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拾遺録4 帰りたい場所
8 協議会⑷ アシャプール侯爵の弁明と要求(ラツィオ新報 エミル記者視点)
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アコルタ子爵は子爵家当主ではあるが、元々は平民だ。
国内の迷宮を多数攻略したA級冒険者で、アコルタ子爵家に婿入りし、子爵となった。
子爵位に就く前からA級冒険者として、各教会の祭礼等でも招かれて演武や模擬試合等を披露したりしている。
平民出身という事もあって、一般からも人気だ。
彼はナイケ教会に招かれて、演舞や模擬試合に参加する事もあった筈だ。
しかしこれは、A級冒険者としての職務としてやっている事だろう。
同様に他の教会にも招かれて、演舞や祭礼出席等をしているし、更には冒険者ギルドで講習の指導担当なんて事までしていたと記憶している。
だから彼の立場そのものは、中立と判断していいだろう。
ここにいるのはギルドからの依頼、そう素直に考えていい筈だ。
さて、ナイケ教会側はこれで追い詰められた。
おそらく今のテロ未遂、何処が行ったという証拠は出ないだろう。
しかし心証的には真っ黒だ。
この場にいる者だけでなく、新聞等でこの件を知った者もそう判断するだろう。
無論ナイケ教会側も、言われるがままにはならないだろう。
これは本教会を貶めこの国の行政に影響を行使しようとする冒険者ギルド等により仕掛けられた陰謀である。
そんな噂を流して抵抗する事は間違いない。
ただし冒険者ギルドとナイケ教会では信用が違う。
ナイケ教会が噂を流しても、世間一般は信じないだろう。
それにこの義務教育案制定過程では、既に何件か怪しい事案が発生している。
先程のテロ未遂事案、以前にも。
明日発行の新聞ではその辺を含めて、あれこれ書き立てるのは間違いない。
勿論僕もそういった絵図面を描いて、記事を書くけれど。
世論的には、既に勝敗は決した。
しかし此処は協議会であり、世間の一般人の多数意見を反映するとは限らない。
本来はそれでは協議会の意味がないが、そこは制度上の欠陥という奴だ。
つまりこの協議会の枠内でだけなら、逆転出来る可能性も残されている。
あくまでナイケ教会色払拭の案に賛成せず、対案を強引に持ち出して、指定参加者による採決に持ち込むのだ。
国法では協議会の結論は、指定参加者による合議によることと定められている。
そしてこの場の指定参加者は、
〇 国王庁の関係各局の管理官級10名。
〇 貴族院教育担当部会員を務める貴族5名。
〇 現場代表で国立学校の校長が4名。
〇 オブザーバーの冒険者ギルド代表してタウフェン公爵
の合計20名。
司会の教育局の2名と特別報告者のリディナ氏は、意見を述べる事は出来るが、議決に参加する事は出来ない。
だから議決になった場合、国王庁関連各局の管理官のうち2名がナイケ教会側に投票してしまえば、ナイケ教会側の意見が通ってしまう。
ここで動くとすれば、貴族院の教育担当部会員としてこの場に臨席している貴族だろう。
これらの者はナイケ教会シンパといっても、真にナイケ教会の教義を信奉、もしくは賛同している訳では無い。
ナイケ教会からの援助を受けてその意に従っているだけだ。
ここで『役立たず』と判断されたら、彼らに対する援助も激減するだろう。
故に彼らは此処で踏ん張るしかない。
それに貴族院議員なら国立学校長と異なり、それなりの政治力がある。
上手くやれば国王庁の役人を脅す事も可能だろう。
あまり無茶をすると、国王命によって解任されかねないけれども。
「それではスリワラ領で現に実施されている教育方法についての質問です。アシャプール貴族院教育担当部会会長、質問の趣旨と内容をお願いします」
司会補助が名前を呼んだのは、ナイケ教会シンパとして、裏でナイケ教会から援助を受けている筆頭格、アシャプール侯爵だ。
「貴族院で教育担当部会を預かっているアシャプールである。本来の質問はスリワラ領で現に実施されている、この勉強会と呼ばれる私塾のカリキュラムにおける重大な欠陥についてであった。しかしその前にこの場を借りて先程のリディナ氏の回答について反論したい」
重大な欠陥とは、教育カリキュラムにナイケ教会関連が入っていないという事だろう。
ここまで何度も出てきて、そのたびにリディナ氏に反論された内容だ。
このまま同じ内容を指摘しても勝てないと察したのだろう。
ただしこれでは、提出した質問主意書の内容と実際の質問が違う事になってしまう。
これは認められるのだろうか。
アシャプール侯爵は言葉を止め一呼吸おく。
司会からの制止はない。
侯爵は軽く頷いて、そして再び口を開く。
「先程、エールダリア教会時代の卒業生の方が、 現在の運営に代わって以降より魔法取得レベルが平均して高いという調査結果への言及があった。しかしこの時点で国立学校の教育はエールダリア教会によって汚されていた。その後を継いだ以上、一時的にレベルが下がるのは仕方ないものと判断する」
まずは言い訳からはじまった訳か。
しかも中身は無いに等しい。
それでも一応記事には必要なので、内容のメモは取っている。
「それに取得魔法のレベルで学習効果を判断する事にも異議がある。魔法など所詮些末な事に過ぎない。教育において最も重要なのは、敬神の姿勢及び神の教えに忠実に生きる事を教える事である。また魔物やその他脅威に対しても、神の教えにそった剣術や格闘術があれば問題無い。故に取得魔法のレベルなどで学業の成果を測る事など出来ない」
……何というか、言っていて恥ずかしくないのだろうか。
アシャプール侯爵家が元々ナイケ教会を信奉していた、という訳では無い。
エールダリア教会失墜時までは、どっちつかずの、侯爵家の中ではもっとも目立たない家だった筈だ。
ただ十三年前、他の侯爵家と比べてエールダリア教会への関わりが相対的に薄かった事から、教育担当部会会長なんて地位が舞い込んできた。
ナイケ教会との関係も、その時以来だった筈だ。
それがこのような、ナイケ教会べったりな発言を大真面目な顔でするとは……
アシャプール侯爵の発言はまだ続いている。
「故にリディナ殿の先程の発言は、事実に即していない、ただの言いがかりであるのは明らかである。故にこの場において、自身の間違いを認め、ナイケ神への謝罪をするとともに、よりよい義務教育の為、自らが現に行っている教育カリキュラムを再考する事をここで宣言願いたい」
国内の迷宮を多数攻略したA級冒険者で、アコルタ子爵家に婿入りし、子爵となった。
子爵位に就く前からA級冒険者として、各教会の祭礼等でも招かれて演武や模擬試合等を披露したりしている。
平民出身という事もあって、一般からも人気だ。
彼はナイケ教会に招かれて、演舞や模擬試合に参加する事もあった筈だ。
しかしこれは、A級冒険者としての職務としてやっている事だろう。
同様に他の教会にも招かれて、演舞や祭礼出席等をしているし、更には冒険者ギルドで講習の指導担当なんて事までしていたと記憶している。
だから彼の立場そのものは、中立と判断していいだろう。
ここにいるのはギルドからの依頼、そう素直に考えていい筈だ。
さて、ナイケ教会側はこれで追い詰められた。
おそらく今のテロ未遂、何処が行ったという証拠は出ないだろう。
しかし心証的には真っ黒だ。
この場にいる者だけでなく、新聞等でこの件を知った者もそう判断するだろう。
無論ナイケ教会側も、言われるがままにはならないだろう。
これは本教会を貶めこの国の行政に影響を行使しようとする冒険者ギルド等により仕掛けられた陰謀である。
そんな噂を流して抵抗する事は間違いない。
ただし冒険者ギルドとナイケ教会では信用が違う。
ナイケ教会が噂を流しても、世間一般は信じないだろう。
それにこの義務教育案制定過程では、既に何件か怪しい事案が発生している。
先程のテロ未遂事案、以前にも。
明日発行の新聞ではその辺を含めて、あれこれ書き立てるのは間違いない。
勿論僕もそういった絵図面を描いて、記事を書くけれど。
世論的には、既に勝敗は決した。
しかし此処は協議会であり、世間の一般人の多数意見を反映するとは限らない。
本来はそれでは協議会の意味がないが、そこは制度上の欠陥という奴だ。
つまりこの協議会の枠内でだけなら、逆転出来る可能性も残されている。
あくまでナイケ教会色払拭の案に賛成せず、対案を強引に持ち出して、指定参加者による採決に持ち込むのだ。
国法では協議会の結論は、指定参加者による合議によることと定められている。
そしてこの場の指定参加者は、
〇 国王庁の関係各局の管理官級10名。
〇 貴族院教育担当部会員を務める貴族5名。
〇 現場代表で国立学校の校長が4名。
〇 オブザーバーの冒険者ギルド代表してタウフェン公爵
の合計20名。
司会の教育局の2名と特別報告者のリディナ氏は、意見を述べる事は出来るが、議決に参加する事は出来ない。
だから議決になった場合、国王庁関連各局の管理官のうち2名がナイケ教会側に投票してしまえば、ナイケ教会側の意見が通ってしまう。
ここで動くとすれば、貴族院の教育担当部会員としてこの場に臨席している貴族だろう。
これらの者はナイケ教会シンパといっても、真にナイケ教会の教義を信奉、もしくは賛同している訳では無い。
ナイケ教会からの援助を受けてその意に従っているだけだ。
ここで『役立たず』と判断されたら、彼らに対する援助も激減するだろう。
故に彼らは此処で踏ん張るしかない。
それに貴族院議員なら国立学校長と異なり、それなりの政治力がある。
上手くやれば国王庁の役人を脅す事も可能だろう。
あまり無茶をすると、国王命によって解任されかねないけれども。
「それではスリワラ領で現に実施されている教育方法についての質問です。アシャプール貴族院教育担当部会会長、質問の趣旨と内容をお願いします」
司会補助が名前を呼んだのは、ナイケ教会シンパとして、裏でナイケ教会から援助を受けている筆頭格、アシャプール侯爵だ。
「貴族院で教育担当部会を預かっているアシャプールである。本来の質問はスリワラ領で現に実施されている、この勉強会と呼ばれる私塾のカリキュラムにおける重大な欠陥についてであった。しかしその前にこの場を借りて先程のリディナ氏の回答について反論したい」
重大な欠陥とは、教育カリキュラムにナイケ教会関連が入っていないという事だろう。
ここまで何度も出てきて、そのたびにリディナ氏に反論された内容だ。
このまま同じ内容を指摘しても勝てないと察したのだろう。
ただしこれでは、提出した質問主意書の内容と実際の質問が違う事になってしまう。
これは認められるのだろうか。
アシャプール侯爵は言葉を止め一呼吸おく。
司会からの制止はない。
侯爵は軽く頷いて、そして再び口を開く。
「先程、エールダリア教会時代の卒業生の方が、 現在の運営に代わって以降より魔法取得レベルが平均して高いという調査結果への言及があった。しかしこの時点で国立学校の教育はエールダリア教会によって汚されていた。その後を継いだ以上、一時的にレベルが下がるのは仕方ないものと判断する」
まずは言い訳からはじまった訳か。
しかも中身は無いに等しい。
それでも一応記事には必要なので、内容のメモは取っている。
「それに取得魔法のレベルで学習効果を判断する事にも異議がある。魔法など所詮些末な事に過ぎない。教育において最も重要なのは、敬神の姿勢及び神の教えに忠実に生きる事を教える事である。また魔物やその他脅威に対しても、神の教えにそった剣術や格闘術があれば問題無い。故に取得魔法のレベルなどで学業の成果を測る事など出来ない」
……何というか、言っていて恥ずかしくないのだろうか。
アシャプール侯爵家が元々ナイケ教会を信奉していた、という訳では無い。
エールダリア教会失墜時までは、どっちつかずの、侯爵家の中ではもっとも目立たない家だった筈だ。
ただ十三年前、他の侯爵家と比べてエールダリア教会への関わりが相対的に薄かった事から、教育担当部会会長なんて地位が舞い込んできた。
ナイケ教会との関係も、その時以来だった筈だ。
それがこのような、ナイケ教会べったりな発言を大真面目な顔でするとは……
アシャプール侯爵の発言はまだ続いている。
「故にリディナ殿の先程の発言は、事実に即していない、ただの言いがかりであるのは明らかである。故にこの場において、自身の間違いを認め、ナイケ神への謝罪をするとともに、よりよい義務教育の為、自らが現に行っている教育カリキュラムを再考する事をここで宣言願いたい」
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