異世界立志伝

小狐丸

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ノトスの街でお買い物

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 冒険者ギルドを出ようとして、これだけのお金があれば、工房付きの家が借りれるんじゃないかと思い立つ。
 引き返して、工房付きの家を借りるのに、どこへ行けば良いのか、受付で聞くことにする。

「すいません受付さん「アンです」あゝ、アンさん。工房付きの家を借りるには、どこへ行けば良いですかね。やっぱり商業ギルドですか?」
「こちらでも紹介できますよ。ちょっと待って下さいね」

 アンさんが、奥からファイルを取り出して来て拡げる。

「今、紹介出来るのは、この三件ですね」

 ファイルを見ようとすると、エルに引ったくられる。

「私が見てあげるわ」

 いや、ちょっと、俺が借りるんだけど。

「この物件一択よ!」

 三件の中で、一番大きな家を選びやがった。

「その物件なら購入しても、税金込みで白金貨10枚ですね」
「買うわ!カイトが!」

 おい!  まぁ、良いのか。
 他の二件のファイルを見てみる。
 大きさが中途半端だったり、ギルドからの距離が遠かったり、悔しいことに、俺も最初の一番大きい物件が良かった。

「わかったよ。アンさん、多分購入すると思います。ただ、先に一度見せてください」
「はい、当然ですね。ではご案内します。ギルドから直ぐですから、今から行きましょう」




 アンさんの案内で、連れられて来た物件は、ギルドから歩いて5分位の場所にあった。
 ギルドから近いのは、ポイントがたかい。
 建物も綺麗で、日本人の俺にはお屋敷と言っても過言ではない。工房の広さも十分で、鍛治以外も色々と出来そうだ。部屋数が多過ぎる気がするが、何よりこの物件には、お風呂があったのだ。
 庭もかなり広くて、倉庫か小屋でも造れるくらい広い。

「アンさん、ここに決めます」
「ではギルドに戻りましょう」

 ギルドに戻り、先ほど貰った報酬から、白金貨10枚を取り出し渡す。 

「はい、確かに。今契約書を作成しますから」
「フフフフッ」

 何故かエルが満足気に笑ってやがる。

 アンさんが書類を持って来て、契約書を交わすと、鍵を渡され家は俺のものになった。



 ギルドから出ると、色々と買わなきゃいけない物がある。その前に、宿屋に家を買ったから、そちらに移ることを伝える。

「色々と買わなきゃいけないな」
「じゃあ先ずは家具が必要ね。こっちよ」

 エルに引き摺られるように、家具屋に連れて行かれる。

「ベッドはこのくらい大きめのが良いな」
「そうね、店主、このベッドを二つ頂戴」
「へっ?」

 あれっ、今、二つって言ったよな。

「もしかして、エルもあの家に住む積りか?」
「そうよ!これで宿屋代が浮くわ」

 普通に言い切りやがった。

「いや、家も俺が買った物だし、ベッドも俺がエルの分まで買うのか?」

 最初は、盗賊を売ったお金を、半分渡そうとしたら、遠慮したくせに。

「良いじゃない。そのかわり私をあげるわ」
「ぶっ!」

 それは、そういうことだよな。

「あぁ、それならベッドは一つで良いわね。さっきのベッドはキャンセルで、コッチの大きなベッドにするわ」

 やっぱり、そういうことだった。良いのか?
 その後も、ドンドンと買う家具を決めていくエルを、俺は呆然として見ているしかなかった。
 まぁエルは、ちょっとイタイけど、絶世の美少女ではあるからな。胸も大きいし、胸も大きいし、大事な事だから二回繰り返してみました。

 結局、家具屋で白金貨1枚払った。家具に一千万円って、まあ、俺も木材を買ったけど。


 その後も、食器や布団、雑貨類を買う。



 受け取った鍵で家に入り、俺には先ずやらなきゃいけない事がある。トイレの改造だ。

 トイレを魔導具化してしまう。汚物を分解して浄化する。魔法陣を刻印して、魔石をセットすると、平成日本のトイレを超えたと思う。
 家にあるトイレを全て魔改造してしまう。
 次に取り掛かるのは、お風呂の改造だ。ここも全て魔導具化して、お風呂のお湯はりからシャワーまで、全て魔導具に改造する。
 ついでだから、家の中の照明も全部魔導具に変えてしまう。

 次に工房へ向かい、作業台と天板にミスリルの板を貼った、練金台を作っていく。
 錬金台は、複雑で難しい錬金術を使用する際に、ミスリル板の上に、魔石を砕いた粉で、魔法陣を描き、その上に変化・反応させる素材を乗せて、術式を発動させる為の台だ。
 簡単な【抽出】【分解】等は、そうゆう手順なしで、術式を発動出来る。
 鍛治用の魔力炉の製作は、耐火煉瓦から作らないといけないので、明日以降にしよう。



 一仕事終えて、リビングに行くと、家具が届いていた。

「俺が色々と働いているのに、エルは何してるんだ」

 こいつソファーに座って、お茶してやがる。

「お疲れさま」

 こいつ……。

「ところでエルは、料理は出来るのか?」
「…………覚えるわ」

 チッ、使えねぇ。俺は一応七年間自炊していたから、作れない事はない。塩味オンリーだったけど。
 まぁ、エルレインは貴族らしいから、出来なくて当たり前か。

「エル、今日は外で食べよう。ついでに服も欲しい」

 服も作る積りだけど、取り敢えず直ぐに着れる物が欲しい。

「そうね。外食が一番よね」

 満面の笑みがなんかムカつく。



 エルと連れだって、外食がてら服を幾つか購入する。ここでも何故か、エルの分まで買うはめになる。この野郎、だんだんと俺にたかるのが、当り前になってきてやがる。

 その後、調味料を色々と購入して、食材も大量に買っておく。
 どうせ、俺が料理するんだろうけど。






 私が出逢った、カイトは超優良物件だった。
 最初は、命を救われた。盗賊を犯罪奴隷として売ったお金から、金貨1枚を分け前としてくれた。
 何より、カイトの顔がタイプのど真ん中だ。それに加え、深淵の森の深部を、抜けて来るだけの実力もある。
 深淵の森の魔物をギルドで売ったカイトは、一気にお金持ちになった。工房付きの家を購入するほどに。
 これはもうなし崩し的に、一緒になってやる。私だって、捨てたものじゃないと思う。エルフの血が入っているだけあって、美少女の部類に入ると思うし、スタイルも自信がある。胸も大きい。

 そのあと、家具屋で大きなベッドを買ったわ。
フフフフッ、カイトを私の虜にしてみせるわ。






 家に戻って、お風呂にお湯を張り、エルに先に入って貰う。
 交代に、俺も久しぶりのお風呂を堪能する。

 そして、一緒のベッドに入る。

 とても良いものでした。はいとても良いものでした。大事な事なので、二回言いました。
 メロンは、とても素敵でした。


 心地よい疲れと、上質なベッドのお陰で、いい夢が見れそうです。

 おやすみなさい…………。

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