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第一試験はおもてなし
美しき水の演舞
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その美しさに皆が心を奪われた。
そして、一同がほうっと見とれているのを見計らい、音楽が聞こえてきた。
心をワクワクさせるような、でも上品な音楽…弦楽器のカルテットかしら。
それらが水をイメージさせる軽快な音楽を流していた。
そして、曲に合わせてまるで踊りを踊るように手や腕や体をくるくると動かし、
それに合わせて水がまるで噴水のように柱を作り舞い上がり、ピュンピュンと水の球が飛び交ったり
いろいろな形を空中で作り上げた。
そしてライレイニの使用人たちのツボの中にも水は入っていき、その水が移動したり柱を作ったり
水芸の手助けをしているようでした。
その美しい水芸に心を奪われた来賓の方々は、リリー様がわざを使うたびに感嘆の声を上げていた。
最後はリリー様は手をパンッと叩くと、宙を待っていた水は全て弾け、ミストを作った。
次第にそのミストが薄れていくと、噴水の上には虹がかかっていた。
「以上で私、リリー・ライレイニの余興はおしまいとなります。
引き続きガーデンでのお茶会をお楽しみくださいませ」
リリー様はそういうと、一同にお辞儀をした。
そしてワァッという声とともに、大きな拍手が巻き起こった。
「素晴らしい!あんな演目は初めて見た」
「ライレイニの魔力がまさかあれほどにまで素晴らしいものだったなんて」
「水芸はもちろんですが、それを操るリリー様もまた美しかった。」
リリー様の評価だけではなく、ライレイニの魔力の強さのPRにもつながる素晴らしいショーだった。
なるほど…リリー様が言われていたのはこのことでしたのね。
ライレイには水の魔力を持つ家系、仮に水の魔力を持っていたとしても、
ライレイにの家の生まれであるリリー様よりすごい水芸を行うことはできませんわ。
一方レフレイムは炎の魔法を持つ家系、もちろん炎で同じことはできますでしょうし自信もありますが
ここはガーデン、間違って火が燃え移れば大火事になります。
確かに…こればかりは私には真似をすることはできませんわ。
私は完全完敗を認め、心から素直にリリー様に拍手を送った。
「お嬢様…」
近くに寄ってきたアメリアが心配そうに声をかける
「一次試験はダメそうね。」
「そんな…まだ諦めるのは…」
「無理よ、リーブ様のお菓子はおもてなしのテーマにぴったりよ、相手を立てるという価値観にもマッチしてるわ。
リリー様も、あれだけ人の心を掴む出し物をしたのだもの、私のコレでは勝てないわ。」
「やはり、高価なものを準備するべきでしたでしょうか…それとも一か八かでリラクゼーションをするべきでしたでしょうか…」
「そういう問題ではないわ。」
今回のもてなし、ローズは準備したもの以外に実は他にも案があった。
それは来賓の皆様方の日頃の疲れを癒すマッサージをするというもの。
もちろん、使用するのはここで採れた花で作ったオイル。
コレだったら今のお二人に負けず劣らない印象をつけることができたでしょう。
しかし実際にやるには問題がいくつもあった。
まず、マッサージをする部位。
まさか全身マッサージを茶会でやるわけにもいかない。
足にしたって、素足を見せるのはマナー違反とても恥ずかしいことだ。
頭皮はセットした髪が乱れてしまう。
肩や手なら問題ないかもしれないけれど、そもそも貴族の方の体を必要以上に触ること自体が端ないこと。
使用人に任せるという方法もあったけれど、それでは私がもてなしたことにはならなかった。
また、高価なものを準備するという案もあったけれど
多分、そんなものは見慣れている彼らにはよっぽどのものを準備しなければいけないし
どのみちこんなに素晴らしいものを見せられたとあっては、どんなに美しいダイアを用意したって感動は薄れたに違いない。
「仕方ないわ、他に何もアイディアが思いつかなかった私の負けよ。
でも、試験はまだあるしトーナメント式ではなく総当たり戦、次に勝てればいいわ。」
本当は全部勝ちたかったけれど、そう甘くないものね。
今日の目的は、彼女たちほどいい印象は与えられなくても、彼女たちに劣らないというところが見せられれば十分よ。
時間もそろそろ頃合い、私はアメリアに準備をお願いしたのだった。
そして、一同がほうっと見とれているのを見計らい、音楽が聞こえてきた。
心をワクワクさせるような、でも上品な音楽…弦楽器のカルテットかしら。
それらが水をイメージさせる軽快な音楽を流していた。
そして、曲に合わせてまるで踊りを踊るように手や腕や体をくるくると動かし、
それに合わせて水がまるで噴水のように柱を作り舞い上がり、ピュンピュンと水の球が飛び交ったり
いろいろな形を空中で作り上げた。
そしてライレイニの使用人たちのツボの中にも水は入っていき、その水が移動したり柱を作ったり
水芸の手助けをしているようでした。
その美しい水芸に心を奪われた来賓の方々は、リリー様がわざを使うたびに感嘆の声を上げていた。
最後はリリー様は手をパンッと叩くと、宙を待っていた水は全て弾け、ミストを作った。
次第にそのミストが薄れていくと、噴水の上には虹がかかっていた。
「以上で私、リリー・ライレイニの余興はおしまいとなります。
引き続きガーデンでのお茶会をお楽しみくださいませ」
リリー様はそういうと、一同にお辞儀をした。
そしてワァッという声とともに、大きな拍手が巻き起こった。
「素晴らしい!あんな演目は初めて見た」
「ライレイニの魔力がまさかあれほどにまで素晴らしいものだったなんて」
「水芸はもちろんですが、それを操るリリー様もまた美しかった。」
リリー様の評価だけではなく、ライレイニの魔力の強さのPRにもつながる素晴らしいショーだった。
なるほど…リリー様が言われていたのはこのことでしたのね。
ライレイには水の魔力を持つ家系、仮に水の魔力を持っていたとしても、
ライレイにの家の生まれであるリリー様よりすごい水芸を行うことはできませんわ。
一方レフレイムは炎の魔法を持つ家系、もちろん炎で同じことはできますでしょうし自信もありますが
ここはガーデン、間違って火が燃え移れば大火事になります。
確かに…こればかりは私には真似をすることはできませんわ。
私は完全完敗を認め、心から素直にリリー様に拍手を送った。
「お嬢様…」
近くに寄ってきたアメリアが心配そうに声をかける
「一次試験はダメそうね。」
「そんな…まだ諦めるのは…」
「無理よ、リーブ様のお菓子はおもてなしのテーマにぴったりよ、相手を立てるという価値観にもマッチしてるわ。
リリー様も、あれだけ人の心を掴む出し物をしたのだもの、私のコレでは勝てないわ。」
「やはり、高価なものを準備するべきでしたでしょうか…それとも一か八かでリラクゼーションをするべきでしたでしょうか…」
「そういう問題ではないわ。」
今回のもてなし、ローズは準備したもの以外に実は他にも案があった。
それは来賓の皆様方の日頃の疲れを癒すマッサージをするというもの。
もちろん、使用するのはここで採れた花で作ったオイル。
コレだったら今のお二人に負けず劣らない印象をつけることができたでしょう。
しかし実際にやるには問題がいくつもあった。
まず、マッサージをする部位。
まさか全身マッサージを茶会でやるわけにもいかない。
足にしたって、素足を見せるのはマナー違反とても恥ずかしいことだ。
頭皮はセットした髪が乱れてしまう。
肩や手なら問題ないかもしれないけれど、そもそも貴族の方の体を必要以上に触ること自体が端ないこと。
使用人に任せるという方法もあったけれど、それでは私がもてなしたことにはならなかった。
また、高価なものを準備するという案もあったけれど
多分、そんなものは見慣れている彼らにはよっぽどのものを準備しなければいけないし
どのみちこんなに素晴らしいものを見せられたとあっては、どんなに美しいダイアを用意したって感動は薄れたに違いない。
「仕方ないわ、他に何もアイディアが思いつかなかった私の負けよ。
でも、試験はまだあるしトーナメント式ではなく総当たり戦、次に勝てればいいわ。」
本当は全部勝ちたかったけれど、そう甘くないものね。
今日の目的は、彼女たちほどいい印象は与えられなくても、彼女たちに劣らないというところが見せられれば十分よ。
時間もそろそろ頃合い、私はアメリアに準備をお願いしたのだった。
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