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石を見つけましょう

心配して待ってました

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みんなが集まっていた場所は、都合が良いことにダンジョンの転移部屋だった。
私を待っている間に、みんなもお茶とお菓子で休憩を取っていたらしく、すぐにダンジョンを脱出することに決定!

ちょっと気になったから、「ところで運命の鉱石は見つけられたの?」と質問すると、リュシアンの顔がもの凄く面白いことになった。
うん、わかったよ。
深くは聞かないでおこう、武士の情けだ・・・なぁんて。

そしてアルベールの魔力を転移魔道具に注いで、ブォンと足元に現れた魔法陣によって地上へと転移した。
転移する場所は決まっていて、私たちの他にも何組かダンジョンの中から出てきた冒険者パーティーがいた。
そういえば・・・私たちって草原エリアから他の冒険者たちと会わなかったような?
うん?と腕を組んで首を傾げた私に、アルベールの珍しい驚きの声が聞こえた。

「どうしたの?」

「それが・・・。私たちがダンジョンに潜ってから、もう1ヶ月も経っています。感覚では5~6日ぐらいでしたが・・・」

えっ?そんなに長い間潜っていた?
いやいや、確かにダンジョンの中では朝も昼も夜もないから、出現するエリアによっては夜の砂漠とかあるみたいだけど、私たちってそんなに寝ずに活動してましたっけ?

「ダンジョンの中では時間の流れが違う所もあるとは聞いたが、俺はこんなこと初めてだな」

「私は高ランク冒険者が入るダンジョンで経験がありますが、1ヶ月も潜っていて気づかないなんて、ありえないですよ」

ここ鉱山ダンジョンに限らず、ダンジョンに入るときは受付でパーティー名と人数を申告する制度がある。
そして出てきたら受付でまた手続するのだ。
これってダンジョンで残念な結果になった冒険者たちの把握のために始まった制度らしいけど、ダンジョンでお亡くなりになると遺品も見つけられないそうだから。
私たちも、もう少し遅かったら、冒険者ギルドに「パーティー全滅」と報告されていただろう。

私たちが騒いでいると、ダンジョン受付のお姉さん、たぶん冒険者ギルドのギルド職員さんが恐る恐る話しかけてきた。

「あのぅ・・・。このダンジョンでは時間が歪む現象は報告されていませんが?」

「「あ!」」

アルベールとリュシアンがしまった!みたいな顔をすると、素早く私とルネとリオネルの手を掴んでその場を小走りで去ろうとする。

「え?え?どうしたの?」

「いいから、お嬢、ルネとリオネル、走れ。宿に帰るぞ!」

「ダンジョンで通常起きない現象に立ち会った場合は、ギルドに報告するように勧められるんです。義務ではないので今日は逃げます」

「そうそう。もう疲れた。しかも1ヶ月もダンジョンに居たって分かったら余計に疲れた。早く宿に帰って休みたいよ」

「同感です。ギルドには明日以降に報告すればいいでしょう。宿にも早く戻って宿泊の延長手続きをしなければ、今日泊るところが無いですよ!」

ルネとリオネルは、無言で手を大人たちに引かれながら走っている。
私なんか足が縺れているから、リュシアンに抱えられてしまった。
そうね、この疲労困憊の心身でギルドで長い時間をかけて報告業務をするのは、勘弁してほしいわ。

宿に真っ直ぐに戻るのは、私も大賛成なのだけど・・・、リュシアン、セヴランが泣きながら助けを求めているわよ?
だってセヴラン、私たちが走り出しても反応できずにボーっと立っていたから・・・受付のお姉さんに腕を掴まれている。

「リュシアンーっ!アルベール・・・置いていかないでーっ。助けてくださーい!」

さよなら、セヴラン。
貴方の犠牲は決して忘れないわ・・・、じゃなくて早く走って逃げてきなさーい!










息を切らして宿屋まで戻ってくると、アルベールが先に入って部屋の確認をしてきてくれた。
何日か払っていた宿泊日数よりオーバーしていたが、ガストンさんの紹介があったので、念のためにと部屋をキープしていてくれた。
不足分とさらに一週間分の宿泊費を払って、部屋に行こうとする私・・・、あれ?何か忘れている・・・ような?

「どうした?お嬢」

「うん・・・何か大事なことが・・・」

そのとき聞こえてきた「ヒヒン」という馬の嘶き。

「「あーっ!」」

私とリュシアンは顔を見合わせて叫ぶ。
カヌレとブリュレのおやつ!

アルベールたちに先に部屋に行ってもらって、私とリュシアンは厩にダッシュ!
そして、カヌレとブリュレが、ぼとぼと涙を零しながら歯を剥き出してにして泣いているのを発見!

「ご、ごめんね?遅くなって」

リュシアンが持ってきてくれた餌箱に、無限収納の中のお菓子をドサドサこれでもか!と入れていく。
それでも「ヒヒン、ヒヒン、ヒーン」と悲しい声は止まらない。

リュシアンは頭をガシガシと掻いて、「しょうがねぇ」と呟き馬房の中へ。
ブラシを手に取りカヌレからブラッシングをしていく。
私はブリュレにもしゃもしゃと髪の毛を毛づくろいされてます。
しくしく・・・私の髪が魔獣馬の涎まみれに・・・。

お菓子を餌箱に入れ終わると、2頭は餌箱に顔を突っ込んでガツガツと食べ始める。
おやつはそういう食べ方をするもんじゃないのよ?
あんたたち、エサはちゃんともらっているでしょ?
そういう複雑な思いはグッと押さえて、私も馬房に入りブラシを手に取ってブリュレのブラッシングを始める。

「あー、疲れてんのになぁ・・・。こいつら俺たちが戻って来なくてすっごい心配してたみたいだ」

おやつが欲しくて泣いてたんじゃないの?

「俺たちが無事に帰ってきて、嬉しいんだってよ。そりゃ、ブラッシングぐらいしてやらないとな」

ニヒヒヒと恥ずかしそうに笑うリュシアンにつられて、私もニヒヒヒと笑った。

その後、宿屋の馬丁さんから「魔獣馬は普通の馬よりも運動させてあげなきゃいけない。2~3日一回は思いっきり走らせるように!」とお叱りを受けたのだった。
ご、ごめんなさい。

ヨロヨロと疲れた体に鞭打って部屋に戻ってお風呂に入って、寝ながらご飯を食べて、気付いたらベッドで寝ていたわよ。

あー、疲れた・・・ぐう。


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