【完結】もふもふ獣人転生

  *  ゆるゆ

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大人な息子

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 ぺしょんとしたリトの耳としっぽに、ジゼが叫ぶ。

「あんぽんたんは俺だから──!」

 後ろに控えてくれていたセバの銀縁眼鏡の向こうの瞳が遠くなる。

「……否定できないところが……」

 喉を鳴らしたゲォルグが、ジゼとリトの頭をなでなでしてくれた。

「少しずつ、頑張ってみればいい」

「ふぇ……! ゲ……ルグしゃま、やさし!」

 言えなかった!

「ごめなしあ」

 更に項垂れるリトの頭を、ジゼよりごつごつのおっきな手がなでなでしてくれる。

「ルグでよい。──セバにしか呼ばせぬ名だったが、よいか、セバ」

 名指しされたセバが、耳まで真っ赤な顔を覆ってうずくまってる。

「セバ?」

 真っ赤な耳だけを覗かせたセバが、ふるふる首を振った。


「……いやです」

 ちっちゃな、ちっちゃな声がした。


「──っ!」

 耳まで真っ赤になった顔を、ゲォルグが覆う。
 燃える頬で跳びあがったリトはぶんぶん頷いた。

「セバだけ、名前、たいしぇつ! 僕、らめでし!」

 あわあわして噛んだ!

 真っ赤なセバとゲォルグに、ジゼの目が生暖かくなってる。


「父上、セバと一緒に馬車へどうぞ。リトが父上を呼ぶのは、ゲオさまでいかがでしょうか」

「う、うむ!」

「ゲオしゃま!」

 ぽふぽふしっぽを揺らして見あげたら、真っ赤なままで笑ってくれた。
 わしゃわしゃ頭を撫でてくれた指が、離れてく。

「……セバ、ちょっと」

 セバの細い腰をガシッと掴んだゲォルグが、颯爽と馬車に戻ってく。
 にやにやしてる御者さんが遠くで手を挙げた。

 見えるんだよ、獣人だから! えへん!


「はは、ゲォルグのセバ愛は相変わらずだな。ゲォルグと雑談しようとすると、延々と、延々と、延々とセバ愛を語られるんだ。どうしていいか、解らん」

 肩を揺らしてルファ陛下が笑う。

 どう見てもルァルのお兄さんにしか見えないよ──!
 わ、か──!

「……も、申し訳、ございません、父がいつも、ご迷惑を……」

 恥ずかしそうにジゼが頭を下げてる。

 父の惚気を謝る大人な息子なジゼ、尊い──!

 思わず拝むリトの前で陽の髪が揺れた。


「きみがリトかな?」

 ぴょこんと跳びあがったリトは、あわててセバに習った最敬礼だ。
 胸に手をあて、足を引き、深く、深く腰を折る。
 引き摺る足では難しくてよろけそうになるのを、さっと伸びたジゼの腕が支えてくれる。

「おめ、かかりゅ、えぃよ、きょ、えつ、しご、く、存、じ、まし、リトでし」

 がんばった!

 ぷるぷるするリトに、赤くなったジゼが胸を押さえてる。


「はぅあ──! な、ななななんと愛らしい──!」

 跳びあがったルファがリトに向かって突進してくるのを、駆け込んだルァルが止めた。


「母上、ジゼに殺されます」

 進言に、真っ青になったルファがカタカタしてる。


「そ、な、こと、な──」

 あわあわジゼを庇おうとするリトを抱っこするジゼの氷の目が、ルファを刺してる。


 えぇえ──!?
 も、ものすごく不敬なのでは!?

 た、大変!

 あわてたリトが、ぼわぼわになったしっぽで、わたわたジゼの前でちっちゃな腕を広げた。


「ジゼしゃま、わる、なぃ、でし! 僕、だめでしあ!」
 



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