魔法で生きる、この世界

㌧カツ

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Episode.3-B 日常の終わり

後編 終わりの先にある始まりとはなにか

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 歩海と別れた俺は、もう一度暗い路地裏の地べたの上に座っていた。

 三食の間に、不良共を迎え撃ったり、さっきのように高校に行ったり。毎日毎日それの繰り返しで、昨日も今日も、きっと明日も、何一つ変わり映えのない一日が過ぎていく。
 一般的な『平穏』とはかけ離れてこそするが、変わらず繰り返す日々が俺にとっての『平穏』であり、日常だ。
 もしそれが変わる時が来るとすれば、きっとその時は今日だろう。
 高校二年の二月二十二日。これ程までに変化が見られそうな日はきっと暫くの間来ることはない。
 あるとしても、二十歳の年か、はたまた二十二歳の年か。
 どちらにしろ、遠く離れていることに変わりはない。

「じゃあ、夕食でも買いに行きますか」

 あれからかなり時間が経っていたようで、路地裏を出ると、オレンジ色に染まった空と雲が俺を出迎えていた。
 沈みかけの太陽を横目に、俺は踏切の向こうにあるコンビニへ向かう。

「久しぶりにエイトカレーでも食べようかな」

 コンビニには様々な食べ物や弁当が置かれているが、その中でも俺が一番好きなのは『エイトカレー』だ。
 肉がとても柔らかく美味いだけに留まらず、なんとチンするだけで食べられるというお手軽さ。
 まぁ今は電子レンジなど持っていないのだが、コンビニで温めてくれるので問題なし。
 俺にとっては、一ヶ月に何回かだけ食べるこの『エイトカレー』が、荒れた日常の中での唯一の楽しみだった。

「あと、綾鷲も買っていこうかな」

『選ばれたのは、綾鷲でした』のキャッチフレーズで有名なあの『綾鷲』である。
 俺自身も『健やか茶』より『綾鷲』を選ぶタイプの人間だ。

 そんなくだらないことを考えつつ、俺はレジのカウンターの上に『エイトカレー』と『綾鷲』を置く。

「エイトカレーと綾鷲で合計427円でなります」

 俺は財布から五百円玉を取り出し、カルトンの上に置く。
 すると店員はその五百円玉をレジに入れた。

「500円お預かりします。……こちらお釣りの73円でございます。こちら温めますでしょうか?」

「あ、お願いします」

 店員が『エイトカレー』を指して聞いたので俺が答えると、店員は「かしこまりました」と言って電子レンジの中に『エイトカレー』を入れる。
 そして温め終わりの合図とともに、店員が中から『エイトカレー』を取り出し『綾鷲』と一緒に袋に入れる。

「ありがとうございましたー」

 店員の声を聞きながら、俺は袋を持ちコンビニを出る。
 そこで辺りを見回してみると、先程よりも日が沈み暗くなっていることが分かった。

「日が沈み切る前に、帰ろう」

 俺は袋の持ち手をきつく縛って中身が落ちないようにした後、それを掴んで走り出した。
 向かうのは昼食を食べたあの小屋だ。俺はいつもあの小屋で食事をし、眠っている。

 通りを抜け、路地を抜け、山の中へとたどり着く。
 山の中では生い茂る木々によって日光が遮られており、街の中にいた時よりも暗い。
 俺は途中で道を外れ、草で隠れた斜面を下っていく。
 それほど傾斜はないが、勢いをつけすぎるとつんのめりそうになる。

「よし、もうすぐだな」

 傾斜を下りきったところで、あの小屋が見え始める。
 俺は袋をしっかりと握り直し、走る速度を上げる。
 そしてあのコンビニから走り始めて数分経った頃、ようやく俺は小屋に辿り着いた。

「ふぅ、何とか日が沈むまでに戻ってこれたな」

 額に滲み出る汗を拭きながら、俺は袋を持ち替え、空いた右手でダンボールの扉を引く。
 するとそこには――


「あ、あれ。俺、今外から中に入ったはずじゃ……っていうか、ここどこ?」

 扉を開いた俺の目に飛び込んできたのは、ダンボールで作られて質素な居住地などではなかった。
 吹いたはずの汗が、頬をダラダラと流れ落ちる。

「――マジでここ、どこだよ」

 中世風のレンガ造りの街並みに、様々な髪色をした人々。
 迫り来る波乱の予感に、俺は持った袋のを強く握りしめた。


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 二月二十二日に、二月二十二日に起きたストーリーを投稿する。
 これがやりたかっただけです。
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