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2話 ゆかりさんとわたしと、洋館にて
また三つ?
しおりを挟むふう、とひと息ついたわたしへ、ゆかりさんがお茶を注いだ湯呑を差し出してくれました。
「ああ、ありがとう」
程よい熱さのそれをわたしは一口啜り、ひと仕事終えた後の一杯を楽しみます。
「どう? ゆかりさん。質問はある?」
ゆかりさんは少し考え、右手の指を三本立てます。
質問が三つあるということでしょうか?
おや、また三つ?
「ゆかりさん、ひょっとして……。質問は三つまでだとか、そういう縛りルールを勝手に追加していない?」
すると、ゆかりさんは悪戯っぽくにこっとします。
〝あら、ばれた?〟
と言いたげです。
「んん。まあ、別に数を縛る必要はないと思うけれど……」
ゆかりさんはスケッチブックにさらさらと。
〝答えが出るまで無限に質問を繰り返したらつまらないじゃない。むしろ三つのヒントなんて謎かけじゃ多い方よ〟
ゆかりさんは普段は冷静ですが、ゲームとかだと負けるかもしれないリスクを楽しむタイプです。
楽しんでいるのだから、わざわざ水を差すのは止めておきましょう。
「うん。ゆかりさんがいいのならそれで。じゃあ一つ目の質問はなあに?」
わたしは頷いてから訊ねます。
ゆかりさんはスケッチブックをくるり回して、裏面をわたしの方へ向けてきます。
〝登場人物の中に医者の人がいるということは、検死が行われたということね?〟
「そうね。そういう場面があったと思う」
〝二つの事件の死因は、それぞれなんだと書かれているかしら?〟
「死因? それはえっと……。普通に焼死と銃殺じゃないかな?」
わたしはそれぞれその描写が書かれているページを捲りつつ、そこを読んだ時のことを思い返してみます。
「うん。やっぱりそう。まあ、二人とも読者にもはっきり分かるような亡くなり方だったから、それがそのままの死因になっているよ」
そこまで言って、はたと気がつきます。
「あ、でも細かく言うなら、一人目の記者さんは焼死じゃなくてショック死で、二人目の双子のお母さんは出血死かな?」
〝良く知っているわね、みぃちゃん〟
ゆかりさんが意外そうな顔で感心して、そう伝えてきます。わたしは変に嬉しくなって、えへへ、と緩んだ笑みを返します。
最近、ミステリー小説を読む機会が多いお陰もあるのでしょう。
確かに中にはそういう細かい死因の違いを利用したトリックもあって、わたしは大層驚いたものです。
「ゆかりさんが聞きたいのは、つまりそういうこと?」
わたしがズバリ訊ねると、ゆかりさんはあっさりと首を横に振りました。
「うえっ」
これは何とも恥ずかしい……。
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