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まずはデートをしませんか?

トリプルデート

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それは貴族御用達のカフェだったのか、内装がとても豪華で景色も素晴らしく、
カフェの庭はとてもきれいに手入れをされておりました。

まぁ仲慎ましい…例えばリーブ様とバクランド卿が喜んで来そうというか、
とても絵になるでしょうね。

この紅茶も香り高いですし、
スイーツも可愛らしく作られていて、もちろんお味も絶品ですわ。


しかし………


「ローズ様、こちらのスイーツもおすすめですわよ、召し上がっては?」

そう言って、さっきからどんどんお皿の上にスイーツを乗せて行くリリー様

「気に入ってくれたならよかったよ」

ニコニコと笑う皇太子殿下。

皇太子殿下と妃候補の2人が、何かの打ち合わせとか深刻な話でもない、
たわいの無い話のためにこの3人の組み合わせというのは、
なんともおかしなものだ。

私の気にしすぎかもしれませんが。



「殿下のおすすめメニューもどれも素晴らしいですけど、
こちらのバラのデザートも目新しくて美味しそうですわ」

「気になるなら頼めばいいよ」

「まあ、いいんですの!?」

私は紅茶をずずっとすする。

もしこの場に私がいなければ、
この2人、とてもいい雰囲気の恋人同士に見えますわね。
やっぱりお似合いですわ、私場違いな気がしてまいりました。

そういえば、小説で見た2人もこんな感じだったなぁ…

いや、リリー様はもう少し遠慮がちだったような。
こんな太々しかったかしら?

私に好意を持ったせいで、遠慮がなくなってしまったのかしら


「ローズ様」


2人の様子を見てあれこれ考えていたら、リリー様から声をかけられた。
私はハッとして返事をする

「あ、なんでしょう」

「あとこれとこれとこれとこれ、これとこれを、3人分ずつ頼もうと思うのですが、
ローズ様は他に何か頼みたいものはございますでしょうか?」


私はそれを聞いてギョッとする。
いつの間にそんな話になっていたのだろうか、
そして後いくつ料理を頼むつもりなのだろうか

机の上にもすでにたくさんのスイーツが乗り切らないほど


「リリー様、食べ切れない量を頼むのはマナー違反ですわ、
皇太子殿下のお財布をそんなに使わせるわけにも…」

「でもせっかくですし、私はローズ様に満足していただきたいんです」

「余ったらテイクアウトすればいいし、お金のことは気にしないで
経済を回すのも僕らの役目だから。」

「私はもうお腹も満たされて満足しております、これ以上は結構ですわ。」

「そうですの?」

そういうとリリー様はしゅんと落ち込んで、飲み物だけを追加で注文した。


「それにしてもここのカフェ、どこで知りましたの?」

「もちろん、アカデミーのレディーたちだよ、
ここのスイーツがとてもおいしいと聞いてね、君たちにも気に入ってもらえるかと思って。」

「確かにいいお店ですわ、ね?ローズ様。」

「そうね」

いちいち引っ付かないでもらえると、もう少し美味しくいただけるのですけれど…

そんな私たちを見て皇太子殿下は笑う。

「本当に仲がいいみたいだね、ちょっと前までのことを考えれば信じられない光景だ。
あの告白現場を見た僕も、最初は本当に信じられなかったけど…仲がいいのは素直に嬉しいよ」

「ありがとうございます、でも急接近したのは確かに最近ですが、
私は最初から…初めてお会いした時から…………
いいえ、生まれた時からローズ様をお慕い申し上げておりましたわ。」


「へー…それは気がつかなかった。」


リリー様、そんな大袈裟な………。
そんなこと言われたら恐怖しかありませんわ。

皇太子殿下は質問を続ける

「2人は普段どんなことをしているの?
何か共通の趣味の話でも?」

「いえ…どうも何も」

「そうですわね、例えば今日なんか私の作ったクッキーを受け取ってくださって」

押し付けての間違いでは?

「その他にも、一緒に授業の準備をしてくださったり」

それは、あまりにもひっついて邪魔だったので、
私の仕事を押し付けていただけですわ。

「ランチの時間を楽しくおしゃべりしながら過ごしたり」

ほぼ強制的に隣に座って勝手にあなたが喋ってただけですわ。

「昨日なんて、授業中に居眠りをしてしまった私のために、
目を覚まさせようと、机に虫を放り込んでくださいまして」


それは喜ぶ話ではございませんわ!嫌がらせをしたんですもの!


その後も、間違ってはいないけど盛られた仲良い話を続けた。
あまりにもそれが恥ずかしくなって私は顔を手で覆う。


ある程度話を聞いた皇太子殿下はこんな質問をリリー様何投げかけた。


「リリーは、本当にローズのことが好きなんだね。
それはとてもよくわかったよ、
でも君は…一体ローズのどこがそんなに好きなの?」


その質問をした時、


さっきの和やかだった空気は一変。


冷ややかにな空気が流れた。

あんなにホクホクと盛った話を続けたリリー様が黙ってしまったのだ。
しばらくの沈黙の後、

「皆様、それを聞きますのね。」

とぽつりと呟いた。

確かに、リリー様は先ほどもバクランド卿に同じことを聞かれていた。
それに対して真面目に答えようとはしなかった。

でも、普通に考えたら質問した2人の方が正常だ。
だって、いじめられた人間を好きになったりしない、むしろこんなにくっつかないで関わりたくないと思うはずだ。

嫌がらせ以外の可能性で、こんなに私のことを好きになんてならないはずなのだ
私だって、リリー様の立場ならお断りだろう。

さっきとは違ってお店の中、お料理をいただいてまったりしてるこのタイミングなら、
リリー様は本音をおっしゃってくださるだろうか。

私は、リリー様の次の言葉をまった。

リリー様は口を開く

「でしたら、殿下お伺いいたします。」
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