超ゲーム初心者の黒巫女召喚士〜動物嫌われ体質、VRにモフを求める〜

ネリムZ

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黒巫女召喚士と暴食の悪魔

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『小賢しい虫共め!粉砕してやる【ダークハンマー】』

 ベルゼブブの真上の虚空から黒紫の大きなトンカチが現れる。
 そしてゆっくりと私と剣士骸骨に向かって振られて行く。
 大きいからかスピードはゆっくりだ。

 剣士骸骨以外の通常骸骨達は私達の動きに付いて行く事が出来ないで呆然としている。

「スケルトンナイト達の蘇生にも魔力は消費する。どうかあれを防ぎたい!」
「え、わ、分かりました」

 あんな大きな物どうやって防ごうか?
 いや、防ぐ必要無いね。
 あの速度ならマナちゃんの方が速い!

「マナちゃん!」

 マナちゃんに飛び乗り皆も乗る。
 そしてマナちゃんの足で剣士骸骨さんを回収して霊符【風弾】を骸骨達──スケルトンナイトに向かって放つ。
 四方八方に飛んで行くスケルトンナイトを見て黒紫のハンマーの射程範囲から弾き飛ばす。
 そしてハンマーの持ち手は細いのでそこの横をすれ違うように飛んで通る。
 くるりんと1回転してマナちゃんはベルゼブブの方向に向き直る。
 マナちゃんの魔法を放ってやりたいがベルゼブブには意味が無いので辛い。
 私達の戦い方では魔法と妖術がメイン火力だ。
 ベルゼブブは地面に居るので空中に居ると逆に戦い難い。
 マナちゃんから飛び降りて地面に着地する。
 もすぐでベルゼブブのHP3割を減らせる。

「行きます!」
「ああ!」

 鎌を構え直してベルゼブブに接近する。
 マナちゃんが最初に突進でベルゼブブのバランスを崩す。ベルゼブブは地面に手を着けて後ろに回転して体制を直したがすぐに私と剣士骸骨さんが接近していた。
 鎌と剣を同時に振るう。
 鎌が弱点の下の方、剣は弱点の上の方を斬り裂き互いにベルゼブブの横を通ってベルゼブブの後ろに移動した。

『なん、でだ?』

 ベルゼブブは急に連携が出来るように成った事に驚愕を隠せないようだ。

 でも、私もびっくりだよ。ここまで連携取れるのって有り得なくない?

『多分、剣士骸骨の戦い方がわたしに近いから何となく動き方が分かるんだろ?違う人格だから何とも言えないけど』

 確かに、最早超能力レベルだよね、これ?
 でも、周りから見たら頭の⋯⋯今は考えないでおこう。

 ベルゼブブに再度集中して接近する。
 片手で鎌を振るい空いている左手を地面に着けて回し蹴りを放ち鎌で地面を弾き体を上げてベルゼブブを足場に跳躍して後ろに下がる。
 交代するかのように剣士骸骨が移動して剣を2連続で振るい、続いて十字斬りで攻撃してベルゼブブの反撃の拳を盾で捌きネマちゃんが弱点に攻撃して互いにバックステップ。

「そろそろ魔法が再使用可能になりますね」

 ベルゼブブにはあれが1番効果的だ。
 食べる行為をしないのでベルゼブブの動きを制限したいのだが、【呪縛】では妨害にも成らないだろう。
【竜巻】だと食われるがその間の時間は稼げるかもしれないがMPが回復しきれていない。
 ならば、やる事は1つ。ガンガン攻撃して相手に避けると言う隙を与えない。

 私はベルゼブブの背後に回る。

『【ダークバースト】!』

 ベルゼブブを中心に黒紫の光がドーム状に広がって行く。
 通過した地面を抉りながら広がる。
 スケルトンナイトは既に離れた所で弓矢の準備を初めて居るので多分問題ない。
 剣士骸骨さんも逃げている模様だ。師匠のお父さんは魔法で自分を守る結界を張っている。今回は全体では無いようだ。

「ギャラー!」
「ありがとう」

 私はマナちゃんの上に乗り上空へと逃げる。
 数秒後にベルゼブブの魔法が収まりベルゼブブの場所に向かって徐々に深く成っているような円が地面に完成する。
 しかし、この場所は不思議な事に地面が盛り上がって来て再生を始めている。
 ベルゼブブも合わせて徐々に上って来て顔をさらけ出す。
 怒りに満ちたその顔を。

 ベルゼブブは魔神【ハデス】から生み出された悪魔生産機の1人。
 原初の悪魔で『暴食』を司る。
 悪魔は自分の感情には素直だ。故に自分の絶対的な強者としてのプライドを犯した相手には毎度絶対的な力の差を示してから倒している。
 だが、現在はどうだろうか。
 圧倒的弱者である有象無象に押されているでは無いか。
 そんなのは有り得ない。有り得て良いはずが無い。
 自分の力が弱っているからと言う弱者の逃げ道等ベルゼブブは使わない。
 そんなプライドがあるからこそベルゼブブは更なる怒りを覚える。
 精神生命体である悪魔は肉体を基本的に持たない。
 そして感情に対しては敏感だ。
 ベルゼブブとて自分の怒りを感じて居るが、それに呑み込まれる事は無い。
 怒りに狂って冷静に成れなかったら、それこそ弱者。
 己の感情を操作出来る事もまた強者。
 ベルゼブブの己の強者と言う絶対信頼は今も尚、崩れない。

 ベルゼブブは両手を掲げる。
 そして再び巨大な球体を生成する。だが、その生成される速度は尋常じゃ無かった。
 高速で体積を増幅させる黒紫の球体。
 あれをどうやって防ぐかを考える事も億劫になる程に大きく巨大な力の波動のような威圧を感じる。

『死に晒せ【ダークボール・ブレイク】』

 両手を下に下げるのと同時にベルゼブブが生み出した黒紫の巨大な球体は私達に向かって落ちて来る。
 HP3割を減らして居ないベルゼブブの魔法でここまでの威力を出すとかゲームバランス崩壊も良い所だ。
 ふざけている。そう言いたいがそんな時間も惜しい。
 ベルゼブブの背後を抜けるように飛べば助かるが、スケルトンナイト達はそうは行かない。
 もしも【竜巻】が使えるとしてもなんの役にも立たない。
 せめて剣士骸骨さんだけでも回収するべきか?
 そして動き出したのは師匠のお父さんだった。

「タロット様、今一度我々に力を【アンチデヴィルホーリープリズン】」

 聖なる光、暖かくも冷たいようなそんな眩しい光がベルゼブブの生み出した巨大な黒紫の球体を包み込む。
 全てを包み込み体積を減らして行く。
 圧倒的な強さと思われたベルゼブブの魔法を完全に突破した師匠のお父さん。
 その場では私のみが唖然としていた。
 理由は簡単だ。
 スケルトンナイトも剣士骸骨さんも師匠のお父さんの実力を信じて居たからだ。
 それに対して私はどうやって切り抜けるか焦り考えていた。
 だけど、必要無かったんだ。
 ここには私よりも頼もしく強く、そして師匠の親戚が居るんだから。
 仲間に対して信頼していなくてどうする。

「フーー」

 1度息を吐いて考えを改める。
 この中で1番弱いのは私だ。
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