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1巻
1-3
ベッドが出来上がった時点で、いくつかのスキルと職種のレベルが上がった。生産職は戦闘以外でもレベルアップするらしい。
ベッドのマットレスには、この村唯一の家畜「ヤーク」という長毛種の山羊みたいな動物の毛を銀貨10枚で譲ってもらったので、それを使った。その上に、マーサさんからもらった布地をシーツ代わりに敷く。続けて作業台、ダイニングテーブルと椅子を作ったところで、日が暮れてきた。
夕食はバンガさんの家でご馳走になった。お礼に、アイテムボックスの中に入れたまま忘れていた角ウサギを二匹、マーサさんに進呈した。
バンガさんが解体の仕方を教えてくれるというので、一匹解体にチャレンジしてみた。日本にいた頃なら気持ち悪いとか思いそうだけど、不思議と全然平気だった。これも異世界で得た能力のせいなのかもしれない。
〈スキル「解体」を取得しました〉
順調に生産職系のスキルが充実してきている。
6 道具を作ろう その1
僕がボード村で生活するようになって三日目。外側だけとはいえ、一日で小屋が建つっていうのもすごいよな。
太陽が昇ったばかりの早い時間に目が覚めたけど、村の人達はもうみんな起きだしている。この世界の人は日が昇ると同時に起きて、日が沈むのに合わせて寝る生活がデフォルトなんだろう。
「さて、今日はいよいよバンガさんから聞いた鉱脈に行って、レッツ採掘かな」
この村には農機具や生活雑貨を作る鍛治師がいて、名前はボボンさんという。今日は、そのボボンさんと鉄鉱石を掘りに行く約束をしているのだ。今日行く場所では魔鉄鉱石という珍しい鉱石も少し採れるらしい。
魔鉄鉱石というのは、永い時間をかけて魔力が浸透してできる鉱石で、精製すると魔鉄となる。ちなみに魔鉄を焼き鍛え強くしたのが魔鋼で、魔鋼で作られた武器は魔力を纏わせることができる。
「おう、タクミ。さっそく行くぞ」
「はい、今日はよろしくお願いします」
ボボンさんは人族であるんだけど、丸太みたいに太い手足をしていて黒々とした髭をたくわえていた。
村の門でボボンさんと合流して鉱脈へ向かう。
鉱脈までは歩いて二時間ほど。僕はボボンさんから借りた鶴嘴をアイテムボックスへ収納。自作の槍を手に持ち、ボボンさんのあとを付いていく。鉱脈らしき場所までやってきたところで、ボボンさんが声をかけてきた。
「タクミ、ここだ! 適当なところをとりあえず掘ってみろ」
ボボンさんが指し示したのは、露天掘りで鉱石が掘れる場所だった。地面の色は赤茶の錆色をしている。
「じゃあさっそく掘っていくぞ」
ボボンさんが鶴嘴を振るって鉱石を採掘し始める。僕もそれにならい、アイテムボックスから鶴嘴を取り出して、鉱石がありそうな場所を直感で掘っていく。
ここでも鑑定スキルは良い仕事をする。
[鉄鉱石]
鉄を多く含む上質の鉱石。
鉱石の知識がなくてもすぐに鉄鉱石だとわかった。さらに――
〈スキル「採掘」を取得しました〉
採掘スキルを取得した途端、何となく鉱石の場所がわかる感じがする。僕は楽しくなって、黙々と採掘してはアイテムボックスへ片っ端から収納していった。そんな僕を見て、ボボンさんが驚いていた。
アイテムボックス系のスキルを持つ人はそれなりにいるらしいけど、僕のように安易に使いまくれるのは珍しいらしい。
普通、アイテムボックスは時空間属性魔法の収納魔法で、収納するものの大きさや重さに制限があり、消費する魔力は膨大。僕のように魔力の消費なしで大量に収納することはできないようだ。だけど、今更隠すのも手遅れなので、アイテムボックスに関しては自重しないことにする。だってアイテムボックス便利なんだもん。
僕とボボンさんが掘った穴がいくつかできた頃、ボボンさんが採掘の終了を告げてきた。
「タクミ! 今日はこの辺にするぞ!」
僕もボボンさんも十分鉱石を採掘できたので、日が暮れる前に村へと帰ることにした。
鉄鉱石・銀鉱石・銅鉱石に加え、なんと魔鉄鉱石まで結構な量を見つけることができた。ここではミスリルやアダマンタイトは採れない、ってボボンさんが言っていたけど見てみたいな。ファンタジー世界の不思議金属だもん。
ボボンさんの採掘した鉱石も、僕がアイテムボックスに入れてあげて帰った。行きと帰りの道すがら角ウサギを四匹狩ることができたので、ボボンさんと二匹ずつ分けた。
村まで戻り、ボボンさんの分の鉱石を彼の工房に積み上げて別れる。
別れ際に、鉱石の扱い方について尋ねてみた。
「俺は鍛治師といっても野鍛治だから、タクミに教えられるほどの技術は持ち合わせていねえ。タクミは土属性魔法と鍛治魔法を使えるんだろう? 俺は魔法は苦手だからな。じゃあなタクミ、また採掘行こうぜ」
「ありがとうございます。また一緒に行きましょう」
僕は小屋に帰ってくると、採掘してきた鉱石を種類ごとに分けていく。
さっそく鉱石を精錬して、鉄・銅・銀・魔鉄それぞれのインゴットにしていくのだ。本来なら炉を使用するのだけど、ここはファンタジーの世界。
「さて、ついに錬金術にチャレンジだな」
錬金術と一言で言ってもできることの幅は大きい。それこそ今からやろうとしているように、鉱石から特定の金属を抽出したりすることもできる。さらには、紙や食器などの日用品からパンなどの食品、果ては、巨大な帆船、空飛ぶ船まで生成できてしまう。
ただし、何でも簡単に作れるわけではない。
錬金術では、ものを構成する材料がそろっていないと錬成することはできない。また、術者が生成するものの仕組みや構造を熟知しておく必要がある。
錬金術の基礎的な術を簡単に解説しておくと、「分解」は、知識次第で物質を分子レベルにまでできる術。「抽出」は、望む物質のみを取り出す。「粉砕」は、形状のみを壊す。「合成」は、物質と物質を混ぜ合わせる。「再構成」はある物質からまったく別の物質を作り出す、という技術である。
僕は鉄鉱石を作業台に置き、錬金術の「分解」と「抽出」を発動する。
僕が手をかざすと、作業台に魔力の光で錬金術特有の魔法陣――錬成魔法陣が浮かび上がった。
錬成魔法陣の上の鉄鉱石を眩い光が包み込む。鉄鉱石の主成分である酸化鉄から鉄だけを取り出す。
しばらくして光が収まった作業台の上には、銀色に輝く限りなく純鉄に近い鉄ができており、その横には不純物の塊であるスラグが転がっていた。
さらに僕は、その出来上がった鉄を土属性魔法でひとまとめにしてインゴットにした。
〈スキル「錬金術」のレベルが上がりました〉
〈スキル「錬金術」のレベルが上がりました〉
〈スキル「土属性魔法」のレベルが上がりました〉
〈スキル「魔力操作」のレベルが上がりました〉
僕はどんどん精錬作業を進めていく。
魔力が枯渇しては休憩し、を繰り返していたけれど最後は意識を失ってしまい、気が付いたときは次の日の朝だった。
マーサさんが持ってきてくれた朝ご飯を食べて、また精錬作業を続ける。
そんなふうにして三日かけてすべての鉱石を精錬し終わったときには、職業レベルがかなり上昇していた。
鉄、銀、銅、魔鉄、そして少量の金や鉛、タングステン、チタン、錫などが抽出できた。
レベルが一つ上がり、職業レベルやスキルレベルも上がったので、ステータス値を見てみる。
【名 前】 タクミ・イルマ
【種 族】 人族
【年 齢】 15歳
【職 種】 錬金術師32Lv、鍛治師36Lv
【レベル】 3
【状 態】 健康
【生命力】 150 【魔 力】 160 【 力 】 60 【俊 敏】 40
【体 力】 70 【器 用】 70 【知 力】 80
【ユニーク スキル】 [鑑定EX][アイテムボックスEX(隠匿)]
【パッシブ スキル】 [怪力1Lv]
【アクティブスキル】 [槍術3Lv][斧術2Lv][索敵1Lv][気配察知1Lv]
[魔力感知1Lv]「魔力操作4Lv][光属性魔法1Lv]
[火属性魔法1Lv][水属性魔法1Lv][風属性魔法1Lv]
[土属性魔法4Lv][時空間属性魔法1Lv]
[錬金術4Lv][鍛治4Lv][木工細工3Lv][大工3Lv]
[採取2Lv][伐採2Lv][解体1Lv][採掘3Lv]
【 加 護 】 [女神ノルンの加護(隠匿)]
金属をインゴットにまとめる作業をするときに、こまめに職業を魔法使いに変えながら土属性魔法を使っていたおかげで、土属性魔法のスキルレベルもだいぶ上がり、魔法使いのレベルも10になった。
他の村人達の職種レベルやスキルレベルをこっそり鑑定してみたけど、僕くらいのステータスの人はいなかった。やっぱり僕のレベルやスキルの上がり方はとても早いみたいだ。
これで採掘した鉱石の精錬が済んだので、明日からは自分用の道具類を作っていこう。
7 道具を作ろう その2
今日は精錬したインゴットを使って、採掘に使う鶴嘴やシャベル、伐採に使う斧、あとは鍋や包丁、ナイフなどの日常的に使用する道具を作っていこうと思う。
「さて、まずは鋼かな」
鋼を作るためには鉄に炭を含ませる必要がある。作業台に鉄のインゴットと炭を載せ、しっかりとイメージを固めてから錬金術を発動させる。
魔力の光で描かれた錬成魔法陣が浮かび上がり、素材の鉄のインゴットと炭を包み込む。
こうして僕は鉄のインゴットに炭素をごく少量ずつ混ぜて、数種類の鋼の合金を作り出した。魔鉄から魔鋼を作り出すこともできた。
これだけで魔力が枯渇してしまい二時間ほど休むことになったけれど、魔力枯渇も何度も経験するとだいぶ慣れてきたのか、この前みたいに気を失うことはなくなった。
魔力が回復すると、次は鍛治魔法のクラフトで魔鋼以外の合金を変形させていく。金属の変形は土属性魔法でもできるみたいだけど、使う魔力量が鍛治魔法は断然少なくて済む。
最初に鶴嘴、次にシャベル、最後に斧を作っていく。
この順序にしたのは、作っていくうちに鍛治師レベルと鍛治スキルレベルが上がるのを期待してのこと。最後の斧には、芯に粘りのある鋼、外側に硬度の高い鋼を使って作るという技術を要するため、できるだけ職種レベルとスキルレベルを上げておきたかったのだ。
ただ職種レベルも30を超えたあたりから、同じことをしていても上がりづらくなってきた。それでも僕が斧を完成させた頃には40を超えたんだから、僕はやっぱり優遇されてると思う。
それから金槌や釘、バール、鑿、包丁などの細々としたものを作った。
「魔法がなきゃこんなに早く作れないよな」
スキルレベルが上がるたびに製作スピードが上がっていく。さらには形や成分の微調整も楽にできるようになってきた。
僕の作業速度はこの世界の鍛治師では無理なスピードだ。僕がこんなに早くできるのは、鍛治スキルと錬金術スキルに加え、土属性魔法も所持しているためだと思う。鋼の焼き入れ過程をすべて魔法で代用しているのだ。
その後、鍋やオタマ、銀で食器を作り終えた頃には、小屋の外は薄暗くなっていた。
◇
金属を打ち付ける音が、一定のリズムを刻んで聞こえている。
「タクミ、魔鋼を鍛えるときは、魔力を込め続けながら打つことが大事なんだ」
身の回りの道具類を作った次の日、僕はボボンさんの工房に来ていた。
その理由は、地球にはなかった、魔力を含む魔鋼の扱いを教えてもらうため。
これはボボンさんにも歓迎された。
人族のボボンさんは魔力量が少なく、魔鋼を鍛えるために何日もかけていたそうだ。魔法金属全般に共通する特徴として、魔力を馴染ませながらじゃないと加工できないというのがある。魔法職でもない普通の人族は、戦闘することも少なくレベルを上げる機会も少ないので、魔力量が100もない。ボボンさんも50くらいだ。だから魔力がそこそこある僕が魔鋼での鍛治を教えてほしいと申し出たのは、魔力の少ないボボンさんにとって願ってもないことだったらしい。
さっきボボンさんが言ったように魔法金属を鍛えるときに注意しないといけないのは、鍛えるときに魔力を込めながら打つこと。そうすることで成形するときに非常に素直な金属になるのだ。鍛治魔法のクラフトやシャープ、錬金術での合金化もしやすくなるそうだ。
カン! カン! カン!
ボボンさんが小槌で指定した場所に、僕が魔力を込めたハンマーを振り下ろす。
僕には鍛冶魔法があるので炉や金床やハンマーは必要ないんだけど、今回は鍛治スキルと鍛治師のレベル上げも兼ねているので、魔法は使用せずに手作業で鍛治仕事をしている。
ちなみに一般の鍛冶師は鍛冶魔法の燃費が悪いというのもあって、こうした手作業を部分的に使うらしい。重たいハンマーも、いつの間にかパッシブスキルの怪力を身につけていたせいか、問題なく振るうことができた。
仕上げにボボンさんが小槌で整え、これでひとまず大まかな形はできたようだ。
続いてそれを炉に入れる。
「よし、タクミ! 加熱と火魔法で温度を上げてくれ! 見極めは俺がする! 色をよく見とけ!」
僕は鑑定を使って詳細な状態をチェックしながら、炉の中の魔鋼を見つめる。
「よし! 今だ!」
ジュゥゥゥーーーー!!
ボボンさんが魔鋼を取り出す。それは黒味を帯びた魔鋼製のショートソードだった。
「すごく綺麗ですね。でも本当に良いんですか、僕がもらっても?」
「あぁ、俺だけじゃ魔鋼は扱えなかったからな。それに、タクミと一緒に行った採掘で鉱石がいっぱい手に入ったから俺は満足だ」
「ありがとうございます」
「そのショートソードは俺が打った中じゃ一番の出来だ。一流の鍛治師なら、そのクラスの剣なら二つか三つ能力を付与できるんだが、タクミも知っての通り俺は魔法が苦手で、エンチャントなんて無理なんだ」
「エンチャントですか?」
「あぁ、魔石や魔晶石を触媒にして武具に属性付与をしたり、強度を上げたりするんだよ」
エンチャントを扱える職業は付与魔法師だそうだ。魔法使いの職業を一定のレベルまで上げた者がなれると、ボボンさんが教えてくれた。
「詳しいことは街の魔術師ギルドあたりで聞いてくれ。付与魔法の魔法書も売ってるはずだ。たぶん馬鹿高ぇけど」
魔法書は僕も一度見てみたいと思っていた。
というのも、錬成魔法陣が載っている魔法書があるらしいのだ。あらかじめ錬成魔法陣を描いておけば、それに魔力を流し込むだけで何度も同じ錬成を行えるらしい。大量に作業するときには便利そうだ。
「さて、今回は研ぎも俺が手作業でするからよく見とけよ。お前が鍛治魔法のシャープを使うときにはイメージが大事だからな。俺の研ぐ様子を見て、しっかり覚えておくんだ」
そう言うとボボンさんは、数種類の砥石を使って魔鋼のショートソードを粗砥ぎ、中研ぎ、仕上げ研ぎと、研ぎ上げていった。
次いで柄と鍔を作ると、ボボンさんは僕にショートソードを手渡し、振るように言う。
「バランスを見るから振ってみろ」
「僕は剣術スキル持ってないですよ」
「構わねえから早く振れ」
僕は言われた通り、しぶしぶ剣の素振りをしてみる。
「うん、悪くないな。よし、あとは鞘を作れば完成だ。タクミも手伝え」
せっかくだから、鞘の先端である鐺の補強を兼ねて銀で装飾してみた。
〈スキル「金属細工」を取得しました〉
〈スキル「土属性魔法」のレベルが上がりました〉
〈スキル「魔力操作」のレベルが上がりました〉
そのおかげで新しいスキルを獲得した。またこれまでの作業の影響で、いくつかのスキルのレベルが上がった。
さっそくステータスを確認してみる。
【名 前】 タクミ・イルマ
【種 族】 人族
【年 齢】 15歳
【職 種】 錬金術師33Lv、鍛治師40Lv
【レベル】 3
【状 態】 健康
【生命力】 150 【魔 力】 180 【 力 】 64 【俊 敏】 40
【体 力】 75 【器 用】 72 【知 力】 80
【ユニーク スキル】 [鑑定EX][アイテムボックスEX(隠匿)]
【パッシブ スキル】 [怪力1Lv]
【アクティブスキル】 [槍術3Lv][斧術2Lv][索敵1Lv][気配察知1Lv]
[魔力感知2Lv][魔力操作5Lv][光属性魔法1Lv]
[火属性魔法2Lv][水属性魔法1Lv][風属性魔法1Lv]
[土属性魔法5Lv][時空間属性魔法1Lv][錬金術4Lv]
[鍛治5Lv][木工細工3Lv][大工3Lv][採取2Lv][伐採2Lv]
[解体1Lv][採掘3Lv][金属細工2Lv]
【 加 護 】 [女神ノルンの加護(隠匿)]
すでに鍛治師レベルが40、鍛冶スキルは5と、職業・スキルともに中堅並みになっている。錬金術師を目指していたはずなのに……げせぬ。
魔物を狩っていないので、レベルは上がっていないけど、ここのところの肉体労働と魔力を酷使したおかげなのか、ステータスが少し上がっていた。魔物と戦わなくても筋トレで少しはステータスが上がるのかな。
8 ポーション作りも錬金術師の仕事? その1
ボボンさんのところで鍛治のレベルアップを兼ねたショートソードを打ったあと、僕はいつも使っている槍の穂先も魔鋼で作り直した。
これでひとまず鍛冶仕事はお終いだ。
さて次にやることは――
「バンガさん、バンガさんって狩人だから、万が一の場合に備えてポーション類持ってますよね。すみませんが見せてもらっても良いですか?」
「何だ、俺ん家には初級ポーションくらいしかないぞ」
「それで十分です」
アイテムボックスの中に大量にある薬草類を何とかしようと、ポーション製作に手をつけることにした僕。
そこで思いついたのは、現物を鑑定したら作り方のレシピがわかるんじゃねぇ、ってことで、バンガさんなら持ってるかもとバンガさん家にお邪魔したのだ。
さっそく見せてもらった初級ポーションを鑑定してみる。
[初級ヒールポーション]
品質:普通。
ヒルクク草+水(2:8)。
薬師が製作したヒールポーション。
ヒルクク草と水か。うん、何とかなりそうだ。
「ありがとうございました」
「おう、タクミがポーション作ったら俺にも売ってくれ」
「はい、期待しないで待っててください」
ポーション作りをしようとしていることがバンガさんにバレてしまったが、ともかく小屋に帰る。作業台の前に座り、ポーション製作に挑戦しようとして、大事なことを忘れているのに気が付いた。
「…………ポーションを入れるビンがない」
それから僕は、村の近くの川へ砂を集めに行く羽目になった。
川は村から徒歩で30分くらいの距離にあった。
今後のことを考えて、多めにガラス瓶を確保しておこうと考えた僕は、作ったシャベルで砂を集めてアイテムボックスへどんどん入れていく。
「これだけの量の砂からビンを作っていくとなると、錬金術じゃなくて炉を使った方が良いかな」
試しに、錬金術でケイ砂を抽出して加熱し、成形してみる。
思っていたようにゴリゴリと魔力が削られるけど、不可能ではなさそうだ。
小屋に戻ってから、結局僕はすべて魔法頼みでガラス瓶を作ることにした。そうすることで、魔力も増えることがわかっているので、鍛錬のつもりで魔法で作ろうと決めたのだ。
作業の途中でマーサさんのお弁当を食べたりしながらひたすら作り続けたところ、ポーション瓶を五百本製作できた。
次の日。
瓶の蓋になるコルクのような木材があるとバンガさんから聞いたので、バンガさんの狩りのついでに採取しようと思い、彼に同行することにした。
森の中を、気配を消して歩くバンガさんの後ろから付いていく。僕も気配を消す努力をしながら同時に索敵をする。
〈スキル「隠密」を取得しました〉
〈スキル「気配察知」のレベルが上がりました〉
〈スキル「索敵」のレベルが上がりました〉
ベッドのマットレスには、この村唯一の家畜「ヤーク」という長毛種の山羊みたいな動物の毛を銀貨10枚で譲ってもらったので、それを使った。その上に、マーサさんからもらった布地をシーツ代わりに敷く。続けて作業台、ダイニングテーブルと椅子を作ったところで、日が暮れてきた。
夕食はバンガさんの家でご馳走になった。お礼に、アイテムボックスの中に入れたまま忘れていた角ウサギを二匹、マーサさんに進呈した。
バンガさんが解体の仕方を教えてくれるというので、一匹解体にチャレンジしてみた。日本にいた頃なら気持ち悪いとか思いそうだけど、不思議と全然平気だった。これも異世界で得た能力のせいなのかもしれない。
〈スキル「解体」を取得しました〉
順調に生産職系のスキルが充実してきている。
6 道具を作ろう その1
僕がボード村で生活するようになって三日目。外側だけとはいえ、一日で小屋が建つっていうのもすごいよな。
太陽が昇ったばかりの早い時間に目が覚めたけど、村の人達はもうみんな起きだしている。この世界の人は日が昇ると同時に起きて、日が沈むのに合わせて寝る生活がデフォルトなんだろう。
「さて、今日はいよいよバンガさんから聞いた鉱脈に行って、レッツ採掘かな」
この村には農機具や生活雑貨を作る鍛治師がいて、名前はボボンさんという。今日は、そのボボンさんと鉄鉱石を掘りに行く約束をしているのだ。今日行く場所では魔鉄鉱石という珍しい鉱石も少し採れるらしい。
魔鉄鉱石というのは、永い時間をかけて魔力が浸透してできる鉱石で、精製すると魔鉄となる。ちなみに魔鉄を焼き鍛え強くしたのが魔鋼で、魔鋼で作られた武器は魔力を纏わせることができる。
「おう、タクミ。さっそく行くぞ」
「はい、今日はよろしくお願いします」
ボボンさんは人族であるんだけど、丸太みたいに太い手足をしていて黒々とした髭をたくわえていた。
村の門でボボンさんと合流して鉱脈へ向かう。
鉱脈までは歩いて二時間ほど。僕はボボンさんから借りた鶴嘴をアイテムボックスへ収納。自作の槍を手に持ち、ボボンさんのあとを付いていく。鉱脈らしき場所までやってきたところで、ボボンさんが声をかけてきた。
「タクミ、ここだ! 適当なところをとりあえず掘ってみろ」
ボボンさんが指し示したのは、露天掘りで鉱石が掘れる場所だった。地面の色は赤茶の錆色をしている。
「じゃあさっそく掘っていくぞ」
ボボンさんが鶴嘴を振るって鉱石を採掘し始める。僕もそれにならい、アイテムボックスから鶴嘴を取り出して、鉱石がありそうな場所を直感で掘っていく。
ここでも鑑定スキルは良い仕事をする。
[鉄鉱石]
鉄を多く含む上質の鉱石。
鉱石の知識がなくてもすぐに鉄鉱石だとわかった。さらに――
〈スキル「採掘」を取得しました〉
採掘スキルを取得した途端、何となく鉱石の場所がわかる感じがする。僕は楽しくなって、黙々と採掘してはアイテムボックスへ片っ端から収納していった。そんな僕を見て、ボボンさんが驚いていた。
アイテムボックス系のスキルを持つ人はそれなりにいるらしいけど、僕のように安易に使いまくれるのは珍しいらしい。
普通、アイテムボックスは時空間属性魔法の収納魔法で、収納するものの大きさや重さに制限があり、消費する魔力は膨大。僕のように魔力の消費なしで大量に収納することはできないようだ。だけど、今更隠すのも手遅れなので、アイテムボックスに関しては自重しないことにする。だってアイテムボックス便利なんだもん。
僕とボボンさんが掘った穴がいくつかできた頃、ボボンさんが採掘の終了を告げてきた。
「タクミ! 今日はこの辺にするぞ!」
僕もボボンさんも十分鉱石を採掘できたので、日が暮れる前に村へと帰ることにした。
鉄鉱石・銀鉱石・銅鉱石に加え、なんと魔鉄鉱石まで結構な量を見つけることができた。ここではミスリルやアダマンタイトは採れない、ってボボンさんが言っていたけど見てみたいな。ファンタジー世界の不思議金属だもん。
ボボンさんの採掘した鉱石も、僕がアイテムボックスに入れてあげて帰った。行きと帰りの道すがら角ウサギを四匹狩ることができたので、ボボンさんと二匹ずつ分けた。
村まで戻り、ボボンさんの分の鉱石を彼の工房に積み上げて別れる。
別れ際に、鉱石の扱い方について尋ねてみた。
「俺は鍛治師といっても野鍛治だから、タクミに教えられるほどの技術は持ち合わせていねえ。タクミは土属性魔法と鍛治魔法を使えるんだろう? 俺は魔法は苦手だからな。じゃあなタクミ、また採掘行こうぜ」
「ありがとうございます。また一緒に行きましょう」
僕は小屋に帰ってくると、採掘してきた鉱石を種類ごとに分けていく。
さっそく鉱石を精錬して、鉄・銅・銀・魔鉄それぞれのインゴットにしていくのだ。本来なら炉を使用するのだけど、ここはファンタジーの世界。
「さて、ついに錬金術にチャレンジだな」
錬金術と一言で言ってもできることの幅は大きい。それこそ今からやろうとしているように、鉱石から特定の金属を抽出したりすることもできる。さらには、紙や食器などの日用品からパンなどの食品、果ては、巨大な帆船、空飛ぶ船まで生成できてしまう。
ただし、何でも簡単に作れるわけではない。
錬金術では、ものを構成する材料がそろっていないと錬成することはできない。また、術者が生成するものの仕組みや構造を熟知しておく必要がある。
錬金術の基礎的な術を簡単に解説しておくと、「分解」は、知識次第で物質を分子レベルにまでできる術。「抽出」は、望む物質のみを取り出す。「粉砕」は、形状のみを壊す。「合成」は、物質と物質を混ぜ合わせる。「再構成」はある物質からまったく別の物質を作り出す、という技術である。
僕は鉄鉱石を作業台に置き、錬金術の「分解」と「抽出」を発動する。
僕が手をかざすと、作業台に魔力の光で錬金術特有の魔法陣――錬成魔法陣が浮かび上がった。
錬成魔法陣の上の鉄鉱石を眩い光が包み込む。鉄鉱石の主成分である酸化鉄から鉄だけを取り出す。
しばらくして光が収まった作業台の上には、銀色に輝く限りなく純鉄に近い鉄ができており、その横には不純物の塊であるスラグが転がっていた。
さらに僕は、その出来上がった鉄を土属性魔法でひとまとめにしてインゴットにした。
〈スキル「錬金術」のレベルが上がりました〉
〈スキル「錬金術」のレベルが上がりました〉
〈スキル「土属性魔法」のレベルが上がりました〉
〈スキル「魔力操作」のレベルが上がりました〉
僕はどんどん精錬作業を進めていく。
魔力が枯渇しては休憩し、を繰り返していたけれど最後は意識を失ってしまい、気が付いたときは次の日の朝だった。
マーサさんが持ってきてくれた朝ご飯を食べて、また精錬作業を続ける。
そんなふうにして三日かけてすべての鉱石を精錬し終わったときには、職業レベルがかなり上昇していた。
鉄、銀、銅、魔鉄、そして少量の金や鉛、タングステン、チタン、錫などが抽出できた。
レベルが一つ上がり、職業レベルやスキルレベルも上がったので、ステータス値を見てみる。
【名 前】 タクミ・イルマ
【種 族】 人族
【年 齢】 15歳
【職 種】 錬金術師32Lv、鍛治師36Lv
【レベル】 3
【状 態】 健康
【生命力】 150 【魔 力】 160 【 力 】 60 【俊 敏】 40
【体 力】 70 【器 用】 70 【知 力】 80
【ユニーク スキル】 [鑑定EX][アイテムボックスEX(隠匿)]
【パッシブ スキル】 [怪力1Lv]
【アクティブスキル】 [槍術3Lv][斧術2Lv][索敵1Lv][気配察知1Lv]
[魔力感知1Lv]「魔力操作4Lv][光属性魔法1Lv]
[火属性魔法1Lv][水属性魔法1Lv][風属性魔法1Lv]
[土属性魔法4Lv][時空間属性魔法1Lv]
[錬金術4Lv][鍛治4Lv][木工細工3Lv][大工3Lv]
[採取2Lv][伐採2Lv][解体1Lv][採掘3Lv]
【 加 護 】 [女神ノルンの加護(隠匿)]
金属をインゴットにまとめる作業をするときに、こまめに職業を魔法使いに変えながら土属性魔法を使っていたおかげで、土属性魔法のスキルレベルもだいぶ上がり、魔法使いのレベルも10になった。
他の村人達の職種レベルやスキルレベルをこっそり鑑定してみたけど、僕くらいのステータスの人はいなかった。やっぱり僕のレベルやスキルの上がり方はとても早いみたいだ。
これで採掘した鉱石の精錬が済んだので、明日からは自分用の道具類を作っていこう。
7 道具を作ろう その2
今日は精錬したインゴットを使って、採掘に使う鶴嘴やシャベル、伐採に使う斧、あとは鍋や包丁、ナイフなどの日常的に使用する道具を作っていこうと思う。
「さて、まずは鋼かな」
鋼を作るためには鉄に炭を含ませる必要がある。作業台に鉄のインゴットと炭を載せ、しっかりとイメージを固めてから錬金術を発動させる。
魔力の光で描かれた錬成魔法陣が浮かび上がり、素材の鉄のインゴットと炭を包み込む。
こうして僕は鉄のインゴットに炭素をごく少量ずつ混ぜて、数種類の鋼の合金を作り出した。魔鉄から魔鋼を作り出すこともできた。
これだけで魔力が枯渇してしまい二時間ほど休むことになったけれど、魔力枯渇も何度も経験するとだいぶ慣れてきたのか、この前みたいに気を失うことはなくなった。
魔力が回復すると、次は鍛治魔法のクラフトで魔鋼以外の合金を変形させていく。金属の変形は土属性魔法でもできるみたいだけど、使う魔力量が鍛治魔法は断然少なくて済む。
最初に鶴嘴、次にシャベル、最後に斧を作っていく。
この順序にしたのは、作っていくうちに鍛治師レベルと鍛治スキルレベルが上がるのを期待してのこと。最後の斧には、芯に粘りのある鋼、外側に硬度の高い鋼を使って作るという技術を要するため、できるだけ職種レベルとスキルレベルを上げておきたかったのだ。
ただ職種レベルも30を超えたあたりから、同じことをしていても上がりづらくなってきた。それでも僕が斧を完成させた頃には40を超えたんだから、僕はやっぱり優遇されてると思う。
それから金槌や釘、バール、鑿、包丁などの細々としたものを作った。
「魔法がなきゃこんなに早く作れないよな」
スキルレベルが上がるたびに製作スピードが上がっていく。さらには形や成分の微調整も楽にできるようになってきた。
僕の作業速度はこの世界の鍛治師では無理なスピードだ。僕がこんなに早くできるのは、鍛治スキルと錬金術スキルに加え、土属性魔法も所持しているためだと思う。鋼の焼き入れ過程をすべて魔法で代用しているのだ。
その後、鍋やオタマ、銀で食器を作り終えた頃には、小屋の外は薄暗くなっていた。
◇
金属を打ち付ける音が、一定のリズムを刻んで聞こえている。
「タクミ、魔鋼を鍛えるときは、魔力を込め続けながら打つことが大事なんだ」
身の回りの道具類を作った次の日、僕はボボンさんの工房に来ていた。
その理由は、地球にはなかった、魔力を含む魔鋼の扱いを教えてもらうため。
これはボボンさんにも歓迎された。
人族のボボンさんは魔力量が少なく、魔鋼を鍛えるために何日もかけていたそうだ。魔法金属全般に共通する特徴として、魔力を馴染ませながらじゃないと加工できないというのがある。魔法職でもない普通の人族は、戦闘することも少なくレベルを上げる機会も少ないので、魔力量が100もない。ボボンさんも50くらいだ。だから魔力がそこそこある僕が魔鋼での鍛治を教えてほしいと申し出たのは、魔力の少ないボボンさんにとって願ってもないことだったらしい。
さっきボボンさんが言ったように魔法金属を鍛えるときに注意しないといけないのは、鍛えるときに魔力を込めながら打つこと。そうすることで成形するときに非常に素直な金属になるのだ。鍛治魔法のクラフトやシャープ、錬金術での合金化もしやすくなるそうだ。
カン! カン! カン!
ボボンさんが小槌で指定した場所に、僕が魔力を込めたハンマーを振り下ろす。
僕には鍛冶魔法があるので炉や金床やハンマーは必要ないんだけど、今回は鍛治スキルと鍛治師のレベル上げも兼ねているので、魔法は使用せずに手作業で鍛治仕事をしている。
ちなみに一般の鍛冶師は鍛冶魔法の燃費が悪いというのもあって、こうした手作業を部分的に使うらしい。重たいハンマーも、いつの間にかパッシブスキルの怪力を身につけていたせいか、問題なく振るうことができた。
仕上げにボボンさんが小槌で整え、これでひとまず大まかな形はできたようだ。
続いてそれを炉に入れる。
「よし、タクミ! 加熱と火魔法で温度を上げてくれ! 見極めは俺がする! 色をよく見とけ!」
僕は鑑定を使って詳細な状態をチェックしながら、炉の中の魔鋼を見つめる。
「よし! 今だ!」
ジュゥゥゥーーーー!!
ボボンさんが魔鋼を取り出す。それは黒味を帯びた魔鋼製のショートソードだった。
「すごく綺麗ですね。でも本当に良いんですか、僕がもらっても?」
「あぁ、俺だけじゃ魔鋼は扱えなかったからな。それに、タクミと一緒に行った採掘で鉱石がいっぱい手に入ったから俺は満足だ」
「ありがとうございます」
「そのショートソードは俺が打った中じゃ一番の出来だ。一流の鍛治師なら、そのクラスの剣なら二つか三つ能力を付与できるんだが、タクミも知っての通り俺は魔法が苦手で、エンチャントなんて無理なんだ」
「エンチャントですか?」
「あぁ、魔石や魔晶石を触媒にして武具に属性付与をしたり、強度を上げたりするんだよ」
エンチャントを扱える職業は付与魔法師だそうだ。魔法使いの職業を一定のレベルまで上げた者がなれると、ボボンさんが教えてくれた。
「詳しいことは街の魔術師ギルドあたりで聞いてくれ。付与魔法の魔法書も売ってるはずだ。たぶん馬鹿高ぇけど」
魔法書は僕も一度見てみたいと思っていた。
というのも、錬成魔法陣が載っている魔法書があるらしいのだ。あらかじめ錬成魔法陣を描いておけば、それに魔力を流し込むだけで何度も同じ錬成を行えるらしい。大量に作業するときには便利そうだ。
「さて、今回は研ぎも俺が手作業でするからよく見とけよ。お前が鍛治魔法のシャープを使うときにはイメージが大事だからな。俺の研ぐ様子を見て、しっかり覚えておくんだ」
そう言うとボボンさんは、数種類の砥石を使って魔鋼のショートソードを粗砥ぎ、中研ぎ、仕上げ研ぎと、研ぎ上げていった。
次いで柄と鍔を作ると、ボボンさんは僕にショートソードを手渡し、振るように言う。
「バランスを見るから振ってみろ」
「僕は剣術スキル持ってないですよ」
「構わねえから早く振れ」
僕は言われた通り、しぶしぶ剣の素振りをしてみる。
「うん、悪くないな。よし、あとは鞘を作れば完成だ。タクミも手伝え」
せっかくだから、鞘の先端である鐺の補強を兼ねて銀で装飾してみた。
〈スキル「金属細工」を取得しました〉
〈スキル「土属性魔法」のレベルが上がりました〉
〈スキル「魔力操作」のレベルが上がりました〉
そのおかげで新しいスキルを獲得した。またこれまでの作業の影響で、いくつかのスキルのレベルが上がった。
さっそくステータスを確認してみる。
【名 前】 タクミ・イルマ
【種 族】 人族
【年 齢】 15歳
【職 種】 錬金術師33Lv、鍛治師40Lv
【レベル】 3
【状 態】 健康
【生命力】 150 【魔 力】 180 【 力 】 64 【俊 敏】 40
【体 力】 75 【器 用】 72 【知 力】 80
【ユニーク スキル】 [鑑定EX][アイテムボックスEX(隠匿)]
【パッシブ スキル】 [怪力1Lv]
【アクティブスキル】 [槍術3Lv][斧術2Lv][索敵1Lv][気配察知1Lv]
[魔力感知2Lv][魔力操作5Lv][光属性魔法1Lv]
[火属性魔法2Lv][水属性魔法1Lv][風属性魔法1Lv]
[土属性魔法5Lv][時空間属性魔法1Lv][錬金術4Lv]
[鍛治5Lv][木工細工3Lv][大工3Lv][採取2Lv][伐採2Lv]
[解体1Lv][採掘3Lv][金属細工2Lv]
【 加 護 】 [女神ノルンの加護(隠匿)]
すでに鍛治師レベルが40、鍛冶スキルは5と、職業・スキルともに中堅並みになっている。錬金術師を目指していたはずなのに……げせぬ。
魔物を狩っていないので、レベルは上がっていないけど、ここのところの肉体労働と魔力を酷使したおかげなのか、ステータスが少し上がっていた。魔物と戦わなくても筋トレで少しはステータスが上がるのかな。
8 ポーション作りも錬金術師の仕事? その1
ボボンさんのところで鍛治のレベルアップを兼ねたショートソードを打ったあと、僕はいつも使っている槍の穂先も魔鋼で作り直した。
これでひとまず鍛冶仕事はお終いだ。
さて次にやることは――
「バンガさん、バンガさんって狩人だから、万が一の場合に備えてポーション類持ってますよね。すみませんが見せてもらっても良いですか?」
「何だ、俺ん家には初級ポーションくらいしかないぞ」
「それで十分です」
アイテムボックスの中に大量にある薬草類を何とかしようと、ポーション製作に手をつけることにした僕。
そこで思いついたのは、現物を鑑定したら作り方のレシピがわかるんじゃねぇ、ってことで、バンガさんなら持ってるかもとバンガさん家にお邪魔したのだ。
さっそく見せてもらった初級ポーションを鑑定してみる。
[初級ヒールポーション]
品質:普通。
ヒルクク草+水(2:8)。
薬師が製作したヒールポーション。
ヒルクク草と水か。うん、何とかなりそうだ。
「ありがとうございました」
「おう、タクミがポーション作ったら俺にも売ってくれ」
「はい、期待しないで待っててください」
ポーション作りをしようとしていることがバンガさんにバレてしまったが、ともかく小屋に帰る。作業台の前に座り、ポーション製作に挑戦しようとして、大事なことを忘れているのに気が付いた。
「…………ポーションを入れるビンがない」
それから僕は、村の近くの川へ砂を集めに行く羽目になった。
川は村から徒歩で30分くらいの距離にあった。
今後のことを考えて、多めにガラス瓶を確保しておこうと考えた僕は、作ったシャベルで砂を集めてアイテムボックスへどんどん入れていく。
「これだけの量の砂からビンを作っていくとなると、錬金術じゃなくて炉を使った方が良いかな」
試しに、錬金術でケイ砂を抽出して加熱し、成形してみる。
思っていたようにゴリゴリと魔力が削られるけど、不可能ではなさそうだ。
小屋に戻ってから、結局僕はすべて魔法頼みでガラス瓶を作ることにした。そうすることで、魔力も増えることがわかっているので、鍛錬のつもりで魔法で作ろうと決めたのだ。
作業の途中でマーサさんのお弁当を食べたりしながらひたすら作り続けたところ、ポーション瓶を五百本製作できた。
次の日。
瓶の蓋になるコルクのような木材があるとバンガさんから聞いたので、バンガさんの狩りのついでに採取しようと思い、彼に同行することにした。
森の中を、気配を消して歩くバンガさんの後ろから付いていく。僕も気配を消す努力をしながら同時に索敵をする。
〈スキル「隠密」を取得しました〉
〈スキル「気配察知」のレベルが上がりました〉
〈スキル「索敵」のレベルが上がりました〉
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