292 / 321
連載
四話 普通科は平和
しおりを挟む
エトワール視点
試験の結果は、文句なしに合格したみたい。点数なんかが非公開なのは、王族や高位貴族よりも平民が上回るのを誰の目にも分かる形にしないため。特に、今年はバーキラ王国の第三王女が入学するので尚更だ。
バーキラ王国の国王陛下なら、その辺り気にしないでしょうけどね。
「お嬢様方。お時間ですよ」
「うん。マーベル、じゃあ行ってくるね!」
「行ってきます」
「行ってきまーす!」
マーベルに見送られ、王都の屋敷を出る私たち。フローラが元気よくマーベルに手を振り、私と春香も行ってきますの声を掛けて門を出る。
天真爛漫で明るいフローラだけど、貴族派や他国の人間からの蔑む視線や声を向けられた時が少しだけ心配ね。
色々な差別とは無縁の聖域で育った私たちは、悪意ある視線を向けられた事がない。勿論、魔物から向けられる殺気は何度も受けた事があるけど、相手が人間となるとそういう経験はないから。
でもフローラなら、絡んできた有象無象をボコボコにしそうね。あの子、誰に似たのか、姉妹の中で一番脳筋だもの。
それにマーニママも、私たちに暗器の扱いまで仕込んでいるから、あの子キレたら不味いかもしれないわね。
「ガタガタ振動の激しそうな馬車があるね」
「春香、あれは多分、トリアリア王国の貴族の馬車よ」
「フローラ知ってるよ! バーキラ王国と同盟国は、パパの造った馬車なんでしょ!」
「そうよ。私たちが生まれる前の話だって聞いてるわ」
馬車もそうだけど、バーキラ王国にはパパが発明したり、改良した物が沢山ある。それは魔導具だけじゃなく、技術さえあれば誰でも作れるものも含めてね。
特にパパが開発して大ヒットしたのは、浄化の魔導具が付いた便器。これ凄く大事。私たちは生まれた時には有った物だから、ママたちが話してくれるパパ製のトイレが無かった時代なんて耐えられないと思う。
バーキラ王国は魔導具が普及している方だけど、それでも私たちの屋敷と比べると……だからね。
「あっ、そう言えば、カエデちゃんが時々隠れて護衛してくれるみたいだよ」
「ウソ。カエデちゃんって、王都で姿を見せたらパニックになるんじゃないの?」
「大丈夫よ、春香、フローラ。カエデちゃんのハイドを見破れるのなんて、パパくらいのものだから」
カエデちゃんは、パパが初めて従魔にしたアラクネの特異種。アラクネってだけで、もう厄災種らしいのだけど、カエデちゃんはその更に特異個体らしく、とても強い。私たち姉妹が束になっても勝てないくらいに。
ただ、ボルトンならまだしも、王都の街をカエデちゃんが一人で出歩くのは流石に不味い。でも、カエデちゃんが気配を隠匿すれば、私たちでも見付けられない。主人であるパパ以外には無理ね。
王都に屋敷が在るのは、ある程度高位の貴族か、男爵辺りでも家業が順調で裕福な家くらい。そうでない貴族は、学園内に専用の寮がある。
ここは本来なら貴族や平民と分け隔てなくする為、同じ広さの部屋を用意するべきなんだろうけど、流石に貴族は従者も居るし、それは学園にも認められている。だから平民は2人部屋が基本なのに対して、貴族は従者部屋の付いた個室なのは仕方ないと思う。
まあ、内装や家具なんかも、貴族仕様とそれ以外とは全然違うらしいんだけどね。
特に、貴族派の人間は学園の規則で、校内では身分を振りかざさないという決まりも守る気もないだろうしね。平民と違い貴族は学園に寄付もしているから、扱いを変える事自体に文句はないのだけどね。
パパやママたちから、バーキラ王国の貴族でも国王派や中立派はまだしも、貴族派に属している家の人間には気を付けるよう言われている。
王都の学園は、貴族の屋敷のある貴族区と平民の住む居住区の中間くらいにある商業区にあるので、貴族街の端っこに家のある私たちは、徒歩でもそれ程時間も掛からず着いた。
「あっ、エトワールお姉ちゃん、あそこじゃない?」
「本当ね。見に行きましょう」
フローラがクラス分けが貼り出されているだろう場所を指差す。
貼り出された掲示板に集まるのは、ほとんど普通科の平民だ。教養科の貴族連中は、従者が代わりに確認している。まあ、貴族はほぼ100パーセント合格するから、それぞれ三つある教養科と騎士科のどのクラスになったかを確認しているだけなんだけどね。
その辺、普通科の掲示板の前は、合否に一喜一憂する子供や親たちの姿が見れる。
「あっ、あったよお姉ちゃん!」
「まあ、当たり前ね。三人ともAクラスだわ」
「みんな一緒でよかったね!」
姉妹で一番目の良いフローラがいち早く私たちの名前を見つける。
学力的にも実技でも私たち姉妹が落ちる訳がない。春香は素直に三人が一緒のクラスで喜んでいる。
そんな私達に近付く気配があった。
「ねえ、君達、イルマ様のお嬢さんだろ?」
「ええ、そうよ。そう言うあなたは?」
「やっぱり! 僕はユークス。僕のお祖父様が君達のお父さんに凄くお世話になっているって言ってたから、そうだと思ったよ。あ、ああ、僕のお祖父様はパペック商会の会頭のパペックだよ」
少しテンションが高くて私達は引き気味だけど、このユークスという少年は、パペックさんの孫らしい。そう言えば、何となく面影があるわね。
「パペックさんの孫なら、私達を知ってても不思議じゃないわね」
「パペックのおじさん? この前会ったよね」
「そうね。聖域に来てたよね」
「お祖父様は、今も聖域から王都を行き来しているからね。それより、さすがイルマ様の娘だね。上位を独占じゃないか」
「あら、これって成績順だったのね」
ハイテンションのユークス君が、張り出されたAクラスのボードを指差す。確かに、私、春香、フローラの順だけど、成績順とは思わなかったわね。
その後、クラス毎に分かれオリエンテーションがある。
私達は普通科だからあまり関係ないのよね。
普通科は基本の教科以外では、武術系の実技と魔法系の学科と実技の授業を選択できるのだけど、騎士科のように武術系は必須ではないし、貴族の子息子女や豪商の子供が入る教養科のようにマナーの授業もない。
正直な話、受けたい授業はあまりないの。
魔法理論の授業なんて、大精霊様達やエルフの国の王妃のルーミア様や王女のミーミル様、そしてソフィアママとパパから教わってるんだから、今さら受けるだけ無駄だしね。
そして試験で手を抜かないとダメな魔法実技なんて、もっと私達には必要ない。
そして武術実技は、教える側が私達よりも弱くて、何を教わるのかって話よね。
そして基本教科も試験を受けたら飛び級が可能。本当、私達、何しに来たんだろう。
そんな気分の滅入った私に、隣の席の女の子が話し掛けてきた。
席順は、私の左隣りがフローラ、その後ろが春香、私の後ろも大人しそうな女の子、そして右隣りが、声を掛けてきた活発そうな女の子だった。
「私の名前はサティ・ロットン。よろしくね」
「私はエトワール・イルマ。隣が妹のフローラ。その後ろがもう一人の妹の春香よ」
「えっと、三人姉妹なのかな」
「ああ、勿論、母親は別々よ」
「そ、そうよね。ごめんなさい」
「気にしないから大丈夫よ」
同じ歳で三姉妹、しかも全員種族が違うんだもの。知らないと困惑するわよね。
「あ、あの、私も自己紹介してもいいですか?」
「勿論、私はエトワールって聞いてたわよね」
「は、はい。私はシャルルです。みなさんと違い平民なので苗字はありません」
私の後ろの席で、春香の隣の大人しそうな女の子が自己紹介してきた。
「シャルルね。私はサティでいいわ。一応男爵家だけど、貧乏男爵家の四女は平民と変わらないから、呼び捨てで構わないわよ」
「私たちも一応イルマって姓はあるけど、貴族って訳じゃないから呼び捨てでいいわ」
「うん。私もフローラでいいよ」
「私は春香で」
「じゃあ、私たちの中ではお互い名前呼びでいいわね」
サティがそう言って私たち五人は、お互い名前を呼び捨てで呼び合う事になった。
あれ? もしかして、聖域以外で初の友達ゲット?
そこに男の子が二人近付いて来た。一人は、クラス分けのボード前で会ったパペックおじさんの孫、ユークス。
「やあ、エトワールさん達選択する授業決まった?」
「ちょっと待てよユークス。先に自己紹介させろ。俺はルディ。王都で商会を営む家の次男さ」
「私はエトワールよ」
「春香、よろしくね」
「フローラだよ」
「私はサティよ」
「シャルルです」
ユークスと一緒に来た男の子はルディ。ユークスとは商人繋がりかしら。
「王都で商会を営んでいるなら、ユークス君の家とは商売敵じゃないの?」
「パペック商会と一緒にしないでくれ。家はもっとこじんまりと営んでいる零細だよ」
「ルディ、王都に店があって零細はないよ」
「パペック商会みたいに、王国中に展開しているのとは違うだろう」
商売敵という訳じゃなさそうね。
そう言えば、パペックおじさんの商会って、バーキラ王国だけじゃなく、聖域やウェッジフォートにもお店がある大商会だったのね。
「お祖父様は運が良かっただけだって、何時も言ってるよ。全てはエトワールさん達のお父さんのお陰だってね」
「うん? エトワールさん達の父親が関係あるのか?」
「えっ!? ルディ、君、商人の息子なのに知らないのかい!」
「えっ、どういう事だよ」
ユークス君は、ルディがパパの事知らないと知って本気で驚いている。でも、仕方ないんじゃないかしら。パパって、物を造る事には夢中になるけど、あとはパペックおじさんに任せてお終いだもの。表に出てこないから、知る人ぞ知るって感じだもの。
「本当に知らないのかい。エトワールさん達のお父さんが発明した物の数々」
「「「えっ!?」」」
ほら、ルディ君だけじゃなくサティやシャルルまで驚いてる。
「代表的なところで言うと、浄化の魔導具付き便器、井戸のポンプ、乗り心地抜群の馬車もそうだね。ミシンやグライドバイク、騎士団が運用している陸戦艇サラマンダーもそうだね。他にも色々とあるよ」
「「「なっ!?」」」
ユークス君の説明にルディ君達は更に驚きの表情となる。
でも、これでもパペックおじさんに売ってるヤツだけなのよね。聖域には、表に出せないウラノスとかガルーダとか色々あるもの。
色々と驚かれたけど、この普通科のクラスは悪くなさそうね。学園自体は微妙だけど、友達を作ると考えれば、アリなのかな。
試験の結果は、文句なしに合格したみたい。点数なんかが非公開なのは、王族や高位貴族よりも平民が上回るのを誰の目にも分かる形にしないため。特に、今年はバーキラ王国の第三王女が入学するので尚更だ。
バーキラ王国の国王陛下なら、その辺り気にしないでしょうけどね。
「お嬢様方。お時間ですよ」
「うん。マーベル、じゃあ行ってくるね!」
「行ってきます」
「行ってきまーす!」
マーベルに見送られ、王都の屋敷を出る私たち。フローラが元気よくマーベルに手を振り、私と春香も行ってきますの声を掛けて門を出る。
天真爛漫で明るいフローラだけど、貴族派や他国の人間からの蔑む視線や声を向けられた時が少しだけ心配ね。
色々な差別とは無縁の聖域で育った私たちは、悪意ある視線を向けられた事がない。勿論、魔物から向けられる殺気は何度も受けた事があるけど、相手が人間となるとそういう経験はないから。
でもフローラなら、絡んできた有象無象をボコボコにしそうね。あの子、誰に似たのか、姉妹の中で一番脳筋だもの。
それにマーニママも、私たちに暗器の扱いまで仕込んでいるから、あの子キレたら不味いかもしれないわね。
「ガタガタ振動の激しそうな馬車があるね」
「春香、あれは多分、トリアリア王国の貴族の馬車よ」
「フローラ知ってるよ! バーキラ王国と同盟国は、パパの造った馬車なんでしょ!」
「そうよ。私たちが生まれる前の話だって聞いてるわ」
馬車もそうだけど、バーキラ王国にはパパが発明したり、改良した物が沢山ある。それは魔導具だけじゃなく、技術さえあれば誰でも作れるものも含めてね。
特にパパが開発して大ヒットしたのは、浄化の魔導具が付いた便器。これ凄く大事。私たちは生まれた時には有った物だから、ママたちが話してくれるパパ製のトイレが無かった時代なんて耐えられないと思う。
バーキラ王国は魔導具が普及している方だけど、それでも私たちの屋敷と比べると……だからね。
「あっ、そう言えば、カエデちゃんが時々隠れて護衛してくれるみたいだよ」
「ウソ。カエデちゃんって、王都で姿を見せたらパニックになるんじゃないの?」
「大丈夫よ、春香、フローラ。カエデちゃんのハイドを見破れるのなんて、パパくらいのものだから」
カエデちゃんは、パパが初めて従魔にしたアラクネの特異種。アラクネってだけで、もう厄災種らしいのだけど、カエデちゃんはその更に特異個体らしく、とても強い。私たち姉妹が束になっても勝てないくらいに。
ただ、ボルトンならまだしも、王都の街をカエデちゃんが一人で出歩くのは流石に不味い。でも、カエデちゃんが気配を隠匿すれば、私たちでも見付けられない。主人であるパパ以外には無理ね。
王都に屋敷が在るのは、ある程度高位の貴族か、男爵辺りでも家業が順調で裕福な家くらい。そうでない貴族は、学園内に専用の寮がある。
ここは本来なら貴族や平民と分け隔てなくする為、同じ広さの部屋を用意するべきなんだろうけど、流石に貴族は従者も居るし、それは学園にも認められている。だから平民は2人部屋が基本なのに対して、貴族は従者部屋の付いた個室なのは仕方ないと思う。
まあ、内装や家具なんかも、貴族仕様とそれ以外とは全然違うらしいんだけどね。
特に、貴族派の人間は学園の規則で、校内では身分を振りかざさないという決まりも守る気もないだろうしね。平民と違い貴族は学園に寄付もしているから、扱いを変える事自体に文句はないのだけどね。
パパやママたちから、バーキラ王国の貴族でも国王派や中立派はまだしも、貴族派に属している家の人間には気を付けるよう言われている。
王都の学園は、貴族の屋敷のある貴族区と平民の住む居住区の中間くらいにある商業区にあるので、貴族街の端っこに家のある私たちは、徒歩でもそれ程時間も掛からず着いた。
「あっ、エトワールお姉ちゃん、あそこじゃない?」
「本当ね。見に行きましょう」
フローラがクラス分けが貼り出されているだろう場所を指差す。
貼り出された掲示板に集まるのは、ほとんど普通科の平民だ。教養科の貴族連中は、従者が代わりに確認している。まあ、貴族はほぼ100パーセント合格するから、それぞれ三つある教養科と騎士科のどのクラスになったかを確認しているだけなんだけどね。
その辺、普通科の掲示板の前は、合否に一喜一憂する子供や親たちの姿が見れる。
「あっ、あったよお姉ちゃん!」
「まあ、当たり前ね。三人ともAクラスだわ」
「みんな一緒でよかったね!」
姉妹で一番目の良いフローラがいち早く私たちの名前を見つける。
学力的にも実技でも私たち姉妹が落ちる訳がない。春香は素直に三人が一緒のクラスで喜んでいる。
そんな私達に近付く気配があった。
「ねえ、君達、イルマ様のお嬢さんだろ?」
「ええ、そうよ。そう言うあなたは?」
「やっぱり! 僕はユークス。僕のお祖父様が君達のお父さんに凄くお世話になっているって言ってたから、そうだと思ったよ。あ、ああ、僕のお祖父様はパペック商会の会頭のパペックだよ」
少しテンションが高くて私達は引き気味だけど、このユークスという少年は、パペックさんの孫らしい。そう言えば、何となく面影があるわね。
「パペックさんの孫なら、私達を知ってても不思議じゃないわね」
「パペックのおじさん? この前会ったよね」
「そうね。聖域に来てたよね」
「お祖父様は、今も聖域から王都を行き来しているからね。それより、さすがイルマ様の娘だね。上位を独占じゃないか」
「あら、これって成績順だったのね」
ハイテンションのユークス君が、張り出されたAクラスのボードを指差す。確かに、私、春香、フローラの順だけど、成績順とは思わなかったわね。
その後、クラス毎に分かれオリエンテーションがある。
私達は普通科だからあまり関係ないのよね。
普通科は基本の教科以外では、武術系の実技と魔法系の学科と実技の授業を選択できるのだけど、騎士科のように武術系は必須ではないし、貴族の子息子女や豪商の子供が入る教養科のようにマナーの授業もない。
正直な話、受けたい授業はあまりないの。
魔法理論の授業なんて、大精霊様達やエルフの国の王妃のルーミア様や王女のミーミル様、そしてソフィアママとパパから教わってるんだから、今さら受けるだけ無駄だしね。
そして試験で手を抜かないとダメな魔法実技なんて、もっと私達には必要ない。
そして武術実技は、教える側が私達よりも弱くて、何を教わるのかって話よね。
そして基本教科も試験を受けたら飛び級が可能。本当、私達、何しに来たんだろう。
そんな気分の滅入った私に、隣の席の女の子が話し掛けてきた。
席順は、私の左隣りがフローラ、その後ろが春香、私の後ろも大人しそうな女の子、そして右隣りが、声を掛けてきた活発そうな女の子だった。
「私の名前はサティ・ロットン。よろしくね」
「私はエトワール・イルマ。隣が妹のフローラ。その後ろがもう一人の妹の春香よ」
「えっと、三人姉妹なのかな」
「ああ、勿論、母親は別々よ」
「そ、そうよね。ごめんなさい」
「気にしないから大丈夫よ」
同じ歳で三姉妹、しかも全員種族が違うんだもの。知らないと困惑するわよね。
「あ、あの、私も自己紹介してもいいですか?」
「勿論、私はエトワールって聞いてたわよね」
「は、はい。私はシャルルです。みなさんと違い平民なので苗字はありません」
私の後ろの席で、春香の隣の大人しそうな女の子が自己紹介してきた。
「シャルルね。私はサティでいいわ。一応男爵家だけど、貧乏男爵家の四女は平民と変わらないから、呼び捨てで構わないわよ」
「私たちも一応イルマって姓はあるけど、貴族って訳じゃないから呼び捨てでいいわ」
「うん。私もフローラでいいよ」
「私は春香で」
「じゃあ、私たちの中ではお互い名前呼びでいいわね」
サティがそう言って私たち五人は、お互い名前を呼び捨てで呼び合う事になった。
あれ? もしかして、聖域以外で初の友達ゲット?
そこに男の子が二人近付いて来た。一人は、クラス分けのボード前で会ったパペックおじさんの孫、ユークス。
「やあ、エトワールさん達選択する授業決まった?」
「ちょっと待てよユークス。先に自己紹介させろ。俺はルディ。王都で商会を営む家の次男さ」
「私はエトワールよ」
「春香、よろしくね」
「フローラだよ」
「私はサティよ」
「シャルルです」
ユークスと一緒に来た男の子はルディ。ユークスとは商人繋がりかしら。
「王都で商会を営んでいるなら、ユークス君の家とは商売敵じゃないの?」
「パペック商会と一緒にしないでくれ。家はもっとこじんまりと営んでいる零細だよ」
「ルディ、王都に店があって零細はないよ」
「パペック商会みたいに、王国中に展開しているのとは違うだろう」
商売敵という訳じゃなさそうね。
そう言えば、パペックおじさんの商会って、バーキラ王国だけじゃなく、聖域やウェッジフォートにもお店がある大商会だったのね。
「お祖父様は運が良かっただけだって、何時も言ってるよ。全てはエトワールさん達のお父さんのお陰だってね」
「うん? エトワールさん達の父親が関係あるのか?」
「えっ!? ルディ、君、商人の息子なのに知らないのかい!」
「えっ、どういう事だよ」
ユークス君は、ルディがパパの事知らないと知って本気で驚いている。でも、仕方ないんじゃないかしら。パパって、物を造る事には夢中になるけど、あとはパペックおじさんに任せてお終いだもの。表に出てこないから、知る人ぞ知るって感じだもの。
「本当に知らないのかい。エトワールさん達のお父さんが発明した物の数々」
「「「えっ!?」」」
ほら、ルディ君だけじゃなくサティやシャルルまで驚いてる。
「代表的なところで言うと、浄化の魔導具付き便器、井戸のポンプ、乗り心地抜群の馬車もそうだね。ミシンやグライドバイク、騎士団が運用している陸戦艇サラマンダーもそうだね。他にも色々とあるよ」
「「「なっ!?」」」
ユークス君の説明にルディ君達は更に驚きの表情となる。
でも、これでもパペックおじさんに売ってるヤツだけなのよね。聖域には、表に出せないウラノスとかガルーダとか色々あるもの。
色々と驚かれたけど、この普通科のクラスは悪くなさそうね。学園自体は微妙だけど、友達を作ると考えれば、アリなのかな。
1,089
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。