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2話 ゆかりさんとわたしと、洋館にて
謎解きしてみない?
しおりを挟む「ゆかりさん。謎解きしてみない?」
その日のお話は、わたしのそんな発言から始まりました。
場所はゆかりさんのお家の居間。時刻は穏やかな昼下がり。
特に何かするでもなくとてもゆったりとした時間を一緒に過ごしていたわたしたちでしたが、暖かな光に溶け込みそうなゆかりさんの横顔がどこか退屈そうに見えたので、そんな話を振りました。
ゆかりさんはふっ、と薄らいだ輪郭を取り戻して、わたしを見て、それから首を傾げます。
〝どういう謎かしら?〟
そう問いかけてきます。眠たげだった瞳には好奇の色が宿り、興味ありげです。
基本彼女はファンタジー系の読み物を好みますが、わたしは少し前の経験からゆかりさんはミステリーに強いのではないかと考えていて、そういう話題を持っていけば話が合うかもしれないと、最近ミステリー小説ばかりを読んでいました。
今日はその中から一際難しそうなものを選び、ゆかりさんに話すことにします。
「主人公は高校生の二人でね、後輩の子と一緒に洋館へ行くことになるの。そこで不可解な事件に巻き込まれる、というストーリーよ」
ゆかりさんはスケッチブックを通してわたしに質問します。
〝謎解きというと、その小説の中のトリックと犯人と動機をすべて答えるということ?〟
言葉にされると、さすがにゆかりさんでもそれ全てを言い当てるのは無理なような気がしてきます。
ゆかりさん自身も少し怪訝そうな顔ですし。
そこでわたしは提案します。
「それはさすがにすごすぎるから、事件のトリックひとつに絞りましょう。言い当てられたらゆかりさんの勝ち。それでどう?」
ゆかりさんはこくりと頷いて、納得してくれました。
それからじっ、とわたしの顔を見つめて来るので一瞬何事かと思いましたが、からかうような瞳をしているのを見て察しました。
「ちなみに。わたしの表情から読み取ろうとしてもできないからね。そうならないように最後まで読んでないの。だから、犯人もトリックの答えもわたしは知らないということ」
ゆかりさんが頬を膨らませて悔しそうな顔に変わったのを見て、
「ふふふ。毎回ゆかりさんの思い通りにはさせないよ」
などとわたしは得意満面でしたが、よく考えて見るとこれから出題する謎かけの答えを知らないというのは、ちょっと……。いいえ、かなり滅茶苦茶なことでした。
ゆかりさんに見抜かれないようにするために仕方なかったとはいえ、わたしも随分な無茶をしたものです。
そんなことは気にせず、ゆかりさんはわくわくに瞳を輝かせてわたしを見つめてきます。
これ以上待たせる訳にはいきません。わたしは語り始めました。
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