異世界立志伝

小狐丸

文字の大きさ
14 / 163

パワーレベリング

しおりを挟む
 魔導銃の試し撃ちをした次の日、朝一で冒険者ギルドへ向かった。

 ギルドに入ると、受付のアンさんが手招きしてる。

「アンさん、おはようございます」
「おはようございますカイトさん、エルレインさん」

 アンさんの受付に行くと、素材売却の残金を出してきた。

「魔物素材の買い取り額の残りです。解体費用などの経費は引かせてもらっていますが、どの素材も状態が良いので、商業ギルドや職人ギルドでも高値がつきました」

 アンさんが差し出した袋の中には、白金貨300枚が入っていた。
 前の分と合わせて40億円か、凄い額だな。

「それとカイトさんとエルレインさんの、ギルドランクを上げたいのですが、カイトさんがDランク。エルレインさんはFランクになります」

 依頼を一つも受けていない筈の、俺のランクが上がった。

「えっと、僕はまだ依頼を一つも受けていないですよ」
「納品依頼の素材もありましたから問題ありません。むしろワイバーンや地竜を倒せる人がGランクではギルドとして問題になります。
 Cランクからは試験があるので、一度に上げれるのはDランクまでしか上げれないのですが、本来ならカイトさんは、Aランクでもおかしくありません」

 さすがにAランクはないだろうと、俺は思っていた。力が制限されたドルファレス師匠相手に、やっとこさ引き分けが精一杯だったのだから。

 でもこの時の俺は知らなかった。ドルファレス師匠が、冒険者ギルドのランクで測るなら、生前でSランク。死後、魔物となった師匠は魔物ランクSSの魔物で、精霊女王様の領域で力が制限された状態でも、Sランクの魔物だった事を。



「カイトさんとエルレインさんは、パーティー登録しますか?パーティー登録すると、エルレインさんもDランクの依頼が受けれますが」
「じゃあパーティー登録します」

 ギルドカードを更新して、エルと依頼を貼り付けてある掲示板を見に行く。

「どれにしようか?」
「一角兎の肉の納品依頼があるわ。あとメドウウルフの討伐依頼があるわね」

 一角兎が肉で、メドウウルフが毛皮か、確か南側の草原地帯に居たな。

「あとマッドボアの肉の納品依頼があるわね。この三つで良いんじゃない」

 そうだな、あとはゴブリンは常時依頼で、ランクも関係ないから、見つけたら狩るか。

「わかった。その三件を受けよう」

 受付で三件の依頼書をアンさんに渡す。

「この三件を受けようと思います」
「一角兎の肉は三匹分で1セットです。メドウウルフとマッドボアは、一匹毎の依頼となります。ではこの三件を受理しました」





 ノトスの南門から出て、歩いて二時間の場所に俺達は居た。一角兎だけなら、もう少し近場でも狩れたと思うけど、マッドボアを狩るために少し街から離れた。

 探索の魔法を広範囲に使う。探索の魔法は何種類か創ったが、今回は、無属性の魔力を使った探索魔法を使った。
 直ぐに一角兎が近くに、結構な数が居る事を掴む。その中の近い場所にいる個体に近づく。

「エル、俺が拘束するから、魔導銃で留めをさして」

 気配を消して、目視出来る距離まで接近すると、拘束する為の魔法を発動する。

「アースバインド」

 地面から飛び出した土の鎖が、中型犬程の大きさの一角兎を拘束する。

「エル、近づいてよく狙って撃って」
「うん、わかった」

 エルが一角兎に近づいて、魔導銃を構え狙いをつけて、引き金を引く。

 バシュ!

 氷の礫が高速で回転しながら一角兎を捉えると、一撃で斃す。

「あっ!身体が熱くなった。レベルが上がったわ」

 今のでレベルが上がったみたいだ。

「よし!この調子でどんどんいこう」


 この日は、エルの魔法使いジョブを重点的に上げる予定だった。

 直ぐにもう一匹を拘束して、エルに留めを任せる。

 ここで直ぐにアイテムボックスに入れずに、首筋をナイフで切り血抜きをする。

「カイト、血抜きするなら穴を掘ってしないと、血の匂いで魔物が寄って来るわよ」
「呼んでるんだから良いんだよ」

 血の匂いで、探索で少し距離が離れていたメドウウルフを呼び寄せる作戦だ。確か狼の嗅覚は凄かった筈だ。



 血抜きした一角兎を収納すると、気配察知にメドウウルフらしき魔物のがひっかかる。

「エル、多分メドウウルフだと思うけど魔物が六匹近づいて来る」

 メドウウルフは、俺達を囲むように左右に別れる。俺は一番近い個体をアースバインドで拘束する。

 ギャン! ギャン! ガァウ!

 続けて三匹拘束すると、背後から一匹が跳び掛かって来る。それを俺は鉄槌打ちで頭を上から叩きつける。

 ギャン!

 最後に残った一匹もアースバインドで拘束すると、五匹のメドウウルフが地面から伸びた鎖に囚われた。

 それをエルが四匹を魔導銃で、ジョブを戦士に替えて、ショートソードで二匹の留めをさす。

 エルが留めをさしたメドウウルフは、アイテムボックスに放り込む。

「さて、一角兎を狩りながら、マッドボアを探そうか」


 夕方になる前にマッドボアを狩る事が出来た俺とエルは、ノトスの街に戻ることにした。


 NAME エルレイン・フォン・バスターク 人族(1/4エルフ)

 AGE 15
 JOB 魔法使いLv.10  
 HP  220/220
 MP  360/360

 JOB 戦士Lv.10 魔法使いLv.10


 魔法使いジョブのレベルが上がり、魔力量が増えて、魔導銃も30発以上撃てるようになった。
 これで明日からのレベリングが捗るだろう。

 冒険者ギルドで依頼分の一角兎とメドウウルフ、マッドボアを納品して家に戻る。

 DランクやCランクの依頼料を貰っても、感動がなくなってしまった。初めての依頼だったのに、既に俺のアイテムボックスに、白金貨が300枚以上入っているから仕方ないよね。

「一日で魔法使いジョブが10も上がるなんて、夢を見ているみたい」

 エルは一日でレベルが、大幅に上がったので上機嫌だ。

「今日は大量に狩ったからね」
「しかもカイトがバインドで拘束してくれるから、危なくないし楽だったわ」
「取り敢えず、戦士ジョブと魔法使いジョブをカンストするまで鍛えようか。そこから狩人ジョブと盗賊ジョブを鍛えて、気配察知スキルとかは覚えた方が良いよ。そのあと魔導士になっても良いし」
「うん、分かった。明日からもお願いね」

 家への道を歩きながら、明日からの訓練メニューを考える。体術や剣術と魔力操作の訓練は、翌朝からは一緒に始める事を決めた。

 手を繋ぎ二人でブラブラしながら家に帰った、

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

処理中です...