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第二の試験は危険区域

現場は切迫状況

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それからしばらく、空が真っ暗になった頃にサバラマに到着した。
まずは挨拶にということで、この地方を収めるサバラマ卿の邸宅に挨拶に行くことになった。

屋敷に着くと門の前で私たちが乗る馬車を待っていたサバラマ卿が私たちにお辞儀をする。

「皇太子殿下、お妃候補の皆様方、ようこそはるばるとお越しいただきました。」

その挨拶を受け、私たちは馬車から降りた。
てっきり、一度応接間でお話を伺ってから現地へ行くのかとおもていたのですが

「本当であれば、一度応接間でお茶でも…と言いたいところなのですが、こちらも切迫しておりまして…」

とサバラマ卿が、今にでも移動したいというそぶりでそういった。
思っていたより状況は切迫していて、一刻も早い打ち合わせとひとまず持ってきた備品が欲しいらしい。

その様子を見て事情を理解した私たちと皇太子殿下は頷くと

「わかっている、すぐに現場の報告と足りないものを教えてくれ。
現場には先にハロルドと彼女たちを向かわせる」

と伝える。

「かしこまりました、それでは皇太子殿下は私と共に病院の方へ…」

そういうとサバラマ卿は一礼をして皇太子殿下と病院の方へ向かっていった。
それを見送ると、ハロルドは私たちの方を向いて

「それではみなさま、マスクを装着してください。」

といい配ったマスクを私たちは素直に受け取り装着した。

「今からみなさまには教会の方へ視察に行っていただきます。」

そのために目立たない質素な馬車に乗り換えていただきますというふうに促すと、
リリー様が手をあげて質問をした。

「あの、視察視察ってそればかりですけれど、実際のところは私たちは何をすればいいのでしょうか?」

私はそんなこともわからないのかとため息を分かりやすくつく
まぁ、しかし確かに視察と一口に言っても現場や求められる内容によって変わることも確かですわ。

だから念のため、彼の話に耳を傾けました。

「今回。現地に行って何をしろ…というふうには申しません。
やらなければいけないことは全て皇太子殿下がやることになっております。
患者に話しかけるもよし、手伝って看病するもよし、情報収集するもよし。
邪魔にならないようにすること、皇太子殿下の手伝いはしないこと、この2点を守っていただければご自由に。」

「あの、このような状況で常敗を決めるのは、不謹慎では?」

「前回のように争えというつもりはありません、単純に人手不足で駆り出されたと思ってください。」

ハロルドの話を聞くと、今更ながら少し眉を顰めるリリー様
確かに、彼らを出汁に使うのは気分がいいものではないけれど、直近の皇太子殿下の視察に合わせたのだろう。
もし国外交流とかのものであれば、緩やかなものだったに違いないですわ。

「前も言いましたがお妃様になった暁には公務としてこう言った機会はあるかと思うので、今回は適性検査みたいなものですかね。
ここで行われた業績と、個々の現場にいる皆様のご意見を伺って判断いたします。」

ハロルドが説明を終えると、馬車に全員が乗り込み終わり、馬車は教会へと向かったのでした。
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