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唐揚げを作ろう2

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 このままだとカラアゲを作ることはできない。

 ぷるんくんに格好いい主としての姿を見せたかった。

 僕が顔を俯かせていると、ぷるんくんがジャンプをして、まな板に着地した。

「ぷるんくん?どうした?」

 僕の問いに、ぷるんくんはちっこい手を生えさせ、何かを説明するようにかわいく動かす。

「ぷる、ぷるぷる!ぷるるん!ぷるるるん!!」
「ん?」

 何かを一生懸命伝えようとしているようだが、僕には伝わらなかった。

 僕がはてなと首を捻ると、ぷるんくんは諦めたようにため息をついては、片手を上げる。

 すると、ぷるんくんの手は光り始めた。
 
「ぷ、ぷるんくん?」
 
 白い光り。

 これはぷるんくんのスキルの一種だろうか。

 僕はいそいそと鑑定でぷるんくんの手を分析してみる。

ーーーー

スキル名:超音波カッティング

説明:自分の体の一部に高エネルギーの超音波をかけて振動させて対象を切る。土属性のSS級スキル。

ーーーー

「ちょ、超音波?」

 超音波は海に住むイルカなどが発するもので、人が認知できない音域だと教わった。

 魔道具を使えば、超音波を捉えることはできるが、超音波を使って対象を切る話は聞いた覚えがない。

 しかもSS級スキル。

 人間が到達できるクラスはSが限界だ。

 もちろんスキルだって、SS級を覚醒させたものは存在しない。

 つまり、完全に未知の領域だ。
 
 そんなことを考えていると、ぷるんくんはゆっくりと言ったスピードでキングレッドドラゴンの尻尾の方へ手を下げてゆく。

 やがて、ぷるんくんの白く光る手と尻尾が接触した。

 それと同時に



キイイイイイイイ!!!!!



 甲高い音と共に、想像を絶するほどの量の火花が散ってゆく。

 火花は僕の部屋の全体に広がってゆき、僕に途轍もない不安をもたらした。

 なぜなら

「ぷぷぷぷぷるんくん……ここ木造建築物だから」

 そう。

 ここは木で作られている。

 僕の不安を裏切らないと言わんばかりに、天井あたりで火がついてしまった。

 それと同時に、尻尾を切り終えたぷるんくんが目を『^^』にして僕を見上げてくる。

 僕はそんなぷるんくんに向かって天井を指差しながら慌ただしく言う。

「ぷるんくん!火、火だよ!早く消さないと!そ、そうだ。水!水を!」

 慌てふためく僕を見たぷるんくん。
 
 そんなぷるんくんは目力を込めて、手を天井に向ける。

 すると、ぷるんくんの手の先から直径50センチほどの水の塊が現れた。

「ぷりゅん!」
 
 と、ぷるんくんが気合いを入れると同時に、その水の塊は火の元である天井へと凄まじいスピードで飛んでゆく。

 火は消えた。

 それと同時に、

 天井に50センチほどの穴が開いてしまった。

「……」
  
 ただでさえ家賃滞納しているというのに、穴まで開けてしまった。

 追い出されても文句は言えぬ。

 僕が冷や汗をかいていると、

 ぷるんくんは僕を見上げて目をまた『^^』にした。

 純真無垢な笑顔。

 そう。

 ぷるんくんは悪くない。

 ぷるんくんは僕に従っただけだ。
 
 キングレッドドラゴンの硬さを忘れた僕に非があるというわけだ。

 僕はぷるんくんの頭を優しくなでなでしてあげた。

 すると、ぷるんくんが気持ちよさそうに体を震わせる。

「ぷるんくん、ありがとう。よく頑張ってくれた」
「んんん」
「次、キングレッドドラゴンを切る時は、周りに防御膜を張ってくれるかな?」
「ぷりゅん」
「ふふ、ありがとう」

 と、しばしぷるんくんを撫で撫でした後、僕は再びぷるんくんをベッドに戻してから料理作りに取り掛かった。

 
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