異世界立志伝

小狐丸

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オウカを強化

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 獣人族の中でも幻獣種麒麟と言う希少種族のオウカは、エピル達との魔物狩りを含めた訓練を受けて、その実力は確実に伸ばしていた。

「カイト様、私にもっと力をください」

 日々の訓練を頑張っているオウカが、俺に頭を下げて懇願してきた。

「どうさたの?」

 今のままでも順調に成長していると思っていた俺は、何か理由があるのか聞いてみた。

「私もイリアさんと同じように、カイト様の従者として常にお側に置いて欲しいのです」

 オウカには棍を造ってあげたけど、俺と共に戦える力が欲しいという事か。

「分かった、少し考えてみるよ」

 もともと魔物の領域で暮らせる実力のあったエピル達と違い、オウカは少し焦っているのかもしれない。周りが皆んな自分よりも遥かに実力者というのは、負けず嫌いのオウカには辛かったんだろう。

 オウカは引き続きエピル達やフーガ達と共に訓練に出掛けた。




 工房の椅子に座って考えてみる。
 オウカは、幻獣種の麒麟族だけあって、獣人族には珍しく魔力量が多い。ただ、攻撃魔法よりも支援系の魔法を得意としている。

「近接戦闘よりも、遠距離からの砲台になった方が活躍出来るかな」

 ウチに来てからの訓練で、近接戦闘もだいぶ板についてきたが、やっぱりそこはユーファンやイリアにはなかなか追い付けない。
 ナチュラルボーン魔法使いのルシエルにも魔法で並ぶのは難しい。回復魔法もコレットレベルに成るには時間がかかるだろう。

「やっぱり魔導銃かな~」

 俺とエル、ルキナが使う魔導銃を造るか……。

 ただ、普通の魔導銃では強化と言うには弱いかもしれない。

 突撃銃にするか、それともガトリングガンにするか、悩むところだな。

「よし!」

 机に向かい図面を描き始める。

 六本のバレルが回転して法撃を連続して放つガトリングガン。
 回転機構が難しいのと、オウカの魔力だけを使うか、補助的に魔力タンクを用意するか、要検討だな。

 バレル部分、回転機構、術式発動部分を合わせて、全長が1メートル20センチくらいに収めたい。



「何か新しいモノを造るでありますか?」

 机に向かっているとスーラが俺の工房へ覗きにきた。
 スーラは自分の工房を持っているが、時々俺の工房へ来て、お互いの工房を行き来して、意見を交換したりしている。

「あゝ、オウカ用に専用武器を頼まれてね」

「魔導銃なのですか?」

 スーラが図面を覗いてくる。

「連発式の魔導銃だな」

「かなり大きいでありますな」

「バレル自体は俺やエルの魔導銃のバレルと、そんなに長さは変わらないんだけど、回転機構と魔力タンクの分が大きくなるな」

「魔力タンクはカートリッジ式にして、交換出来る用にした方が良いのです」

 俺はスーラと相談して図面を詰めていく。

「重量軽減のエンチャントは、最小限にした方が良いだろうな」

「そうでありますな、軽過ぎると狙いがバラけるであります」

 最終的に、六本のバレルが回転して毎分2000発の法撃を放つ。全長は1メートルで、魔力タンクをカートリッジ式にして、継戦能力を高めた。

「毎分2000発以上も可能だけど、魔力タンクが保たないな」

「そうでありますな。
 それでもマジックバッグにカートリッジを大量に持ち歩かないとダメかもしれないのです」

「属性の切り替えも一応付けておくか」

「スーラがバレルとカートリッジを担当するであります」

「助かる、じゃあ俺は残りを造るよ」

 スーラはサラサラと自分が担当する部分の図面を描いていく。

「では、三日もあれば出来るであります」

 そう言って自分の工房へ戻って行った。




 三日後、スーラが造ったバレルとカートリッジを組み込み、エンチャントを施して動作確認をする。

「試し撃ちだけど、一緒に行くかスーラ?」

「是非、お願いするであります」

 スーラと連れだって、周りに何もない草原へ転移する。

「先ずは単発モードだな」

 ダンッ、ダンッ、ダンッ!

 魔力の法撃が飛び、遠くに見える岩を削る。

「威力と照準は問題無いな。
 じゃあ次はガトリングモードだ」

 同じ遠くに見える岩を狙ってトリガーを引く。

 ドガガガガガガガッーーー!!

 カートリッジを撃ち切り、法撃が止んだその後には、大きな岩の姿は消えていた。

「こ、これは凄いでありますな」

「あゝ、カートリッジの燃費が悪いけど、威力はハンパないな」

 オウカには取り扱いを間違えないよう、くどい程説明した。

 うん、やり過ぎた。




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