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Episode.3 出会いと別れのセブンロード
22話 その願いは叶わぬ夢で
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モルヴィドに指名された冒険者を先頭に、バーニンの街の住人を含めた人々の列は草原を歩き続けた。
と言っても、勿論これだけの人数を泊められる宿がある街は決して多くはない。
歩いていく内に何人かの集団が幾度も離れていき、最後に残ったのは僕達三人とフェンセル、残りは知らない冒険者達だった。
全八名でこれから向かうのは、ファストの街やバーニンの街よりも大きな『アドサの街』だ。
「此処から少し離れた所にある街らしい」
「そうか。それなら自己紹介だけでもしておかないか?」
フェンセルの言葉を聞いて、知らない四人の冒険者のうちの一人である若者がそう言った。
確かに、此処から街まで歩いていく中で、お互いに名前ぐらいは知っておいたほうがいいかもしれない。
僕がその提案に頷くと、周りも同様に頷いた。
それを見た若者も満足そうに頷き、顔をあげると同時に自己紹介を始めた。
「俺はアーシェ・ラフスンです。よろしくお願いします」
そう名乗った若者は、背中に弓を背負っていた。
次に、若者の隣に立っていた二人が自己紹介を始めた。
「ラーズ・リッシュです。お願いします……ほらソーサも」
「……ソーサ・リッシュ……よろしく」
彼女達はどうやら姉妹のようだ。
後から促されて名乗ったソーサは人見知りなのか、ラーズの後ろに隠れている。
二人とも、腰には魔法を使うための杖があった。
「俺はカルコ・マニスだ! 短い間だがよろしくな!」
そう言って大きな口を開けて笑うのは、肩に色々なものを持った体の大きい男だ。
重そう、という程ではない鎧を身につけ、腰には大きすぎない大剣を持っていた。
「彼は鍛冶師であり大剣使いでもある、頼れる奴なんだ」
「へえ、そうなんですか」
「あぁ! どんどん頼ってくれていいぜ!」
馴れ馴れしく肩を叩いてくるカルコは、全員の自己紹介が終わった後、ミクトやルミネにもその調子で接していた。
何度かミクトからヘルプのサインが届いた気がするが、気にしないようにした。
そうして賑やかになった集団で草原を歩いていると、遠くの方に街が見えてきた。
「あれが、アドサの街ですかね」
「どうやらそうみたいだな」
両手で広げた地図と目の前に広がる景色を見比べながら、フェンセルはそう言った。
短くはない距離だったと思うが、案外早く辿り着けたようだ。
まあそれもそうかもしれない。
何せここまでの道中で魔物と出会うことがなかったのだ。
その分早くてもおかしなことではない。
「いやはや、何事もなく進んで何よりだよ。俺の出番は無かったね」
「はは、そうですね」
残念そうに笑うアーシェは、少なくとも悪い人のようには見えなかった。
だからといっていい人だと断定して信じきってしまうのは得策とは思えない。
しかしどちらにせよもうすぐ終わってしまう関係なのだ。
お互いに隔たりを残したまま別れたくはない。
だから何も言わなかったし、踏み込もうとはしなかった。
当たり障りのないことだけを話し、ここまで歩いてきた。
でもそれでいいのだろうか。
程々の関係で、ただの知り合いのままで、終わってしまって良いのだろうか。
「ロトル君、もうすぐ街に着くよ」
「あ……はい」
僕は狭い世界で生きてきた。
家族以外に、気安く話そうと思う相手はいなかった。
学校に通い始めて、前の席にきたミクトは馴れ馴れしく話しかけてきた。
友達になろうと、見知ったばかりの彼は言ってきた。
友達なんて、面倒くさいだけだと思っていた。その気持ちは今もまだ残っている。
断る理由もなく、すぐに離れていく関係だろうと思い、その頼みを僕は承諾した。
しかしミクトは離れていかなかった。
クラスが離れても、毎日のように僕のいる教室にわざわざ来てくれた。
ミクトと話をしたりすることは、とても楽しいことだった。
なのに、それなのに、僕は変わろうとしなかった。
そこから輪を広げていくことはなく、話す相手が家族とミクトになっただけだった。
それなら、変わるなら今じゃないのか。
あなたと友達になりたいと。
その一言を言うべきじゃないのか。
「っ、あの!」
「……?」
――でも、そこから先は言えなかった。
言葉は、形にならなかった。
「いや、その、ここまでありがとうございました。って、言いたく……て」
「――うん。こちらこそありがとう、楽しかったよ」
本心だと願いたいその言葉は、とても嬉しいはずなのに悲しくて。
信じたいのに信じきれないその人は、とてもいい人なのにそう考えられなくて。
それは僕自身の言葉が、願望を隠すための表向きの本心でしかないからかもしれない。
願っただけで、変わることは出来ない。
「……人ってのは、結局そんなもんなんだな」
自らを嘲笑うかのように発した言葉だけが、狭い世界で暗く重く響いた気がした。
と言っても、勿論これだけの人数を泊められる宿がある街は決して多くはない。
歩いていく内に何人かの集団が幾度も離れていき、最後に残ったのは僕達三人とフェンセル、残りは知らない冒険者達だった。
全八名でこれから向かうのは、ファストの街やバーニンの街よりも大きな『アドサの街』だ。
「此処から少し離れた所にある街らしい」
「そうか。それなら自己紹介だけでもしておかないか?」
フェンセルの言葉を聞いて、知らない四人の冒険者のうちの一人である若者がそう言った。
確かに、此処から街まで歩いていく中で、お互いに名前ぐらいは知っておいたほうがいいかもしれない。
僕がその提案に頷くと、周りも同様に頷いた。
それを見た若者も満足そうに頷き、顔をあげると同時に自己紹介を始めた。
「俺はアーシェ・ラフスンです。よろしくお願いします」
そう名乗った若者は、背中に弓を背負っていた。
次に、若者の隣に立っていた二人が自己紹介を始めた。
「ラーズ・リッシュです。お願いします……ほらソーサも」
「……ソーサ・リッシュ……よろしく」
彼女達はどうやら姉妹のようだ。
後から促されて名乗ったソーサは人見知りなのか、ラーズの後ろに隠れている。
二人とも、腰には魔法を使うための杖があった。
「俺はカルコ・マニスだ! 短い間だがよろしくな!」
そう言って大きな口を開けて笑うのは、肩に色々なものを持った体の大きい男だ。
重そう、という程ではない鎧を身につけ、腰には大きすぎない大剣を持っていた。
「彼は鍛冶師であり大剣使いでもある、頼れる奴なんだ」
「へえ、そうなんですか」
「あぁ! どんどん頼ってくれていいぜ!」
馴れ馴れしく肩を叩いてくるカルコは、全員の自己紹介が終わった後、ミクトやルミネにもその調子で接していた。
何度かミクトからヘルプのサインが届いた気がするが、気にしないようにした。
そうして賑やかになった集団で草原を歩いていると、遠くの方に街が見えてきた。
「あれが、アドサの街ですかね」
「どうやらそうみたいだな」
両手で広げた地図と目の前に広がる景色を見比べながら、フェンセルはそう言った。
短くはない距離だったと思うが、案外早く辿り着けたようだ。
まあそれもそうかもしれない。
何せここまでの道中で魔物と出会うことがなかったのだ。
その分早くてもおかしなことではない。
「いやはや、何事もなく進んで何よりだよ。俺の出番は無かったね」
「はは、そうですね」
残念そうに笑うアーシェは、少なくとも悪い人のようには見えなかった。
だからといっていい人だと断定して信じきってしまうのは得策とは思えない。
しかしどちらにせよもうすぐ終わってしまう関係なのだ。
お互いに隔たりを残したまま別れたくはない。
だから何も言わなかったし、踏み込もうとはしなかった。
当たり障りのないことだけを話し、ここまで歩いてきた。
でもそれでいいのだろうか。
程々の関係で、ただの知り合いのままで、終わってしまって良いのだろうか。
「ロトル君、もうすぐ街に着くよ」
「あ……はい」
僕は狭い世界で生きてきた。
家族以外に、気安く話そうと思う相手はいなかった。
学校に通い始めて、前の席にきたミクトは馴れ馴れしく話しかけてきた。
友達になろうと、見知ったばかりの彼は言ってきた。
友達なんて、面倒くさいだけだと思っていた。その気持ちは今もまだ残っている。
断る理由もなく、すぐに離れていく関係だろうと思い、その頼みを僕は承諾した。
しかしミクトは離れていかなかった。
クラスが離れても、毎日のように僕のいる教室にわざわざ来てくれた。
ミクトと話をしたりすることは、とても楽しいことだった。
なのに、それなのに、僕は変わろうとしなかった。
そこから輪を広げていくことはなく、話す相手が家族とミクトになっただけだった。
それなら、変わるなら今じゃないのか。
あなたと友達になりたいと。
その一言を言うべきじゃないのか。
「っ、あの!」
「……?」
――でも、そこから先は言えなかった。
言葉は、形にならなかった。
「いや、その、ここまでありがとうございました。って、言いたく……て」
「――うん。こちらこそありがとう、楽しかったよ」
本心だと願いたいその言葉は、とても嬉しいはずなのに悲しくて。
信じたいのに信じきれないその人は、とてもいい人なのにそう考えられなくて。
それは僕自身の言葉が、願望を隠すための表向きの本心でしかないからかもしれない。
願っただけで、変わることは出来ない。
「……人ってのは、結局そんなもんなんだな」
自らを嘲笑うかのように発した言葉だけが、狭い世界で暗く重く響いた気がした。
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