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第一試験はおもてなし

一次審査の結果

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「みんなご苦労様。さあ座ってちょうだい。」

来賓の方々が帰ると、皇后様は私たちを近くの小さなテーブルに呼び、
使用人たちにお茶の用意をさせて私たちを労ってくださいました。

振る舞われた紅茶には白い花びらが浮かんでおり趣向を凝らせたそのお茶はとても素晴らしい香りを楽しませてくれた。

私たちがそのお茶を楽しんでいると

「本当、私の思いつきでこのテストにこの試験を織り交ぜてもらったけれど、
本当に皆それぞれの素晴らしいおもてなしをしてくれたわ、本当にありがとう。」

皇后陛下はニコニコと労いの言葉をかけてくれた。
しかし、これはただの楽しいお茶会でないのは最初から百も承知。
ここから私たちの今日の評価が下されるのです。

「さて、これでおもてなしの試験は終了ね。」

皇后陛下は机の上をトントンと指で叩きながら

「本当は、私のパーティーにこんなに手を尽くしてくれたみんなに平等に労ってあげたいところだけど、
試験だものね、ちゃんと順位をつけて今回の勝者を決めないといけないわ」

と言って目を瞑って思案しながら、まずは今日のそれぞれに対する思いを述べた

「悩ましいものね、

リーブさんのお菓子はここのジャムを引き立てるために考えられたお菓子を提供してくれて、
使用人と連携をとりながらお菓子を作り、配膳するその姿は普段の信頼関係が見てとれたわ。

リリーさんのあの水芸は自分の魅力を最大限に活かし、皆を楽しませたし何より本人が楽しそうだった。
しかも使用人の協力がなければうまくいかない、楽しそうに話していたところを見ると普段も仲がいいのね。」

皇后陛下はそれぞれの方に顔を向けながら満足そうにそう言った。

予想通りこの二人の評価は高い。
それは改めて私が感想を述べるまでもないほどに明らかですわ。

でも、問題は私の評価…
正直ハッタリの部分が多かったですけれど、あれをどこまで評価してもらえたのか…。
そして皇后陛下が今度は私の方を見てこういう。

「そしてローズさん、ガーデンのひと時を思い出してもらえるようにと言う心遣い本当に素晴らしい、しかもあの品物は庭師と職人の交渉連携がうまくいかなければ準備できないわ。最後の挨拶の時も思ったけれど協力させるその話術、感心するわ。」

なんとか評価はいただけた。

少なくとも悪い印象は持たれなかった様子。
しかし、少しだけ他の二人と評価の表現のされ方が違ったような気がした。

それが何かはわからないけれど、気に入らないという雰囲気は感じないので、
ひとまず頭の片隅にだけ置いておくことにして評価をまった。

「以上の評価により、本当に僅差で悩ましかったのだけれど、今回の一次審査の勝者は…」

皇后陛下はそういうと手をその人物に差し伸べる

「リリーさんね」

「あ…ありがとうございます…!」

その顔を赤く染めて目を見開くその姿は、まさに小説のヒロインそのものだった。

「リーブさんもローズさんも、心のこもったものを準備していたことに違いはない。
『誰かに心のこもった対応をする』という『おもてなし』の基準はしっかり達している
リリー様はその中で一番みんなの心を掴み動かした。
あんなに喜んでいる皆の顔をみると、勝者に選ばざるをえないわ」

「も、勿体無いお言葉、ありがとうございます!」

その様子を見て、私とリーブ様は拍手を送った。
完全完敗と言わざるをえなかった。

もし少しでもこの評価に違和感を持ったのであれば、抗議をするのでしょうが、
私とて流儀があります。

それは、自分が素晴らしいと思ったことは、たとえどの様な立場にいる者に対しても差別せず心から評価をすること。
これができないのであれば、他人を馬鹿にする資格などありはしないのですもの。

だから完敗を認めたなら敬意を表すのは当然。

それに、これはただの一次審査。

まだまだ先の長い、お妃様選定試験の一つを落としたにすぎない。
問題はここからですわ。

ひとしきりのリリー様への言葉をかけ終わると、皇后様は話題を変えた。

「さて一次試験も終わって、私の仕事もおしまい。
この後のことは、彼から説明をしてもらいましょう。」

皇后様はそういうと、手元にあったベルを鳴らす。
すると若い白髪の髪の男性が歩いてきた。
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