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第一部
四章(1)
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――真犯人と思われるのはリウカマー侯爵。けれどそれを保障するのはラヴィニアの証言しかなく、さらには彼女も嘘をついている可能性があり、かと言ってこちらが何か掴んだと知られたら証拠を隠滅されるかもしれない。ふぅ、とイアンは息をついて、前髪をくしゃりと握りしめる。
宰相の屋敷から一度王宮に戻って軽く手続きの書類をまとめ、今は馬車に乗って伯爵邸へ向かっていた。ラヴィニアの身柄は確保し、取り調べを受け、しばらくの間は暗殺未遂に関しては断罪されることなく、そのままだろう。本来ならば王族の暗殺未遂など大罪だが、ラヴィニアは騙されただけだと言っているし、何より、王太子が彼女を不問にすると決めたからだ。
だけど、そんな前例など出してはいけないとルイスは言った。もしそれをしてしまえば、今後罪を問われないのでは、と王族の暗殺を計画する者が出てきてしまう、と。
それに王太子は、だったらラヴィニア嬢が騙されただけだと証明できればいいのだな? と尋ねた。ルイスは公表できるのでしたら、と言い、ラヴィニアが利用されただけだと証明することになった。
正直、イアンはあまり気乗りしていない。ラヴィニアが印章を貸してしまったことによって、責められることになったのだから、自業自得だと思う。
ちなみに、印章を家族以外の者に貸した罪は問われることとなっている。サインと印章がセットでやっと、署名が認められるのだ。それを家族以外に貸して盗まれて詐欺にでも使われたら、色々と問題が起こる。
そんなことを考えていると、馬車が止まった。どうやら屋敷に着いたようで、イアンは少しあたふたとしながら馬車から降りる。
だけど馬車から出るといつもと位置が違い、思わず首を傾げた。キョロキョロと辺りを見回すと、イアンが乗ってきた馬車の前にももう一台馬車が止まっている。それがあったから、いつもと少し離れたところに止めたよう。そう気づいて納得すると、ちょうどそこから、シェーラが優雅に降りてきた。月光を受けて輝く黒髪や宝石類に、イアンは思わず目を奪われる。
けれど、しばらくして首を捻った。どこか様子がおかしい。いつもよりぼうっとしていて、今すぐにでも消えてしまいそうな儚さを感じて、思わず声をかけようとした。だけど、寸前のところで思いとどまる。
(もし、キスをしてしまったことに悩んでいたら……)
むしろ逆効果じゃないのか? ここでイアンが声をかけたら、むしろさらに悩ませてしまうんじゃ――?
そんなことを考えてたたらを踏んでいる間に、シェーラは屋敷の中へと消えてしまった。告白もしようとしているのに、何たる体たらく。はぁ、とイアンはため息をつくと、重たい足取りで屋敷へ向かった。
――もし、その日シェーラを呼び止めていれば、何かが変わったかもしれない。
そう、イアンは今後一生、後悔することとなる。
△▼△
翌朝、イアンが王太子とルイスとともに話し合いをするため、早めに屋敷を出ようとすると、「お義兄様」と声をかけられた。ざわつく胸を必死に宥めながら普段通りを装って振り返ると、そこにはシェーラがいた。ネグリジェにカーディガンというあられもない姿に思わず心臓が跳ね、慌てて視線を逸らす。「な、なに?」とどもりながら尋ねると、シェーラはゆっくりと近づき、「これを」と言った。
あまり彼女の体を見ないようにして手の内を見れば、そこには真っ白なハンカチが置かれていた。レースなどはなく、どうやら男物らしい。
ということは――今度は、ハンカチを届けてほしいと言われるのだろうか? そのことに心がもやっとして、思わずぐっと手に力を込める。爪が手のひらにくい込んだ。
「……分かった、ちゃんと殿下に渡すよ」
そう言ってハンカチを受け取ろうとすると、「ち、違います」とシェーラが鈴のような声で告げた。渡さまいとしてか、きゅ、とハンカチを握り、イアンから遠ざける。どういうことだと思いながらシェーラの顔を見れば、彼女の頬は真っ赤に染まっており、気恥ずかしそうな面持ちをしていた。そこに昨晩のような儚さはなくて、イアンはほっと息をつく。元気そうで良かった。
そう思って口元を緩ませると、シェーラは眉を寄せた。口を尖らせていて、今度は不機嫌そうな表情だ。「どうしたの?」と尋ねれば、その表情のまま頬を染める。その反応がたいそう可愛らしくて、イアンはクスクスと笑った。
「お義兄様!」
シェーラが咎めるように呼んだ。それもまた可愛らしく、思わず抱きついてしまいたくなるが、何とかこらえ、平静を装って尋ねる。
「それで、このハンカチは? 誰かから借りたから、返して欲しいの?」
すると、シェーラは顔をうつむけた。何かしてしまったかと一瞬慌てたが、さらりと黒髪が揺れて真っ赤になった耳があらわになると、そうではないと察する。だけど照れる理由は分からなくて、イアンは首を傾げた。
「シェーラ?」
名前を呼べば、シェーラはのろのろと顔を上げた。その頬は真っ赤で、瞳は僅かに潤んでおり、胸がどきりとする。大急ぎで表情を取り繕ってにこにこと作り笑いを浮かべていると、シェーラが「あの……」とか細い声で言う。けれどそれ以降は口をぱくぱくするばかりで、一向に言葉が出てこない。
……やがて覚悟を決めたのか、シェーラがゆっくりと声を発した。
「えっと……お義兄様に、と、思いまして……。――こ、婚約したのに、プレゼントできていませんでしたから……」
その言葉に、すっと気持ちが冷めた。思わず笑みが消えそうになるのを、意識して口角を上げることによって回避する。
その婚約がなくなると、伝えたら彼女はどう思うだろう? イアンとユリアナのも、王太子とシェーラのも。そのことにイアンは浮かれてばかりいたが、王太子のことが好きなシェーラからすれば、とても悪いことに違いない。そのことにようやっと思い至り、イアンの顔から血の気が下がった。自分がどう思われているのか、とか、考えている場合ではない。ただひたすら、王太子との婚約を喜んでいたシェーラに申し訳なかった。
「お義兄様?」
シェーラが、自然と下を向いていた顔を覗き込んでくる。その心配げな顔に胸が締めつけられる思いがして、だけどそれを顔に出すまいと無理に作り笑いを浮かべた。
「――ありがとう、シェーラ。大切にするよ」
「いえ……それなら良かったです」
そう言って、シェーラは微笑む。だけどその表情はひどく切なげで……。
重たい沈黙が辺りを満たす。どこからか調理のする音や、侍女たちの会話がぼんやりと聞こえてきて、イアンは慌てて壁にある大型の時計を見た。その針はちょうど朝の七時を示していて、大急ぎで入り口へ向かう。「ごめん、時間だから」という声はシェーラに届いたか否か。それすら確認できないほど、イアンは焦って屋敷の前に準備された馬車へ乗り込んだ。
ハンカチを受け取り損ねたと気づいたのは、馬車が走り出してからだった。
宰相の屋敷から一度王宮に戻って軽く手続きの書類をまとめ、今は馬車に乗って伯爵邸へ向かっていた。ラヴィニアの身柄は確保し、取り調べを受け、しばらくの間は暗殺未遂に関しては断罪されることなく、そのままだろう。本来ならば王族の暗殺未遂など大罪だが、ラヴィニアは騙されただけだと言っているし、何より、王太子が彼女を不問にすると決めたからだ。
だけど、そんな前例など出してはいけないとルイスは言った。もしそれをしてしまえば、今後罪を問われないのでは、と王族の暗殺を計画する者が出てきてしまう、と。
それに王太子は、だったらラヴィニア嬢が騙されただけだと証明できればいいのだな? と尋ねた。ルイスは公表できるのでしたら、と言い、ラヴィニアが利用されただけだと証明することになった。
正直、イアンはあまり気乗りしていない。ラヴィニアが印章を貸してしまったことによって、責められることになったのだから、自業自得だと思う。
ちなみに、印章を家族以外の者に貸した罪は問われることとなっている。サインと印章がセットでやっと、署名が認められるのだ。それを家族以外に貸して盗まれて詐欺にでも使われたら、色々と問題が起こる。
そんなことを考えていると、馬車が止まった。どうやら屋敷に着いたようで、イアンは少しあたふたとしながら馬車から降りる。
だけど馬車から出るといつもと位置が違い、思わず首を傾げた。キョロキョロと辺りを見回すと、イアンが乗ってきた馬車の前にももう一台馬車が止まっている。それがあったから、いつもと少し離れたところに止めたよう。そう気づいて納得すると、ちょうどそこから、シェーラが優雅に降りてきた。月光を受けて輝く黒髪や宝石類に、イアンは思わず目を奪われる。
けれど、しばらくして首を捻った。どこか様子がおかしい。いつもよりぼうっとしていて、今すぐにでも消えてしまいそうな儚さを感じて、思わず声をかけようとした。だけど、寸前のところで思いとどまる。
(もし、キスをしてしまったことに悩んでいたら……)
むしろ逆効果じゃないのか? ここでイアンが声をかけたら、むしろさらに悩ませてしまうんじゃ――?
そんなことを考えてたたらを踏んでいる間に、シェーラは屋敷の中へと消えてしまった。告白もしようとしているのに、何たる体たらく。はぁ、とイアンはため息をつくと、重たい足取りで屋敷へ向かった。
――もし、その日シェーラを呼び止めていれば、何かが変わったかもしれない。
そう、イアンは今後一生、後悔することとなる。
△▼△
翌朝、イアンが王太子とルイスとともに話し合いをするため、早めに屋敷を出ようとすると、「お義兄様」と声をかけられた。ざわつく胸を必死に宥めながら普段通りを装って振り返ると、そこにはシェーラがいた。ネグリジェにカーディガンというあられもない姿に思わず心臓が跳ね、慌てて視線を逸らす。「な、なに?」とどもりながら尋ねると、シェーラはゆっくりと近づき、「これを」と言った。
あまり彼女の体を見ないようにして手の内を見れば、そこには真っ白なハンカチが置かれていた。レースなどはなく、どうやら男物らしい。
ということは――今度は、ハンカチを届けてほしいと言われるのだろうか? そのことに心がもやっとして、思わずぐっと手に力を込める。爪が手のひらにくい込んだ。
「……分かった、ちゃんと殿下に渡すよ」
そう言ってハンカチを受け取ろうとすると、「ち、違います」とシェーラが鈴のような声で告げた。渡さまいとしてか、きゅ、とハンカチを握り、イアンから遠ざける。どういうことだと思いながらシェーラの顔を見れば、彼女の頬は真っ赤に染まっており、気恥ずかしそうな面持ちをしていた。そこに昨晩のような儚さはなくて、イアンはほっと息をつく。元気そうで良かった。
そう思って口元を緩ませると、シェーラは眉を寄せた。口を尖らせていて、今度は不機嫌そうな表情だ。「どうしたの?」と尋ねれば、その表情のまま頬を染める。その反応がたいそう可愛らしくて、イアンはクスクスと笑った。
「お義兄様!」
シェーラが咎めるように呼んだ。それもまた可愛らしく、思わず抱きついてしまいたくなるが、何とかこらえ、平静を装って尋ねる。
「それで、このハンカチは? 誰かから借りたから、返して欲しいの?」
すると、シェーラは顔をうつむけた。何かしてしまったかと一瞬慌てたが、さらりと黒髪が揺れて真っ赤になった耳があらわになると、そうではないと察する。だけど照れる理由は分からなくて、イアンは首を傾げた。
「シェーラ?」
名前を呼べば、シェーラはのろのろと顔を上げた。その頬は真っ赤で、瞳は僅かに潤んでおり、胸がどきりとする。大急ぎで表情を取り繕ってにこにこと作り笑いを浮かべていると、シェーラが「あの……」とか細い声で言う。けれどそれ以降は口をぱくぱくするばかりで、一向に言葉が出てこない。
……やがて覚悟を決めたのか、シェーラがゆっくりと声を発した。
「えっと……お義兄様に、と、思いまして……。――こ、婚約したのに、プレゼントできていませんでしたから……」
その言葉に、すっと気持ちが冷めた。思わず笑みが消えそうになるのを、意識して口角を上げることによって回避する。
その婚約がなくなると、伝えたら彼女はどう思うだろう? イアンとユリアナのも、王太子とシェーラのも。そのことにイアンは浮かれてばかりいたが、王太子のことが好きなシェーラからすれば、とても悪いことに違いない。そのことにようやっと思い至り、イアンの顔から血の気が下がった。自分がどう思われているのか、とか、考えている場合ではない。ただひたすら、王太子との婚約を喜んでいたシェーラに申し訳なかった。
「お義兄様?」
シェーラが、自然と下を向いていた顔を覗き込んでくる。その心配げな顔に胸が締めつけられる思いがして、だけどそれを顔に出すまいと無理に作り笑いを浮かべた。
「――ありがとう、シェーラ。大切にするよ」
「いえ……それなら良かったです」
そう言って、シェーラは微笑む。だけどその表情はひどく切なげで……。
重たい沈黙が辺りを満たす。どこからか調理のする音や、侍女たちの会話がぼんやりと聞こえてきて、イアンは慌てて壁にある大型の時計を見た。その針はちょうど朝の七時を示していて、大急ぎで入り口へ向かう。「ごめん、時間だから」という声はシェーラに届いたか否か。それすら確認できないほど、イアンは焦って屋敷の前に準備された馬車へ乗り込んだ。
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