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魔法鍛治師
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結局、今日もギルドに行くのを諦めた。
今日は、日本人の心、男のロマン、刀を打つつもりだ。打つと言っても、鍛治魔法と錬金術のレベルが高いと、殆どの事は出来てしまうので、余り打つという感じではない。
工房でオリハルコンにミスリルを2パーセントと炭素を0.6パーセントの合金を錬成する。
錬金術で錬成すると、イメージしだいの所もあるけど、均一な組織のオリハルコン合金が出来あがる。
これが刃鉄と皮鉄に使う硬い金属になる。
さらにミスリルを増やし炭素の量を少し減らした、粘り強く靭性に富む物を作り出す。
これを心鉄と棟鉄のもとに使う。
成形魔法モーディングで成形した材料を四方詰に組み合わせる。
ここで魔力炉で加熱し、素延べで形を作るが、ここで土魔法を併用しながら、金属組織の調整をしながら槌を叩く。
成形魔法モーディングと研磨魔法ポリィシュを使い、形の調整をする。
刃側に薄く、棟側に厚く土置きし焼き入れをする。ここでも土魔法で、オリハルコン合金の刃側の結晶構造を、操作しながら焼き入れする。
低温で焼戻し、モーディングとポリィシュで最終調整をする。
刀身に龍が剣に巻きつき、剣先を飲み込もうとする倶利伽羅の彫刻を施す。
その瞬間、刀身に神聖な炎が宿ったように感じた。
エビルトレントの木材を使って、柄と鞘を作成する。柄にはワイバーンの飛膜を、鮫皮風に加工して貼り付け、柄糸を巻き付ける。柄糸は、スパイダーシルクの糸とミスリルを加工して糸にした物を撚りあわせて作った。
鞘にはレア個体の黒いワイバーンレザーを貼り付ける。
アダマンタイト合金で鍔を作る。三日月武蔵鍔を参考にした。要はコピーした。
ハバキを嵌め込み、鞘の小尻をアダマンタイトで補強する。
鞘に、剣帯に取り付けるための金具を付けておく。
・倶利伽羅の太刀
等級 神話級
自動修復
硬度強化
靭性強化
斬撃強化
腐蝕耐性
闇属性特攻
光属性強化
刃長80センチの太刀が完成した。バランスも問題ないようだ。
かなり良い出来だと思う。まあバルデッィシュがメイン武器なのは変わりないんだけど。
「エル!装備出来たよ~!」
俺がリビングに行くと、エルはソファーで寝ていた。
「……う、う~ん、カイト」
俺が部屋に入ると、ちょうとエルが目覚めた。
「装備全部出来たの?」
エルが寝ぼけながら聞いてくる。
「あゝ、一度フル装備して試してみる?」
そう言うと、エルはパアッと顔を綻ばせる。
「うん!うん!着てみる!」
俺達は、自分達の部屋に向かう。
「カイトの前で着替えるの?」
エルが恥ずかしそうにする。
「今更じゃない?」
俺はズボンを、エルはミニスカートとその下にスパッツを履き、鎧下、革鎧、籠手、ブーツと装備していく。
ベルトを締め、左腰に剣を、右腰に魔導銃を差し込む。
最後にローブを羽織り、お互いの姿を確認する。
「カッコイイよ!カイト!」
エルは気に入ったようだ。
黒をベースに、竜の鱗の深い緑がアクセントになっている。
「この魔導銃ってどういう物なの?」
エルが白銀のレイジングベヒモスを手に取り眺めている。
「魔導銃は、魔法を高速で放つ魔導具だよ。自分に適正のない属性でも、魔力を流して引き金を引くだけで、魔法を放つ事が出来る魔導具さ」
「凄いじゃない!私が適正のない属性でも使えるのね」
「火・氷・電・土・風・光の六属性の魔法を撃ち出すことが出来るよ。込める魔力で威力も上がるし」
俺とエルは、せっかく装備をつけたので、街の外に出て、魔導銃の試し撃ちをする事にした。
ノトスの街から少し離れ、広い草原で周りに人が居ない事を確認してから、30メートルくらい離れた場所にある、岩を的に試射をする。
ちなみにノトスの街から南に広がる草原地帯だ。さすがに北側は、深淵の森があるため、離れてはいるが、強い目の魔物が出没するらしい。
ドガッ! ズドンッー!!
「うん、込める魔力の量で、威力もしっかり上がってる。狙いもイメージで補正出来てる」
隣ではエルも試射をしている。
バァーン! バンッ! バチィ!
バキッ! ドンッ! ジュッ!
六属性の魔法の弾丸を試したエルがふらつく。
「……き、気持ちわるい」
魔力が涸渇して辛そうだ。
「だからエルには、まだ無理だって。魔法系の職業レベルを上げて、魔力量を増やしてからじゃないと、6発撃つと倒れるよ」
「う~~、カイトおんぶして~」
もたれ掛かるエルを抱き止める。
「はい、はい」
エルをおんぶして、ノトスの街に帰る。
「エルは魔法使いのレベル上げを早急にしなきゃいけないね。このままだと魔導銃を数発撃てば、魔力切れになっちゃうようじゃ、万が一の時に魔導銃が使えなくて危ないから」
「う~、分かってるわよ~。明日、レベル上げを兼ねて依頼を受けるから、カイトも手伝ってくれるよね」
「いっその事、深淵の森の外縁部でレベル上げをするかい?魔物が強いから、一気にレベルもスキルも成長するよ」
「無理無理無理無理、絶対無理よ!」
あれ?エルと初めて会ったの、深淵の森を出た所だったよな。
「いや、エルを助けたの、深淵の森の外縁部だったじゃない。4人パーティーで森に入るつもりだったんじゃないの?」
エルが背中でブンブンと首を横に振っている。
「森に入る訳ないじゃない!森から時々出て来る弱った魔物を待ち伏せするのよ!」
なんと言うか、気の長い話だな。
「じゃあ今日の草原に居た、弱い魔物で馴らしてからにする?」
「えっ!側に魔物が居たの!」
気配察知スキルもないのか。
「うーん、気配察知は後回しにして、魔力感知を取得しようか。まあ、今の装備だとあの草原に居る魔物程度じゃ、かすり傷もつける事は出来ないと思うけど」
ノトスの南に広がる草原には、一角兎や狼系の魔物、後はゴブリンくらいしか居ない。
狼系の魔物とゴブリンは群れるので、その辺りだけ注意しておけばいい。
「じゃあ明日お願いね」
恥ずかしがるエルをおんぶしたまま、門をくぐり家へ帰った。
今日は、日本人の心、男のロマン、刀を打つつもりだ。打つと言っても、鍛治魔法と錬金術のレベルが高いと、殆どの事は出来てしまうので、余り打つという感じではない。
工房でオリハルコンにミスリルを2パーセントと炭素を0.6パーセントの合金を錬成する。
錬金術で錬成すると、イメージしだいの所もあるけど、均一な組織のオリハルコン合金が出来あがる。
これが刃鉄と皮鉄に使う硬い金属になる。
さらにミスリルを増やし炭素の量を少し減らした、粘り強く靭性に富む物を作り出す。
これを心鉄と棟鉄のもとに使う。
成形魔法モーディングで成形した材料を四方詰に組み合わせる。
ここで魔力炉で加熱し、素延べで形を作るが、ここで土魔法を併用しながら、金属組織の調整をしながら槌を叩く。
成形魔法モーディングと研磨魔法ポリィシュを使い、形の調整をする。
刃側に薄く、棟側に厚く土置きし焼き入れをする。ここでも土魔法で、オリハルコン合金の刃側の結晶構造を、操作しながら焼き入れする。
低温で焼戻し、モーディングとポリィシュで最終調整をする。
刀身に龍が剣に巻きつき、剣先を飲み込もうとする倶利伽羅の彫刻を施す。
その瞬間、刀身に神聖な炎が宿ったように感じた。
エビルトレントの木材を使って、柄と鞘を作成する。柄にはワイバーンの飛膜を、鮫皮風に加工して貼り付け、柄糸を巻き付ける。柄糸は、スパイダーシルクの糸とミスリルを加工して糸にした物を撚りあわせて作った。
鞘にはレア個体の黒いワイバーンレザーを貼り付ける。
アダマンタイト合金で鍔を作る。三日月武蔵鍔を参考にした。要はコピーした。
ハバキを嵌め込み、鞘の小尻をアダマンタイトで補強する。
鞘に、剣帯に取り付けるための金具を付けておく。
・倶利伽羅の太刀
等級 神話級
自動修復
硬度強化
靭性強化
斬撃強化
腐蝕耐性
闇属性特攻
光属性強化
刃長80センチの太刀が完成した。バランスも問題ないようだ。
かなり良い出来だと思う。まあバルデッィシュがメイン武器なのは変わりないんだけど。
「エル!装備出来たよ~!」
俺がリビングに行くと、エルはソファーで寝ていた。
「……う、う~ん、カイト」
俺が部屋に入ると、ちょうとエルが目覚めた。
「装備全部出来たの?」
エルが寝ぼけながら聞いてくる。
「あゝ、一度フル装備して試してみる?」
そう言うと、エルはパアッと顔を綻ばせる。
「うん!うん!着てみる!」
俺達は、自分達の部屋に向かう。
「カイトの前で着替えるの?」
エルが恥ずかしそうにする。
「今更じゃない?」
俺はズボンを、エルはミニスカートとその下にスパッツを履き、鎧下、革鎧、籠手、ブーツと装備していく。
ベルトを締め、左腰に剣を、右腰に魔導銃を差し込む。
最後にローブを羽織り、お互いの姿を確認する。
「カッコイイよ!カイト!」
エルは気に入ったようだ。
黒をベースに、竜の鱗の深い緑がアクセントになっている。
「この魔導銃ってどういう物なの?」
エルが白銀のレイジングベヒモスを手に取り眺めている。
「魔導銃は、魔法を高速で放つ魔導具だよ。自分に適正のない属性でも、魔力を流して引き金を引くだけで、魔法を放つ事が出来る魔導具さ」
「凄いじゃない!私が適正のない属性でも使えるのね」
「火・氷・電・土・風・光の六属性の魔法を撃ち出すことが出来るよ。込める魔力で威力も上がるし」
俺とエルは、せっかく装備をつけたので、街の外に出て、魔導銃の試し撃ちをする事にした。
ノトスの街から少し離れ、広い草原で周りに人が居ない事を確認してから、30メートルくらい離れた場所にある、岩を的に試射をする。
ちなみにノトスの街から南に広がる草原地帯だ。さすがに北側は、深淵の森があるため、離れてはいるが、強い目の魔物が出没するらしい。
ドガッ! ズドンッー!!
「うん、込める魔力の量で、威力もしっかり上がってる。狙いもイメージで補正出来てる」
隣ではエルも試射をしている。
バァーン! バンッ! バチィ!
バキッ! ドンッ! ジュッ!
六属性の魔法の弾丸を試したエルがふらつく。
「……き、気持ちわるい」
魔力が涸渇して辛そうだ。
「だからエルには、まだ無理だって。魔法系の職業レベルを上げて、魔力量を増やしてからじゃないと、6発撃つと倒れるよ」
「う~~、カイトおんぶして~」
もたれ掛かるエルを抱き止める。
「はい、はい」
エルをおんぶして、ノトスの街に帰る。
「エルは魔法使いのレベル上げを早急にしなきゃいけないね。このままだと魔導銃を数発撃てば、魔力切れになっちゃうようじゃ、万が一の時に魔導銃が使えなくて危ないから」
「う~、分かってるわよ~。明日、レベル上げを兼ねて依頼を受けるから、カイトも手伝ってくれるよね」
「いっその事、深淵の森の外縁部でレベル上げをするかい?魔物が強いから、一気にレベルもスキルも成長するよ」
「無理無理無理無理、絶対無理よ!」
あれ?エルと初めて会ったの、深淵の森を出た所だったよな。
「いや、エルを助けたの、深淵の森の外縁部だったじゃない。4人パーティーで森に入るつもりだったんじゃないの?」
エルが背中でブンブンと首を横に振っている。
「森に入る訳ないじゃない!森から時々出て来る弱った魔物を待ち伏せするのよ!」
なんと言うか、気の長い話だな。
「じゃあ今日の草原に居た、弱い魔物で馴らしてからにする?」
「えっ!側に魔物が居たの!」
気配察知スキルもないのか。
「うーん、気配察知は後回しにして、魔力感知を取得しようか。まあ、今の装備だとあの草原に居る魔物程度じゃ、かすり傷もつける事は出来ないと思うけど」
ノトスの南に広がる草原には、一角兎や狼系の魔物、後はゴブリンくらいしか居ない。
狼系の魔物とゴブリンは群れるので、その辺りだけ注意しておけばいい。
「じゃあ明日お願いね」
恥ずかしがるエルをおんぶしたまま、門をくぐり家へ帰った。
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