魔法で生きる、この世界

㌧カツ

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Episode.3 出会いと別れのセブンロード

21話 此処に来た理由

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 あれから僕達を含めた十数人で街の跡地の調査を続けたが、未だに何か手がかりになりそうなものは見つけられない。
 街を丸々一つ消してしまうほどの力が放出され、何の痕跡も残らないということはありえないと言えるだろう。
 それこそ『七魔道具』なんかでない限りは、だ。

「ロトル君、だったか? 君は何故この街に来たんだ?」

 隣にいたフェンセルが、僕に突然質問を投げかけてきた。

 これは、正直に答えない方がいいだろうか。
 七魔道具を全部集めるため、だなんて言ったら、絶対に良くない勘違いをされる気がする。

「僕達は――えっと、世界を旅してみようと。ただそれだけです」

「そうか。――俺も、この街に用があるんだ」

「え?」

 どういうことだろうか。
 彼はバーニンの街の冒険者だったはずなのに、何故この街に用があるという言い方をするのか。
 僕の中で生まれた疑問の答えは、次の彼の一言ですぐに分かった。

「人を、捜しているんだ。この街で消えた、俺の恩人を」

「人捜し……『消えた』っていうのは、今回の『消滅』とは関係の無いことですよね」

「当たり前だ。それ以前に消えたから、俺はここにいる」

「ですよね。――ちなみに、その人の名前を聞いても……?」

 僕がそう聞くと、フェンセルは少し躊躇った。
 そしてやがて、ゆっくりとその口を開いた。

「――ヒノ・カゲト。それがあの人の名前だ」

「……ヒノ、カゲト」

 口の中で転がしたその名前に、僕は言いようのない不安を感じた。


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 数十分に渡る調査の末、僕達の中で『消滅』に関する手がかりが見つかることは無かった。
 僕達は街の外の一ヶ所に集まり、モルヴィドから全体での最終的な結果を聞くこととなった。

「残念ですが、今回の『消滅』に関する手がかりを見つけることは出来ませんでした」

「やっぱりか……」

 群衆の中のどこかから、そんな落胆の声が聞こえる。
 しかし分かりきっていた結果だったのだろうか、その声も深く沈んだ声には感じなかった。

 そんな暗い沈黙の合間に、モルヴィドの声が響く。

「とにかく、ここからの調査はこちらで行っておきます。皆様は、速やかに近くの街へと移動してくださるようお願いします」

「つっても、宿に預けてた荷物ごと消えちゃったからな……」

 ふと、集まった人々の中の一人が声を漏らす。

 そうだ。街はその中身の一切を残さずに消滅したのだ。
 毎日の夜を照らしだす灯りも、人々の頼りとなる武器や防具も。
 全てを巻き込んで、何もかも消した。

「全てを……?」

「……どうした、ロトル?」

 考え込む僕を見てか、ミクトが声をかけてくる。
 ミクトには悪いが、その言葉に応えているような余裕は無かった。

 ――閃いた。
 閃いてしまった。

「もしも、もしもだ。犯人の目的が『街の消滅』ではなく、『街の中にある物の消滅』だとしたら?」

 犯人の目的がそこにあるのだとしたら、宿が真っ先に消されたのにも納得がいく。
 宿には様々な人々が集まり、宿を利用する者の荷物の大半もそこに集まるだろう。

 しかし、それでもおかしな点はある。
 何故、街の建物を一つ一つ消していったのか。
 中身を消したいだけなのであれば、わざわざ一つづつ消していく必要は無い。
 街の中の建物を、全て一度に消してしまえばいいだけの話だ。

 いや、その場合僕も巻き込まれていたことになるので、全くもっていいとは言えないが。

「そもそもその場合、犯人は何を消したいんだ」

 それが分からないことには、犯人に繋がる手掛かりなど見つからない。
 それこそ運任せに辺りを調べまわるしかないだろう。
 しかしそれは、先程大勢で実行したばかりの、失敗という結果に終わった作戦だ。

 ここまで手がかりが無いと、いくら考えても答えが出ることはないだろう。
 考え込んでいた僕の意識は、一瞬の諦めの合間に聞こえたミクトの声によって引き戻された。

「おい、ロトル。もう行くぞ」

「あぁ、ごめん」

 随分と軽くなった荷物を持ち、僕達三人は前を歩くフェンセルの後について行く。

 届きそうな場所にあるのに届かないもどかしさ。
 より大きくなった違和感と謎を意識的に頭から引き離し、僕は冒険者や住民の集団の後を歩くことに集中する。

「……ヒノ・カゲト」

 フェンセルから聞いた名前を、繰り返し呟く。
 普通とは違った、妙な響きのする名前だ。
 だが聞き覚えがあるわけでも無く、僕にとっては関係の無い名前。
 なのに何故か、僕の頭からはその名前が離れてくれなかった。

 ただ前を向いていても尚、引き離した複数の謎が消えた荷物の代わりとなり、僕にのしかかって来ているような気がした。


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 久しぶりの投稿にも関わらず、短くなってしまって申し訳ありません。
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