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4巻
4-1
しおりを挟む一話 魔王、思考を放棄する
最弱の魔物、ゴーストとして異世界に転生したシグムンド。彼は進化を重ね、不死王と呼ばれる伝説の吸血鬼に成り上がったのだが……
ある日、竜の住む南の大陸を訪れたシグムンドは、その地で復活しかけていた悪しき邪神を、サクッと退治した。
それにより、創造神から邪神の封印を見張るように言われていたチビ竜、オオ爺サマといった竜たちはその役目から解放された。その後、彼らはのんびり休息を取ることに決め、シグムンドが築いた草原の城塞都市へ遊びにやって来る。
しかし伝説的な存在である竜たちが飛来したことで、草原地帯の近隣国は大騒ぎとなった。
その頃ちょうどシグムンドの拠点を視察に訪れていた魔王国の武官のトップであるイグリスとその部下ラギアは、竜たちの姿を間近に見て、度肝を抜かれてしまう。
やがてなんとかショックから立ち直った二人は、竜たちのことを報告するため、魔王国への帰途に就くのだった。
◇
魔王国への道のりを、ノロノロと進むイグリスとラギア。
しかしいくらゆっくり行こうと、進み続ける限りはいずれ魔王国に到着してしまう。
イグリスはいまだに、魔王ヴァンダードに竜たちのことをどう報告するか思案していたが、ここに至ってすべてそのまま報告することに決めた。
イグリスは伝説の竜が実在したことにショックを受けすぎて、しばらく頭の整理がつかなかった。そしてこの衝撃的な情報をヴァンダードたちに伝える際、どうやったら彼らのショックを和らげられるかと、悩み続けていた。
でもどう取り繕っても和らげるのは無理だろうと、頭の中で結論づける。
または、諦めたとも言う。
やがてイグリスとラギアの視界の中に、この大陸でも最大級の建造物である魔王城が入ってきた。
「ああ、無駄にデカイ城が見えてきた」
「イグリス様、無駄にデカイなんて言わないでください。王城ですよ」
うんざりした様子で呟くイグリスに、隣にいるラギアが苦言を呈した。
「実際デカすぎて使ってない部屋ばかりの、無駄無駄な城じゃないか」
「まあ、間違いではありませんが。でも魔王国の武官のトップであるあなたが言ってはまずいですよ」
「ラギアも結局、無駄にデカイと思っているじゃないか」
そんな風に言い合う二人。
魔王国に住む魔族たちは人族と比べ、様々な特徴を持つ種族の集まりだ。その中には、人族より巨体の種族も珍しくない。
先代魔王バールは三メートル近い巨体だったし、現魔王のヴァンダードも二メートルを超える。
体の大きな種族でも窮屈にならないよう、魔王城はそもそもの作りが大きくしてある。
加えて、魔族は大雑把な性格の者が多い。
何代か前の魔王もそれに漏れず大雑把だったので、大は小を兼ねると言わんばかりに、この巨大な王城を建ててしまったのだ。
しかし、魔族の体に合わせて作ったはずのこの巨大な王城の評判は、すこぶる悪い。
広すぎて目的の場所に行くにも一苦労なせいで、城に勤める魔族たちからは苦情が上がっている。
「デカすぎて、保守点検も大変みたいですね」
うんざりした様子で言うラギアに、イグリスが頷く。
「優秀な付与魔法を使う者を、王城の保守点検に張りつけるなんて、馬鹿じゃないかと思うよな」
魔王城には、劣化を防ぐ付与魔法が定期的に掛けられている。ただでさえデカくて管理が大変なのに、日々多くの人間が働いているので損耗が激しく、付与魔法が使える者による日常的な保守点検が必要なのだ。
「はぁ、それにしても、戻りたくないなぁ……」
「ですねぇ……」
ため息を吐いてそう漏らすイグリスとラギア。しかしそうこうしているうちに、二人は魔王城の城門にたどり着いてしまった。
イグリスたちが帰還したという知らせは、すぐにヴァンダードへと報告され、いつもの魔王国の重鎮たちが広間に集められる。
「イグリス、報告を聞こう」
イグリスたちが広間に入ると、魔王ヴァンダードが言った。ヴァンダードの側には、宰相のデモリス、文官のトップのアバドンが控えている。
「では、報告します……」
イグリスはそう言って、報告を始めた。自分の見たままをできるだけ正確に話す。
「まず、古竜の草原地帯での目撃談は真実でした。そしてお察しの通り、彼らはシグムンド殿のお客人でした。いや、お客竜なのか……? ま、まあ、とにかくそういうことです」
「「「…………」」」
ヴァンダード、デモリス、アバドンは、全員絶句した。
「えーと、では現状判明していることを、とりあえず全部伝えますね」
イグリスは呆然とするヴァンダードたち三人に、天界で反乱を起こした邪神が創造神に封印されたこと、その封印の守護を創造神の生み出した古竜と呼ばれる竜たちが行っていたこと、封印が弱まって復活した邪神をシグムンドを倒したことなどを、すべて話した。
「「「…………」」」
再び絶句するヴァンダードたち。そして理解が追いつかないまま、口々に言う。
「……創造神様が創りし古竜?」
「邪神の封印とは……」
「邪神を滅ぼした?」
草原地帯で古竜が目撃されたという情報は事実だったと確認されたが、報告の内容はヴァンダードたちの精神が許容できるキャパシティを超えていた。
「あれっ? ちゃんと聞いてます?」
ヴァンダードたちが固まっているのを見て、イグリスが尋ねた。
「……いや、それだけのことを、なぜ平然と話せるんだ?」
「陛下も目の前であの黄金竜様――いや、シグムンド殿はオオ爺サマと呼んでいましたが、とにかく古竜を実際に見れば、否応なく信じられますよ」
ヴァンダードは目を瞑り考え込む。
「……その黄金竜と仲間の四体の古竜たちが力を合わせても再封印できなかった邪神を、シグムンド殿は単独で倒したのだな」
「そう言ってましたね」
「とんでもないことを軽く言うなっ!」
デモリスはイグリスにそう怒鳴るが、完全に八つ当たりだった。
しばらくしてヴァンダードが、決意した様子で言う。
「一度シグムンド殿と、じっくり話してみるか。我から出向くべきだな」
「「陛下! 危険です!」」
デモリスとアバドンが驚き、同時に声を上げるのを、ヴァンダードがなだめる。
「冷静に考えろ。シグムンド殿がその気なら、魔王国どころか、この大陸を統べるなど片手間であろう。シグムンド殿にもし魔王国と敵対する気があるなら、とっくに魔王国を滅ぼしていて当然だ」
相手は邪神を葬るような存在なのだ。魔王国など、歯牙にもかけていないだろうとヴァンダードは考えていた。
幸いにもシグムンドの所では、セブール、リーファという、元魔王国の国民であり、間を取り持ってくれる存在が働いている。
シグムンドがこの先何を望み、何を嫌がるのか、できるだけ多くコミュニケーションを取って知っていこうと、ヴァンダードは方針を固めた。
可能ならばシグムンドと不戦の条約を結べれば最良だ。
不戦の条約というのは、国家が個人に対して求めるものではないのだが、シグムンドが単独で大陸を更地にすらできそうな力を持つのだから仕方ない。
こうしてヴァンダードは、敵対しているジーラッド聖国にバレぬよう、極秘で草原地帯へと向かうことを決める。
それにあたっては、魔王国に戻ったばかりのイグリスに護衛の任務が言い渡された。
イグリスは盛大にブーイングするも、魔王たちに押し切られて任務に就くことが決定してしまう。
そこでイグリスはそれならとばかりに、ラギアも護衛の任務に巻き込むのだった。
二話 ご機嫌伺いに行く魔王
わざと地味に設えた魔王国の馬車が、騎馬の護衛に守られ南へと進む。
シグムンド個人が国家の安全保障を脅かす存在だと、改めて突きつけられたヴァンダード。
ヴァンダードには魔王国の王として国を守る義務がある。
だが、シグムンドとの会見については、気が進まない。
はっきり言えば、行きたくない。
できれば、部下に任せてしまいたい。
そもそも、ヴァンダードが国を離れることはほとんどないのだ。しかもこんなお忍びで向かうなど、ほぼゼロに等しい。
ちなみに護衛は、イグリス自ら率いる精鋭部隊である。
なおイグリスにしてみれば、こんな任務はいい迷惑だった。またあの黄金竜の威圧感を体験しなければならないのだから。
「ラギアもご苦労だな」
イグリスが隣にいるラギアに、そう声を掛けた。
「いえ。私は娘のリーファに会えるので構いません」
「ルードも連れてくればよかったか」
「いえ、夫のルードもリーファには会いたいでしょうが、シグムンド殿には近付きたくないと思いますから」
「文官のルードならそうだろうな」
イグリスのせいで、ラギアは再び草原地帯に赴くハメになった。
しかし、イグリスがシグムンドの所に蜻蛉返りするなら、ラギアが道連れになるのは仕方ないのだ。
ラギアが魔王国に戻り、夫のルードに顔を見せてすぐにまた遠征なので、イグリスもさすがに悪いとは思っている。
しかし現状、魔王国とシグムンドとの一番太いパイプは、ラギアとルードなのだから、どちらかを連れていくのは当然だった。そうなると武官のラギア一択となるのはやむをえない。
ラギアとルードは、シグムンドの屋敷でメイドをしているリーファの両親だ。なのでヴァンダードたち魔王国側の者は、二人がいればシグムンド側から危害を加えられる可能性を少しでも下げることが可能と考えているのだ。
馬に乗ったままラギアとイグリスは会話を続ける。
「文官のルードに古竜の相手をさせるなんて可哀想ですしね」
「だな。古竜が魔力を抑えてくれていても、普通じゃあの見た目で腰抜かすよな」
「シグムンド殿の孤児院の子供たちが普通に古竜と遊ぶのが信じられません」
「だよなぁ。あれ見たら、陛下も驚くだろうな」
魔王国の武官のトップであるイグリスの実力は、ヴァンダードに迫る。それだけにイグリスは、ヴァンダードも黄金竜を前にすれば、自分とさほど変わらぬ反応をすると想像できた。
魔王国一の実力者であるヴァンダードでも、古竜やシグムンドと比べてしまっては、飛び抜けて強いというわけではないのだ。
「あの黄金竜には、俺でもびびったからなぁ」
そうぼやくイグリスの横で、ラギアが相槌をうつ。
「シグムンド殿は、それ以上ですよね」
「いや、あそこまでいくと、もう何も感じないからいいんだよ」
「まあ、確かに」
「イグリス」
「はっ」
イグリスはヴァンダードに呼ばれて、自分の馬を馬車に寄せる。
「なんでしょう?」
「いや、魔物の気配がまったく感じられないから妙だと思ってな」
「ああ、そういうことですか」
魔王国から草原地帯まで行くには、大陸の北から南へと縦断する必要がある。その途中いくつかの国を抜けるので、道中は危険も多い。
前回シグムンドと会見した際は、部下たちがヴァンダードにそういった危険を避けさせるために、わざわざ魔王国と、シグムンドの拠点である深淵の森の中間地点に会見用の施設を作ったほどだ。
それなのに今回は直接、深淵の森より遠い草原地帯に向かっており、しかも魔王国を出てからの道のりがあまりにも順調すぎると、ヴァンダードは感じたのだ。
「魔王国からシグムンド殿が作った草原地帯の城塞都市まで、このところ行き来が活発ですからね。おかげで道中の魔物や盗賊を駆逐する勢いなんですよ」
シグムンドが作った草原地帯の農地では、魔王国主導で厳選した移民が多く働くようになっている。それゆえ、現在の草原地帯は、安全に農業のできる穀倉地帯となりつつあった。
現在も移民事業は続けられており、定期的に魔王国と草原地帯を、精鋭の護衛つきで行き来する隊列のおかげで、街道周辺の魔物や盗賊は激減していた。
なおこれは魔王国の兵士たちの力だけでなく、シグムンドの眷属であるブラッドストームレイブンという八咫烏に似た魔物のヤタが、魔物や盗賊を狩っていることも原因だ。
「最近は移民だけじゃなく、商人も来てますしね」
イグリスが言うように、目ざとい商人が儲けの匂いを嗅ぎつけ、城塞都市を訪れ始めていた。
シグムンドたちは時折、深淵の森で狩った魔物の肉を城塞都市に差し入れている。その肉は市内の人々で分けられ、解体された高価な魔物素材は、無造作に倉庫へと放り込まれている。
その魔物素材を交易で手に入れようと、商人は狙っているのだ。
シグムンドたちには大したことのない魔物でも、深淵の森の魔物は一般の人間には手に入れることができない高級魔物素材となる。商人たちが喉から手が出るほど欲しがるのは仕方ない。
「ここに来るなんて、ガッツのある商人だとは思いますがね」
「ガッツのある?」
ヴァンダードはピンとこない様子で、イグリスに聞き返す。
「門を巨大なアイアンゴーレムが守り、市内でも警備ゴーレムが巡回してます。あんなの俺でも勝てませんよ。しかも奴ら賢いんです。悪さをしようものなら、たちまち叩き潰されちまいます。そんな城塞都市に自分から行くなど、ガッツがあるなぁと」
シグムンドが作ったゴーレムは、最初からかなり高性能なのだが、先輩ゴーレムに連れられ、深淵の森でパワーレベリングされている。
またいつの間にか進化していたり、高度な自我まで獲得していたりする者も多い。
中でも警備用ゴーレムとして生み出された個体は、進化の過程でシグムンドたちに害をもたらす者に敏感に反応するようになっていた。
「……ゴーレムがそれほど強いのか?」
ヴァンダードは信じられずに確認する。
「畑を耕しているウッドゴーレムでも勝てるかなぁ。ちょっと難しいかもしれません」
「…………」
農作業用のゴーレムに、魔王国でも自分と肩を並べる武官のトップが勝てるか分からないと言う。
長年の付き合いでイグリスが冗談を言っているのではないと分かるヴァンダードは、よけいに戸惑う。
「まあ、実際に見てみないと理解できないでしょうしね」
「…………」
絶句し、ますます行きたくなくなるヴァンダードの気持ちとは裏腹に、馬車は普通の倍以上の速度で進む。
その上空を気配を消したヤタが監視していることは、誰一人気付かなかった。
三話 わざわざ魔王が会いに来るらしい
俺――シグムンドが、草原地帯の城塞都市で雑用をこなしていると、ヤタから念話が来た。
(マスター。魔王がマスターに会うため、ここに向かってくるぞ)
「なぜ? ……って、たぶんオオ爺サマが原因だよな」
ていうかイグリスが魔王国に帰ったばっかなのに、ずいぶんすぐに魔王が来たな。
連絡もなしでいきなり草原地帯に向かってきてるようだが、俺が深淵の森の拠点に帰ってなくてよかったよ。まあ、転移ですぐに移動できるから、俺にとってはどこに来ようが問題ない。
「いえ、旦那様。黄金竜殿も原因の一つでしょうが、ここに来る主因は邪神をも葬る旦那様にあると思われます」
「私もお祖父様の意見に賛成です。分かりやすい脅威であるオオ爺サマよりも、旦那様ははるかに格上ですから」
俺とヤタの念話が聞こえていたのか、執事のセブール、メイドのリーファがすかさず言った。
今日はセブールとリーファ、二人ともが俺の供をしている。
そんなことより、この間イグリスが来たばかりなのに、今度は魔王が直々にここまで来るんだな。
「会いたきゃ俺が魔王国に行くのになぁ」
「いえ、旦那様が自ら出向くのは、相手に軽く見られたと、眷属一同が怒りで暴発しかねません」
「いやいや、そんな大袈裟な……って、マジか」
「「はい」」
そう返事をするセブールとリーファは、目が本気だ。
お前たち、つい最近まで魔王国の国民だったよな。なのに俺が魔王の所に出向くのは軽んじられているって? ガチで言ってるのか、お前たち。
で、話を魔王に戻そう。
ヴァンダードとは前回、深淵の森の拠点と、魔王国の中間地点で会った。だけど今回は、魔王がここ草原地帯までわざわざ来るらしい。
ちなみに草原地帯の孤児院では、今日も孤児院の子供たちと、エルフの姉妹のミルとララ、それと盲目だったポーラちゃんが、オオ爺サマに遊んでもらっている。
ポーラちゃんは以前まで目が見えなくて、外で遊ぶことが少なかった。でも俺が魔法で目を治療したので、今ではすっかり活発で元気な子供になっている。
今もポーラちゃんは、ミル、ララと楽しく過ごしてるんだろうな。
そんなことを考えていると、セブールが俺に言う。
「まあ、今現在は魔王国の隊列にちょっかいをかける勢力はないと思うので、魔王ヴァンダード陛下がここに出向いても問題ありませんでしょうな」
「確かに、俺が魔王国に出向くのがダメなら、ここで会うのが一番安全といえば安全か」
「はい。古竜にちょっかいかけようとする馬鹿対策として、旦那様が警備用ゴーレムを増やしたので、ここが一番安全でしょう。魔物に関しては、今は黄金竜殿がいるので、近寄る気配もございませんしな」
「そう言われると、会う場所はここしか選択肢がないような気がするな」
まあ、魔王と会うために前に魔王国が作った拠点もあるんだけど、オオ爺サマがいる今、一番安全と言ったらこの草原地帯の方だよな。
それにしても、魔王か。前世の常識から考えれば、国王がわざわざ一般人の俺に会いに来るなんてと不思議に思う。けど、そんな俺の違和感を気にしなければ、ここで会うのも悪くないか。
となると、あとは会見のための会場だな。
「なあセブール、相手は王様だぞ。どこで会えばいいんだ?」
「ご主人様の屋敷で問題ありません」
「いや、俺の屋敷は教会や孤児院は別にして、城塞都市内では一番大きな建物だけどさ。そうは言っても、さすがに普通の屋敷だから問題あるんじゃないか?」
屋敷にリビングはあるが、会議室や応接室なんて作ってない。
これは森の拠点にも言えるが、お偉いさんと会談するなんて前提のもとに、俺は家を作ってないからな。
そもそも、セブールやリーファと出会わなければ、ずっと俺一人きりで森に引き篭ってただろうしな。
そんなわけで、貴人をもてなすなんて一ミリも考えてなかったから、来客用の部屋なんて用意がない。
「あんまり大袈裟にならないような迎賓館でも作るか」
「それもようございますな。ただ、内装や調度品を用意するご主人様には負担がかかりますが……」
建物は作るのに大した手間がないんだが、趣味のいい内装や調度品は、セブールやリーファのアドバイスを聞きながら揃えるしかない。
まあ、それはおいといて。
「とりあえず、迎賓館を作るのに、森の拠点からウッドゴーレムを何人か連れてこよう」
トムたち、ファーマーゴーレムは器用なので、大工仕事も熟練の職人並の腕を持つに至っている。それに加え、俺が魔法でごり押しで建てるので、魔王が来るまでには十分建造が間に合うだろう。
「ついでに、草原地帯の西側の街道をもっと綺麗に整えるか」
「それはようございますね旦那様。加えて街道には、できれば馬車がすれ違える幅が欲しいですな」
セブールに続いて、リーファが言う。
「ご主人様。余裕があれば、東に建造した岩山の城までの道も拡張をお願いします」
「了解」
と、返事はしたけど、東側の道は正直あまり整備の必要はない。
西側から魔王が来るので、そっちは当然整備するが、草原地帯の東の岩山と、その上に建つデカイ城は、結局ほぼ使ってないからな。
その後、俺の作業は一日で済んだんだけど、迎賓館が完成してから気が付いた。
「ていうか、岩山の城で会えばよかったんじゃないか?」
俺が尋ねると、セブール、リーファが言う。
「……そういえば、あれもありましたな」
「でも魔王陛下との会談なら、ここがちょうどいいと思いますよ」
まあ、空を飛べたり転移したりできなきゃ、あの城は不便だからな。何せ、俺が魔法で作った岩山の上にあるし。
忘れてただけだし、実は昇降装置を設置して山頂への移動も楽になってるんだけど、今回はそういうことにしておこう。
さてと。魔王が到着するまで、まだ少し掛かるだろうし、俺はいつも通り過ごそうかな。
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