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昼休み。ふと思い出す。

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 昼休み前に、松本さんにも話を聞いて、これで4人の体調が確認できた。
 お互いに、ざっくりとした予定ではあるが、まったくわからないよりはましである。

 あれもこれもと考え、だんだん胃のあたりが重いような気がして、昼休みには、やわらかうどん食べたいなと、ピンポイントな思いとともに、昼休憩に出た。

 入ろうと思っていたうどん屋は、みごとに入れなかった。
(やっぱり、いっぱいか~)
 いつもは見かけいるだけなので、今日は入ってみようと思ってたのに…。
(体調もよくないし…)

 いつもどおり、コンビニでおにぎりを買って公園にきた。会社に戻ってもよかったけど、今は1人でゆっくりしたい。

 いい天気だし、そんなに寒くもない。ちょうどいい風が吹いていた。おにぎり食べながら、気が抜けて本当にゆっくりしていた。

(戻る前に、コーヒー買っていこう)
 もうあまり時間もなくなった。戻って続きをしないと。
 立ち上がろうとしたときに、スマホが鳴った。見たことない番号。

「?、はい」
「水澄さんですか?」
「よかった、渡辺です」
(渡辺?、誰だっけ?)
「すいません、この前のジャケットのことなのですが」

(思いだした!、そういえばそんなことあったっけ)
「何かありましたか?」
「色々見てみたんですが、ひょっとしたら、新しく買った方がいいかもと思って、電話させてもらったんですよ」
「そうなんですか」

(いや、直してくれるなら、その方がいいんだけど)
「金額的に、修理を頼むにしても、新しいの買えるかもと、思う値段だったので」
「水澄さんとしては、どちらがいいですか?」
「………」
「?、水澄さん?」

 あのスーツは、自分がやっと働き出して自分で買ったやつだ。他の人が見てもたいしたことのない、本当に普通の。けど、自分に取って、どうしても大事にしたい服だった。
 たぶん、着れなくなっても、置いておきたいほどの。

「すみません、直せなかったら、そのままでかまいません」
「でも」
「大丈夫です、なんなら取りにいきますよ」
 ちょっと、イラッとした。他人にはたいしたことなくても、自分には、大事なもの。

「すみませんでした、あのジャケット大事にしてるんですね」
「?」
「いや急に静かになったから、ひょっとしたらかな」
「なんで?」
「わかるかって、わかりますよ」
(あからさまに、声には出なかったと思うけど)

「どうします?、ちゃんと直してもらうように、出しましょうか?」
(そういえば、結構な金額だって言ってたな、もういいか)
 なんだか、あきらめてジャケットだけもらってこようか。

「もういいですよ」
「?」
「直さなくても大丈夫です、そのまま渡してくれますか?」
「だけど」
「いいんです」
「……そうですか」
「わかりました、クリーニングには出してあるので、出来しだい渡しに行きます」
「ありがとうございます」
「それでは、また連絡します」

 電話を切って、会社に戻っていった。
とりあえず、メッセージ交換だけできるように、お互いに確認した。
    
    こっちが、ただのあいさつだけ送ってみたら、なぜか向こうから、かわいい小鳥のアイコンがきた。ちょっと微笑ましかった。
    















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