転生前から生粋の悪役令嬢は、百合ヒロインから逃亡したい!

木東

文字の大きさ
38 / 64
第一試験はおもてなし

一次審査の結果

しおりを挟む

「みんなご苦労様。さあ座ってちょうだい。」

来賓の方々が帰ると、皇后様は私たちを近くの小さなテーブルに呼び、
使用人たちにお茶の用意をさせて私たちを労ってくださいました。

振る舞われた紅茶には白い花びらが浮かんでおり趣向を凝らせたそのお茶はとても素晴らしい香りを楽しませてくれた。

私たちがそのお茶を楽しんでいると

「本当、私の思いつきでこのテストにこの試験を織り交ぜてもらったけれど、
本当に皆それぞれの素晴らしいおもてなしをしてくれたわ、本当にありがとう。」

皇后陛下はニコニコと労いの言葉をかけてくれた。
しかし、これはただの楽しいお茶会でないのは最初から百も承知。
ここから私たちの今日の評価が下されるのです。

「さて、これでおもてなしの試験は終了ね。」

皇后陛下は机の上をトントンと指で叩きながら

「本当は、私のパーティーにこんなに手を尽くしてくれたみんなに平等に労ってあげたいところだけど、
試験だものね、ちゃんと順位をつけて今回の勝者を決めないといけないわ」

と言って目を瞑って思案しながら、まずは今日のそれぞれに対する思いを述べた

「悩ましいものね、

リーブさんのお菓子はここのジャムを引き立てるために考えられたお菓子を提供してくれて、
使用人と連携をとりながらお菓子を作り、配膳するその姿は普段の信頼関係が見てとれたわ。

リリーさんのあの水芸は自分の魅力を最大限に活かし、皆を楽しませたし何より本人が楽しそうだった。
しかも使用人の協力がなければうまくいかない、楽しそうに話していたところを見ると普段も仲がいいのね。」

皇后陛下はそれぞれの方に顔を向けながら満足そうにそう言った。

予想通りこの二人の評価は高い。
それは改めて私が感想を述べるまでもないほどに明らかですわ。

でも、問題は私の評価…
正直ハッタリの部分が多かったですけれど、あれをどこまで評価してもらえたのか…。
そして皇后陛下が今度は私の方を見てこういう。

「そしてローズさん、ガーデンのひと時を思い出してもらえるようにと言う心遣い本当に素晴らしい、しかもあの品物は庭師と職人の交渉連携がうまくいかなければ準備できないわ。最後の挨拶の時も思ったけれど協力させるその話術、感心するわ。」

なんとか評価はいただけた。

少なくとも悪い印象は持たれなかった様子。
しかし、少しだけ他の二人と評価の表現のされ方が違ったような気がした。

それが何かはわからないけれど、気に入らないという雰囲気は感じないので、
ひとまず頭の片隅にだけ置いておくことにして評価をまった。

「以上の評価により、本当に僅差で悩ましかったのだけれど、今回の一次審査の勝者は…」

皇后陛下はそういうと手をその人物に差し伸べる

「リリーさんね」

「あ…ありがとうございます…!」

その顔を赤く染めて目を見開くその姿は、まさに小説のヒロインそのものだった。

「リーブさんもローズさんも、心のこもったものを準備していたことに違いはない。
『誰かに心のこもった対応をする』という『おもてなし』の基準はしっかり達している
リリー様はその中で一番みんなの心を掴み動かした。
あんなに喜んでいる皆の顔をみると、勝者に選ばざるをえないわ」

「も、勿体無いお言葉、ありがとうございます!」

その様子を見て、私とリーブ様は拍手を送った。
完全完敗と言わざるをえなかった。

もし少しでもこの評価に違和感を持ったのであれば、抗議をするのでしょうが、
私とて流儀があります。

それは、自分が素晴らしいと思ったことは、たとえどの様な立場にいる者に対しても差別せず心から評価をすること。
これができないのであれば、他人を馬鹿にする資格などありはしないのですもの。

だから完敗を認めたなら敬意を表すのは当然。

それに、これはただの一次審査。

まだまだ先の長い、お妃様選定試験の一つを落としたにすぎない。
問題はここからですわ。

ひとしきりのリリー様への言葉をかけ終わると、皇后様は話題を変えた。

「さて一次試験も終わって、私の仕事もおしまい。
この後のことは、彼から説明をしてもらいましょう。」

皇后様はそういうと、手元にあったベルを鳴らす。
すると若い白髪の髪の男性が歩いてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

乙女ゲームの中の≪喫茶店の店長≫というモブに転生したら、推しが来店しました。

千見るくら
恋愛
社畜OL、乙女ゲームの世界に転生!? でも私が転生したのは――女主人公でも攻略対象でもなく、ただの喫茶店の店長(モブ)だった。 舞台は大人気乙女ゲーム『ときめき☆青春学園~キミの隣は空いてますか?~』。 放課後、女主人公と攻略キャラがデートにやってくるこの店は、いわば恋愛イベントスポット。 そんな場所で私は、「選択肢C.おまかせメニュー」を選んでくる女主人公のため、飲料メーカーで培った知識を駆使して「魂の一杯」を提供する。 すると――攻略キャラ(推し)の様子が、なんかおかしい。 見覚えのないメッセージウインドウが見えるのですが……いやいや、そんな、私モブですが!? 転生モブ女子×攻略キャラの恋愛フラグが立ちすぎる喫茶店、ここに開店! ※20260116執筆中の連載作品のショート版です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...