きみの騎士

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きみの傍

みりみり

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「リイ────!!」

 真夜中と思われぬほど篝火の焚かれた光騎士殿へと駆けてきたザインに、鬼の形相で背骨がミリミリ言うほど抱きしめられた。

「心配したんだぞ──!!」

 鋼の瞳が涙に滲む。
 目を瞠ったリイは、ザインの分厚い背にそっと腕を回した。

「……心配させて、ごめんなさい」

 みりみりするほど抱きしめてくれる腕が、震えてる。
 分厚い胸板に包まれたら、緊張が一気に解けて、泣けてきた。

 レミリアさまを裏切り、牢獄に囚われ、光都をサラと駆け抜け、刺客を屠り、キールと闘い、ラトゥナに剣を突きつけ、ルフィスに逢えた。

 ほんの半日のことだなんて、夢みたいだ。


「リイ────!」

「無事だったのか!」

「よかった!」

 ザインの後ろから駆けてきた光騎士たちが笑ってくれる。
 誰もの顔に、心配と安堵があった。

 非難も糾弾も、ひとつもない。
 仲間のやさしい笑顔に、涙が出る。


「反逆者リイだ──!!」

 叫んだ衛士は、コルタにぽこりと黙らせられた。

「ほんとに、ほんとに心配したよ!」

 リイと一緒にボロボロになるまで闘ってくれたコルタが、リイの背を抱きしめた。

「……辛かったでしょう。
 よくがんばりました」

 涙の滲む胡桃の瞳で頭を撫でてくれるコルタに、リイの瞳が歪む。

「……キールは……」

「きっと、大丈夫。
 花のきみに治してもらって、治らないなんてありえないよ」

 リイの背を慰めるように叩いてくれるコルタに、頷いた。

「一緒に闘ってくれて、ありがとう。
 コルタを信じていたから、突っ込めた」

 リイの言葉に、照れくさそうな、うれしそうな紅い頬でコルタが笑ってくれる。

「当たり前だよ!
 僕はリイの頼りになる先輩なんだからね!」

 胸を張るコルタに、リイが笑う。

「こんなに謹慎を喰らう新人光騎士も、反逆者呼ばわりされる新人光騎士も初めてだが」

 いかめしく眉を寄せたザインが、リイの頭をぐしゃぐしゃ掻き混ぜる。

「レイティアルト殿下を、よく守った。
 俺はリイを、誇りに思う」

 いかつい相貌をゆるめて微笑んでくれる。

「…………俺は……レイサリアを……レミリアさまを、裏切ろうと……」

 歪むリイの瞳に、ザインは頷いた。

「ルフィスのためにな。
 …………すまん、リイ。レイサリアに闇騎士は存在するらしい。
 レミリア様が姿を消されて、レイティアルト様に呼ばれた際にようやく、俺は真実を知らされた。
 ……俺にも全く知らされていなかったが、歳の離れた俺の兄が今、団長を務めているそうだ」

 肩を落とすザインに、リイは息をのむ。

「……もしかして、ルフィスをたすけに来てくださったのは……」

 ザインが微笑む。

「リイの至光騎士戦を見て、兄はとてもうれしそうに笑っていた。
 本当に来たと」





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