳に通る事は無かった。
「全部、思い出したのか?」
ここまでやって来て。そして隠して来て、ゲームでわたしが再び来て、また来て、また来て。そして目覚めるとか、まじ無いわ。
『うん。全部、思い出したよ』
わたしが頑張って記憶を消して来たのに。
『そうだね。桃ちゃんの事、初心者狩りの事、バグ乱用の人』
全部、無駄に終わったじゃあねえか。
『そうかな?』
嗚呼《ああ》?
『私はそうは思わないよ。確かに君のお陰で私は嫌な記憶を忘れて楽しくゲームをしていました。だけどね。桃ちゃんの事を忘れてのうのうと生きて居た事に私は悲しい気持ちに成ったんだよ?』
⋯⋯⋯⋯。
『でもね。私は貴女に対して思うのは感謝しかないよ。私の為に頑張ってくれてありがとう。ネマちゃんの事ありがとう。ハクちゃん達の事ありがとう。もうね。1人?で背負わないで。私はわたし。わたしは私なんだから』
背中から誰かが抱き締めて来るような温かみを感じた。
母親が泣く子を慰める為のような、そんな温もりを感じる。
わたしの涙は次第に勢いを増して行く。
「畜生」
そう呟いた。
1人で背負うな、か。
はは、私らしいな。
ベルゼブブに勝ちたいと思う気持ちは、同じか?
『そもそも私からだしね!』
「そっか」
「ワン!」「ニャン!」「ギャラー!」「コン!」
皆を見ると決意のような覚悟の火がその瞳に宿っていた。
私も言いたい事や思っている事はあるだろう。
だけど、今は後だ。
『答えは決まった?』
「嗚呼、そうだな。もう、全部1人で解決しようと言う理念は捨てるよ。でも、まさかこんな日がゲームの中で起こるとはな」
『凄いよね~』
「そうだな」
第三者から見たら独り言で会話をしている人にしか見えない。
だけど、そんな人は居ない。
皆共通の敵、ベルゼブブに集中しているからだ。
『行きますか』
「そうだな」
『「こっからが本番だよ(だ)!」』
体を操作するのはわたし、全体を確認するのは私。動きを制限して脳内ですぐにそれを処理する。
体や脳は共通している。ただ、中身が2つあるだけだ。
それが普通じゃない事は分かっている。でも、そんなのは関係ない。
今重要なのはベルゼブブに勝つか、倒すかだ。
「ネマちゃん達、行くよ!」
皆からの咆哮を聞き届け地を蹴りベルゼブブに接近する。
剣士骸骨は前方からベルゼブブを相手にしているのでこちらも正面から行く。
跳躍して剣士骸骨の上を通り剣士骸骨の剣がベルゼブブの弱点を斬り裂いた瞬間に鎌を振るう。
そしてベルゼブブを足場にして高く跳躍してマナちゃんにキャッチして貰う。
そしてネマちゃんが攻撃して剣士骸骨の股を潜り後ろに下がる。
『邪魔を【ダークダート】』
ダーツに使う矢が黒紫で生成される。
「ハクちゃんは剣士骸骨さんに防御バフ!」
「コン!」
剣士骸骨が跳躍して私達に向けられて放たれたダートを盾で防ぐ。
地面に着地してベルゼブブに接近して鎌を横薙ぎに振るい跳躍する。
剣士骸骨が私の下から剣を横に振るい攻撃を当てる。
そして師匠のお父さんからの魔法も放たれベルゼブブは回避行動を取る。
『全く、今度はなんなんだ』
ベルゼブブは私の動きが変わった事に混乱しているようだ。
ネマちゃんを背中に忍ばせてベルゼブブに接近する。
そして鎌を振るうがベルゼブブは鎌を右手で掴む、背後からネマちゃんが飛び出て来て弱点に引っ掻く。
ベルゼブブは鎌から手を離してネマちゃんに向かって拳を振るう。
心苦しいがネマちゃんを鎌で回収して抱き寄せて後ろに跳躍して着地する。
入れ替わるように剣士骸骨が接近して剣を振るう。
『んー体だけを動かすって変な気分だな』
うん、確かに自分も意識と口だけを動かしているので変な気分だ。
二重人格の人ってこんな気分なんだろう。
『いや、こんなケース滅多にないぞ?わたし達絶対レアだよ?それにゲームでこうなっているし』
そうだね。
ベルゼブブに集中しよう。
『そうだな』
私達は鎌を構え直してベルゼブブに接近する。
駆けた時の勢いを鎌に乗せてベルゼブブに振るう。
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