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第14話 再会
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屋敷が見えてきた。
アレクは馬を走らせ、門の前で止めた。
久しぶりに家へ戻ってきた。
きっとルーナとお父様がいるはず。
「では、さっそく」
「ああ。まずは俺がルーナとレオンハルト伯を玄関に呼ぶ。それまで、イリスは隠れていてくれ」
「タイミングを見て姿を出せばいいのですね」
「そうだ。きっとルーナは、君が死んでいると思っているはず。驚かす意味でも、しばらく様子を見てくれ」
「分かりました」
アレクの指示に従い、わたしは草陰に。
少し待つことに。
彼は玄関をノックして、レオンハルト伯を呼んだ。
「突然の訪問をお許しください。どうしても話したいことがあるのです」
その声が届いたようで、玄関が開いた。
少しやつれた顔のルーナが現れた。
……やっぱり、屋敷にいたのね。
「……アレク様? アレク様ですよね!? やっとお迎えに来て下さったのですね!」
頬を赤く染め、嬉しそうに微笑むルーナはアレクに飛びつく勢いだった。……ま、まさか……本当にアレクに好意を。
わたしを殺してアレクを独り占めしようとしていたんだ。
改めて許せないと感じた。
「ルーナ、話しがある。レオンハルト伯も呼んで来てくれないか」
「お、お父様を……? な、なぜですか」
「この通りだ」
「し、しかし……」
「頼む。レオンハルト伯が俺を嫌っているのは知っている。でも、どうしてもだ」
「……お父様は、今……イリスお姉様を失くしたショックで……その、廃人寸前でして……。起き上がれるかどうか……」
ウソ……そんな。お父様がそんなことになっていたなんて!
けれど、アレクは首を横に振った。
「ウソはやめてくれ、ルーナ」
「ウ、ウソなんかじゃありません……」
自信なさげに言う。
なんか……怪しい。
「悪いが、レオンハルト伯がお元気であることは調べてある」
「え……」
「昨日は、辺境伯であるフリードリッヒ・ノイベルンと会合があった」
「……そのような予定は……」
「あったさ。だって、フリードリッヒ・ノイベルンは我が曾祖父だからね。直接聞いたのさ」
「ぐッ!」
墓穴を掘るルーナ。さすがにそこまでは読めなかったらしい。やっぱり、ウソをついていたんだ。……最低!
「俺はウソつきが大嫌いだ」
「ち、違うんです……! 別にウソなど……ただ、イリスお姉様が行方不明になってショックを受けているのは本当です!」
「分かった。じゃあ、呼んできてくれ」
「……少々お待ちを」
長い間待ち、やっとお父様が現れた。
明らかにアレクを不快そうに見つめていた。本当に嫌っているんだ。
「貴様……アレク。我が家の敷居を跨いだこと、一生後悔させてやる」
「お待ちを。俺はある話があってやって参りました」
「ふざけるなッ! アレク、お前は我が妻だけでなく……イリスまで奪ったのか!? そうだ……もともとはお前と婚約していた。可愛い娘を欲しがるあまり、誘拐したのではないだろうな!!」
怒りをにじませるお父様。
……もう限界よ。
わたしはアレクを守る。
なによりも、ルーナが許せない。もうウソはうんざり……!
「お父様! わたしはこの通り、生きております!」
大声で叫び、わたしはみんなの前に姿を出した。
「「!?」」
わたしの姿を見て、ルーナもお父様もただただ驚愕していた。
これでようやく決着がつけられる。
今こそ、ルーナの悪事を暴く。
アレクは馬を走らせ、門の前で止めた。
久しぶりに家へ戻ってきた。
きっとルーナとお父様がいるはず。
「では、さっそく」
「ああ。まずは俺がルーナとレオンハルト伯を玄関に呼ぶ。それまで、イリスは隠れていてくれ」
「タイミングを見て姿を出せばいいのですね」
「そうだ。きっとルーナは、君が死んでいると思っているはず。驚かす意味でも、しばらく様子を見てくれ」
「分かりました」
アレクの指示に従い、わたしは草陰に。
少し待つことに。
彼は玄関をノックして、レオンハルト伯を呼んだ。
「突然の訪問をお許しください。どうしても話したいことがあるのです」
その声が届いたようで、玄関が開いた。
少しやつれた顔のルーナが現れた。
……やっぱり、屋敷にいたのね。
「……アレク様? アレク様ですよね!? やっとお迎えに来て下さったのですね!」
頬を赤く染め、嬉しそうに微笑むルーナはアレクに飛びつく勢いだった。……ま、まさか……本当にアレクに好意を。
わたしを殺してアレクを独り占めしようとしていたんだ。
改めて許せないと感じた。
「ルーナ、話しがある。レオンハルト伯も呼んで来てくれないか」
「お、お父様を……? な、なぜですか」
「この通りだ」
「し、しかし……」
「頼む。レオンハルト伯が俺を嫌っているのは知っている。でも、どうしてもだ」
「……お父様は、今……イリスお姉様を失くしたショックで……その、廃人寸前でして……。起き上がれるかどうか……」
ウソ……そんな。お父様がそんなことになっていたなんて!
けれど、アレクは首を横に振った。
「ウソはやめてくれ、ルーナ」
「ウ、ウソなんかじゃありません……」
自信なさげに言う。
なんか……怪しい。
「悪いが、レオンハルト伯がお元気であることは調べてある」
「え……」
「昨日は、辺境伯であるフリードリッヒ・ノイベルンと会合があった」
「……そのような予定は……」
「あったさ。だって、フリードリッヒ・ノイベルンは我が曾祖父だからね。直接聞いたのさ」
「ぐッ!」
墓穴を掘るルーナ。さすがにそこまでは読めなかったらしい。やっぱり、ウソをついていたんだ。……最低!
「俺はウソつきが大嫌いだ」
「ち、違うんです……! 別にウソなど……ただ、イリスお姉様が行方不明になってショックを受けているのは本当です!」
「分かった。じゃあ、呼んできてくれ」
「……少々お待ちを」
長い間待ち、やっとお父様が現れた。
明らかにアレクを不快そうに見つめていた。本当に嫌っているんだ。
「貴様……アレク。我が家の敷居を跨いだこと、一生後悔させてやる」
「お待ちを。俺はある話があってやって参りました」
「ふざけるなッ! アレク、お前は我が妻だけでなく……イリスまで奪ったのか!? そうだ……もともとはお前と婚約していた。可愛い娘を欲しがるあまり、誘拐したのではないだろうな!!」
怒りをにじませるお父様。
……もう限界よ。
わたしはアレクを守る。
なによりも、ルーナが許せない。もうウソはうんざり……!
「お父様! わたしはこの通り、生きております!」
大声で叫び、わたしはみんなの前に姿を出した。
「「!?」」
わたしの姿を見て、ルーナもお父様もただただ驚愕していた。
これでようやく決着がつけられる。
今こそ、ルーナの悪事を暴く。
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