いずれ最強の錬金術師?

小狐丸

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二十五話 パパに相談

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 聖域に帰って来ると落ち着くわね。今日もパパに学園の事で色々と相談にのってもらっていた。

「普通科は、普通科で行動するのかい?」
「うん。それぞれ科ごとに分かれるって聞いてるよ」
「う~ん。騎士科と普通科じゃ差があり過ぎる気がしないでもないな。まあ、今年はエトワール達がいるから普通科が逆に一番実力が上だろうけど」
「まあ、レベルも装備も違うしね」

 因みに春香とフローラは、弟や妹達と遊びに行っている。春香は別にして、フローラは面倒な話は全部私にお任せだからね。

「うーん。僕やレーヴァが装備を提供するのは違うんだよね」
「うん。もう剣や杖はうちの商会で格安で買ってるから」
「そうだったね。あまりやり過ぎるとパパもソフィア達に叱られそうだしね」

 この間、うちの商会で売った装備だって、ユークス君に言わせれば、王都でも簡単に手に入れられないレベルだって話だもんね。パパやレーヴァさんの本気装備なんて、多分国宝レベルなんじゃないのかな。

「……エトワールは、何か嫌な予感がするんだね?」
「そうなんだ。気の所為ならいいんだけど……」

 そう。私が学園の郊外演習を気にしているのは、はっきりとしないけど嫌な予感がするからなの。何がと言われると困るけど、それでもパパはその感覚を無視するべきじゃないって言ってくれる。

「嫌な予感っていうのは、軽視しない方がいい。パパも直感スキルが高いから、その手の感覚には覚えがある。残念ながら郊外演習に関しては、僕に直接関係がないからスキルは働かないけどね」
「……何かあると思う?」
「う~ん。あると想定して準備は必要だと思うよ。僕も未開地の巡回をガラハットさんに増やすよう言っておくし、ウエッジフォートとバロルに駐留するバーキラ王国、ユグル王国、ロマリア王国の騎士団にも働きかけておくよ」

 パパは、私の感覚を信じたほうがいいって言ってくれた。何もなければそれでいいし、何かトラブルがあれば、危機に対処できる可能性が上がるって。

「エトワール達は、フル装備で参加するんだろ?」
「うん。パパが造ってくれた装備だよ」
「なら、他の学園の生徒や教師だけど、教師は自分達で対処してもらうとして、問題は生徒か」

 フローラと春香の武術研究部のメンバーは、加入したばかりのバスク君は兎も角、ユークス君やルディ君やサティは随分と腕が上がっている。まあ、バスク君はもともと伯爵家の嫡男で、幼い頃から剣の訓練はしてきたから、ユークス君達とはスタートが違うからあまり心配はしていないけどね。

「結界の魔導具なんかどうだい?」
「結界の魔導具が幾らすると思ってるのよ。エトワール達以外になんて、ダメに決まってるじゃない」
「あっ、アカネさん」

 パパから結界の魔導具を勧められたけど、それを制止したのはアカネさんだった。確かに緊急時に結界を張って身を守る魔導具は、パパやレーヴァさんが少数造ってたと思うけど、買っているのはルーミア様やミーミル様のような王族や高位貴族の関係者だったはず。

「貸すのもダメかな?」
「学園の生徒全員になんて貸すだけでも大金が動く案件よ。学園側が頷かないわよ」
「そうか。そうだよね」

 結界の魔導具は、古くから有るって教わった。でもパパの造る結界の魔導具は、古くから有る結界の魔導具とは比べ物にならないくらい優れた物だ。結界の強度、魔導具の大きさや頑丈さ、メンテナンスのしやすさ。全てにおいて上をいく。

 そんな魔導具が安く流通するわけがなく、その中でもパパやレーヴァさんが造った魔導具は、値段の桁が違うの。確かに、そんなの貸せないか。

「とはいえ、結界の魔導具は必要ね」
「もう! どっちなんですか!」

 パパやレーヴァさんの造った結界の魔導具を提供するのがダメって言っておきながら、結界の魔導具は必要だって言いだしたアカネさん。

「ねえタクミ。私の使ってた浮くヤツ。アレをエトワール用に作り直せない?」
「ああ、アレか。いい案だね」
「もう。パパもアカネさんも、浮くアレじゃ分からないよ!」
「まあまあ。説明するから」

 アカネさんが、浮くアレとか言うけど、それで通用するのは、その物を造ったパパだけだと思う。

「昔、アカネとレーヴァ用に結界と法撃を兼ねた魔導具というか、武器を造ったんだよ」
「自分の周囲に浮かせて結界を張ったり、魔法を放ったりするのよ。浮かせたり自在に動かすのに、自前の無属性魔法でする必要があるけど、魔力量が豊富で魔力操作の上手いエトワールなら練習次第で攻防兼ねた武器になると思うわ」
「パパ!」

 パパとアカネさんの説明で、それは後衛の私にピッタリだと理解できた。思わずパパの名を期待を込めて呼ぶと、パパはニコニコして頷く。

「エトワールは、近接では杖術も使えるけど、基本は後衛で指揮官タイプだからね。だからパパに任せておいて」
「そうね。今ならオリハルコンも潤沢に使えるから、小型で高性能なのが作れるんじゃないの?」
「ああ。エトワール達が王都に戻る前に用意するよ」
「ありがとう。パパ!」

 それは、今では黒の叛乱や黒の厄災と呼ばれ、学園の入試にも出るくらい有名な出来事。その時に、アカネさんとレーヴァさんが使った魔導具のような武具らしい。

「でもタクミ。形や大きさは変更した方がいいわよ」
「分かってる。エトワールなら、ショルダーアーマーとしても使える形がいいかもね」
「防具としても十分な能力だものね」
「パパ、かっこいいのにしてね」
「分かってるよ。レーヴァとも相談しながらデザインするからね」

 アカネさんとレーヴァさんは、黒の叛乱の時アイテムボックスに収納していたらしい。だけど、咄嗟に結界を張れるよう身に付けた方がいいとパパとアカネさんがアイデアを出し合う。

 基本的に、パパやレーヴァさんが造る装備はかっこいいから、デザインは心配していない。アカネさんとレーヴァさんが使った時は、時間がなかった所為で、シンプルな棒みたいだったらしい。

「ねえねえ。なんていう名前の装備なの?」
「……そう言えば名前は付けてなかったな」
「そうね。急拵えだったものね」
「じゃあ、名前を付けてよ。パパやママ達の剣や槍は名前が有るでしょう」
「う~ん。名付けてないのもあるけど、エトワールがそう言うなら考えてみるよ」
「やった! お願い!」

 パパ達のメイン武器は、名前が付いたものがある。聖剣ヴァジュラやフドウ。焔槍エクスプロードや風槍テンペストとかとか。聞くだけでかっこいいもの。

「じゃあ、エトワールは念動で自在に操る練習をしておきましょうか」
「うん!」
「アカネ、お願いできるかい?」
「任せて。一応、六本まで操作出来るようにするわね」
「うん。前の四本よりも六本の方が結界が安定するからね」
「エトワール、行くわよ」
「はい!」

 パパは、立ち上がり工房へ向かい。私はアカネさんと新装備を自在に操れるように訓練だ。

 どんなのになるか楽しみだな。ただ、春香やフローラが羨ましがるかもしれないわね。パパに、二人にも何か頼んでみようかな。




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