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王都で陞爵と叙勲を受けた俺は、ひとまずノトスの家に帰ることにした。
「カイトさん、今までのご指導ありがとうございました」
見送りに来てくれたクリストフ君が、俺に感謝を伝えてくる。
「短い間だったけど楽しかったよ。バスターク領に帰っても頑張ってね」
クリストフ君の手を取り握手する。
「何時でも遊びに来てね。あなたはもう私の義息子なんなから」
レイラさんも見送りに来てくれた。
「未開地の開発が進んだら、ぜひ遊びに来て下さい」
「楽しみにしてるわ」
「カイト様、先ずは領都となる場所まで、街道を整備して頂けますか。毒蛇王の森を抜ける街道の安全が確保出来れば、バスターク辺境伯領から文官を向かわせる予定ですので」
フレデリックさんが、街道の整備と安全確保を第一に進めるように言ってきた。
「分かりました。文官は助かります。自分ではツテもないので」
「武官も必要でしょうが、信頼できる若い人員を見繕って置きます。
そのタイミングで、移住希望者の選定と移送をバスターク辺境伯で請け負いますので」
「そうね、カイト君はウチの寄子になるのだし。サポートはするわよ」
バスターク辺境伯の寄子になる事は決定しているみたいだ。王城で物凄い目で睨まれていたんだけどな。
「人を集めなきゃいけませんね」
武官も文官も男爵領となれば、それなりの人数が必要ななる。
俺としては頭の痛い話だった。
「取り敢えずノトスに帰って人を探して見ます。今日はわざわざ見送りありがとうございました。またお会い出来る日までお元気で」
俺達は、レイラさん達に別れを告げ、ノトスへと帰って行った。
「あ~、やっぱり自分の家は落ち着くな~」
リビングのソファーにドカっと座り込み、皆んなとお茶を飲みながらまったりとする。
「でも人集めは早急に対応しなきゃね」
エルの言うことに皆んなが頷く。
そこでイリアが手を挙げる。
「あの、マドゥークの街で奴隷を買うのはどうでしょう」
「コレットもマドゥークならローラシア王国と近いので、同胞を救う意味でもありかと思います」
イリアとコレットの奴隷と言うのは、多分獣人族の事だろう。
「なら、いっその事ローラシア王国の街まで足を延ばすか?イリア達にはマドゥークで待ってて貰ってれば良いのだし」
「そうね、私とカイトでローラシア王国の街で人材として奴隷を買うのはありね」
「あゝ、獣人族に拘らず、良い人材を確保する為に手っ取り早いかもな」
俺とエルがそう言うと、イリアとコレットも頷いた。
「獣人族でも悪い人は居るので、その辺りの見極めはカイト様とエル様にお任せします」
イリアの言う事はもっともだろう。種族じゃなく人物を見極めないといけない。
「じゃあ、2、3日休んだらマドゥークへ行こう」
ノトスで3日の完全休養後、俺達はマドゥークへ向かった。
ルキナには、父親と死に別れた辛い記憶のある街の筈だが、当時のルキナはほぼ意識がない程衰弱していたので、マドゥークに嫌な思い出はないみたいだ。
俺達は車に乗り込みマドゥークへ向かった。
「じゃあイリア達はこのホテルで待っててね。一応お金を渡しておくから、買い物に出掛けても良いから」
イリアに金貨10枚渡す。
「こんな大金困ります」
イリアが困惑するが、強引に受け取らせる。
「それで好きな物を買って良いから」
お金の単位は、シェルで、
1シェル=鉄貨1枚が10円位の感覚だ。
貨幣は、鉄貨・銅貨・銀貨・銀板・金貨・金板・白金貨と十進法でわかり易い。
「ルキナ、お母さんに好きな物を買って貰いな」
「うん!カイトおにいちゃんありがとう」
ルキナが白いウサギ耳をピクピクさせながら、俺の腰にしがみついてくる。
あゝ、子供は素直で良いな。ルキナの可愛さに癒される。
俺とエルとアンナさんは、国境を越えてローラシア王国の中でも比較的大きな街、バドックへ来ていた。
「街は綺麗だけど、なんか気分悪いな」
「我慢よカイト」
ローラシア王国の街、バドックは街の規模も大きく、人口も多い。
だけど俺の顔が険しくなるのは仕方ない。
人口の大半は人族だが、獣人族やエルフにドワーフも存在する。存在するのだが、そのほとんどが奴隷としてだ。
「帝国みたいに、亜人族全員を問答無用に奴隷にする国に比べればましだけど」
「大して変わらないよ」
サーメイヤ王国にも奴隷は居る。借金で奴隷に落ちた者も普通に存在する。
ただ、サーメイヤでは奴隷でも人間らしい生活を送る権利がある。そしてちゃんと労働に対する対価を得て、自分を買い戻す事が可能だ。
だけど、ローラシア王国の奴隷にはそこまでの権利を与えられていない。それは街を歩く奴隷達が、ボロ切れ同然の服しか、与えられていないのを見れば、想像するに容易かった。
「カイト、先ずは奴隷商へ行きましょう」
「そうだね、偽善だけど俺達の手の届く範囲だけでも救えれば良いか……」
俺達は道を聞いて、奴隷商へ向かった。
「カイトさん、今までのご指導ありがとうございました」
見送りに来てくれたクリストフ君が、俺に感謝を伝えてくる。
「短い間だったけど楽しかったよ。バスターク領に帰っても頑張ってね」
クリストフ君の手を取り握手する。
「何時でも遊びに来てね。あなたはもう私の義息子なんなから」
レイラさんも見送りに来てくれた。
「未開地の開発が進んだら、ぜひ遊びに来て下さい」
「楽しみにしてるわ」
「カイト様、先ずは領都となる場所まで、街道を整備して頂けますか。毒蛇王の森を抜ける街道の安全が確保出来れば、バスターク辺境伯領から文官を向かわせる予定ですので」
フレデリックさんが、街道の整備と安全確保を第一に進めるように言ってきた。
「分かりました。文官は助かります。自分ではツテもないので」
「武官も必要でしょうが、信頼できる若い人員を見繕って置きます。
そのタイミングで、移住希望者の選定と移送をバスターク辺境伯で請け負いますので」
「そうね、カイト君はウチの寄子になるのだし。サポートはするわよ」
バスターク辺境伯の寄子になる事は決定しているみたいだ。王城で物凄い目で睨まれていたんだけどな。
「人を集めなきゃいけませんね」
武官も文官も男爵領となれば、それなりの人数が必要ななる。
俺としては頭の痛い話だった。
「取り敢えずノトスに帰って人を探して見ます。今日はわざわざ見送りありがとうございました。またお会い出来る日までお元気で」
俺達は、レイラさん達に別れを告げ、ノトスへと帰って行った。
「あ~、やっぱり自分の家は落ち着くな~」
リビングのソファーにドカっと座り込み、皆んなとお茶を飲みながらまったりとする。
「でも人集めは早急に対応しなきゃね」
エルの言うことに皆んなが頷く。
そこでイリアが手を挙げる。
「あの、マドゥークの街で奴隷を買うのはどうでしょう」
「コレットもマドゥークならローラシア王国と近いので、同胞を救う意味でもありかと思います」
イリアとコレットの奴隷と言うのは、多分獣人族の事だろう。
「なら、いっその事ローラシア王国の街まで足を延ばすか?イリア達にはマドゥークで待ってて貰ってれば良いのだし」
「そうね、私とカイトでローラシア王国の街で人材として奴隷を買うのはありね」
「あゝ、獣人族に拘らず、良い人材を確保する為に手っ取り早いかもな」
俺とエルがそう言うと、イリアとコレットも頷いた。
「獣人族でも悪い人は居るので、その辺りの見極めはカイト様とエル様にお任せします」
イリアの言う事はもっともだろう。種族じゃなく人物を見極めないといけない。
「じゃあ、2、3日休んだらマドゥークへ行こう」
ノトスで3日の完全休養後、俺達はマドゥークへ向かった。
ルキナには、父親と死に別れた辛い記憶のある街の筈だが、当時のルキナはほぼ意識がない程衰弱していたので、マドゥークに嫌な思い出はないみたいだ。
俺達は車に乗り込みマドゥークへ向かった。
「じゃあイリア達はこのホテルで待っててね。一応お金を渡しておくから、買い物に出掛けても良いから」
イリアに金貨10枚渡す。
「こんな大金困ります」
イリアが困惑するが、強引に受け取らせる。
「それで好きな物を買って良いから」
お金の単位は、シェルで、
1シェル=鉄貨1枚が10円位の感覚だ。
貨幣は、鉄貨・銅貨・銀貨・銀板・金貨・金板・白金貨と十進法でわかり易い。
「ルキナ、お母さんに好きな物を買って貰いな」
「うん!カイトおにいちゃんありがとう」
ルキナが白いウサギ耳をピクピクさせながら、俺の腰にしがみついてくる。
あゝ、子供は素直で良いな。ルキナの可愛さに癒される。
俺とエルとアンナさんは、国境を越えてローラシア王国の中でも比較的大きな街、バドックへ来ていた。
「街は綺麗だけど、なんか気分悪いな」
「我慢よカイト」
ローラシア王国の街、バドックは街の規模も大きく、人口も多い。
だけど俺の顔が険しくなるのは仕方ない。
人口の大半は人族だが、獣人族やエルフにドワーフも存在する。存在するのだが、そのほとんどが奴隷としてだ。
「帝国みたいに、亜人族全員を問答無用に奴隷にする国に比べればましだけど」
「大して変わらないよ」
サーメイヤ王国にも奴隷は居る。借金で奴隷に落ちた者も普通に存在する。
ただ、サーメイヤでは奴隷でも人間らしい生活を送る権利がある。そしてちゃんと労働に対する対価を得て、自分を買い戻す事が可能だ。
だけど、ローラシア王国の奴隷にはそこまでの権利を与えられていない。それは街を歩く奴隷達が、ボロ切れ同然の服しか、与えられていないのを見れば、想像するに容易かった。
「カイト、先ずは奴隷商へ行きましょう」
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俺達は道を聞いて、奴隷商へ向かった。
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