異世界立志伝

小狐丸

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溢れる魔物

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 ドラーク伯爵領の国境付近にズラリと並んだ兵士達。
 ランカスとバルデス率いるゴーレム馬に跨った騎馬部隊。
 ボーデン率いる歩兵部隊。
 スーラが製造したゴーレム兵。
 装甲軍用車両に搭乗したエルとルキナ。

 そしてブリッツに俺が乗りルシエルが俺の後ろに同乗する。ラヴィーネにはイリアとオウカが乗っている。
 騎兵の後ろには、エピルやフィーネ、フーガ達が居た。


 断続的に避難してくるゴンドワナ帝国の国民を保護しながら、遠くに見えて来た土煙を見ていた。

「1,000や2,000じゃすまないな」

「そうですね。5,000以上はいそうですね」

 俺の呟いた独り言に、ルシエルが返答する。

 スタンピードの報告があってから、バスターク辺境伯と連絡をとり急いで軍を動かした。

 やがて魔物の種類が目視出来る距離までに近付いて来た。
 第一陣は、足の速い狼や飛行する魔物が多い。その奥にゴブリンやオーク、オーガが続き、トロールやサイクロプスなどの足の遅い魔物が続く。

「上位種が随分とまじってるな」

「法撃の合図をお願いします」

 ルシエルが杖をかまえている。騎士団の魔法師部隊も準備は出来ているようだ。

「放てーーーー!!」

 俺の号令と共に、魔物の群れに法撃の嵐が吹き荒れる。

 俺とルシエルから広範囲殲滅魔法が放たれ、エルとルキナが車両から法撃を繰り返し、魔法師部隊も法撃を続けて放つ。スーラが造った遠距離タイプのゴーレムが法撃を放つ。

 大地の形が変わるかと思われる程の攻撃が続き、轟音がその場を支配する。

 法撃の音が消え、土煙が鎮まった後には、多くの魔物が屍を晒していた。
 魔物の第一陣がほぼ壊滅したその後に、第二陣ともいえるオークやオーガ、劣化竜などが姿を見せ始めた。
 魔物は第一陣が壊滅した後も逃げることなく、屍を踏み越えて前進して来る。

「エル、魔法師部隊は左右に分かれて法撃!」

 エルと魔法師部隊が左右に分かれて行く。

「ランカス!バルデス!俺と突撃するぞ!
 ボーデンも歩兵と前進!
 エピル!フィーネ!フーガ達は抜けて来た魔物を頼む!」

 俺はブリッツで走りだす。
 ランカスとバルデスが率いる騎士団の騎馬部隊がそれに続く。

 国境線をスーラのゴーレムが守り、歩兵の一部が抜けて来た魔物に備えている。それをエピルとフーガが指揮をとり、フィーネが空中からサポートする。



 バルディッシュを取り出し片っ端から葬っていく。ルシエルが俺に抱きつきながら様々な法撃をばら撒く。
 イリアが魔導銃を放ち、オウカがガトリングをブッ放す。

 魔物達は、ブリッツの角にかかり、俺のバルディッシュから一閃され、ルシエルからの魔法にさらされ、イリアとオウカの魔導銃とガトリングガンで葬られていく。

 そこに続くランカスやバルデスと騎士団が魔物の群れに穴を開けていく。

 そこにボーデン率いる歩兵部隊が穴をさらに広げていく。



「反転するぞ!」

 俺は魔物の群れが薄くなった場所まで抜けると、反転して再び突撃を繰り返す。

 エル達からの法撃の邪魔にならないように気を付けながら、魔物の密度の高い場所を探して突撃を繰り返す。

 その頃になると国境線を守る最終防衛ラインでも戦闘が始まっていたが、スーラのゴーレムやエピルとフーガが率いる部隊も活躍しているようで、混乱は見られない。



「カイト様、魔物の大半を殲滅しましたが、少数が逃げ出しているようです。いかが致しますか?」

 ランカスが俺に馬を寄せて来て指示を仰ぐ。

「ランカスの部隊とバルデスの部隊は残敵の掃討に移れ。ただここは帝国領だ、そこだけは気を付けながら掃討に移ってくれ」

「「はっ!」」

 ランカスとバルデスがそれぞれ部隊をまとめて、魔物の掃討戦に移る。

 俺はエル達の方へ狩りもれた魔物を仕留めながら戻る。

 戦端が開かれてから半日、歩兵部隊による魔物の死骸処理を始める。

 フーガにはスタンピードの原因究明を頼んで、この日はこの場で野営する事にした。

 俺達は負傷者こそそれなりの数だしたが、幸いにも死者はでなかった。
 ただ、調査を行い、全貌が明らかになるにつれ、その被害の大きさを知る事になる。




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