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22 集う妖
天文二十二年(1553年)十一月
今世に生まれた当時「現世(うつしよ)と隠り世(かくりよ)の境が曖昧だった平安の世とは違い、今は隠り世の気配は感じない」なんて思っていたんだけど、それは少し違っていると分かったのは比較的早かった。
神仏や妖と人の距離は、平安の昔と比べると遠いのだが、超常の存在自体には早い段階で出会っていた。
その代表格が、鞍馬山で俺達に「氣」の運用や武術の根幹をなす呼吸法や歩法を授けてくれた僧正坊様の正体は大天狗だった。
昭和、平成を生きた現代人の感覚なら「何を馬鹿な事を」と思うだろうが、自身が酒呑童子だった俺にとって、魑魅魍魎は身近なモノだからそこに特別驚きはない。
何せ、鞍馬山僧正坊だけじゃなく、愛宕山太郎坊にまで修行をつけてもらったんだから。
ただ、その割に鬼には出会わない。それが餓鬼の様な取るに足らないモノすら見ないんだ。
あれは初めての鞍馬山での修行から二年後の話、一度どうしても気になって僧正坊様に聞いてみたんだ。
「ああ、鬼供か、奴等はお前や茨木童子が退治されてから引き篭もっておるわ」
「そういう事ですか」
俺が酒呑童子だった頃の眷属達がどうなったのか、気にならないと言えば嘘になる。だけど、今更人間の俺と鬼とは相容れないからこれでいいのかもしれないな。
「じゃが源四郎の周りには面白き奴等が集まって来るのう。これも因縁か……」
「面白き奴等ですか?」
「ふむ、お主も気付いていよう、岩正坊と楓とか言う娘の事じゃ」
「……やっぱり虎慶の前世は鬼ですか」
「ふむ、源四郎の想像していた通り、茨木童子じゃろうな。その身に宿す「氣」の大きさと、あの懐き方を見れば間違いなかろう」
「それは何となく感じていました。本人は前世の記憶は無いようですが」
「お主のように、前世の記憶を残している方が珍しいんじゃ」
成る程と頷いていたが、僧正坊様の話の中に楓の名が出てきた事を思い出す。
「楓も何かの生まれ変わりなんですか?」
「ふむ、楓は鬼を退治した方の側じゃな。鈴鹿御前を知っていよう」
「なっ! 楓の前世は鈴鹿御前でしたか……」
何とも皮肉な話である。日本三大妖怪の一角である大嶽丸を討伐する助けとなった鈴鹿御前の生まれ変わりだとは。
楓の非凡さの理由が分かってスッキリした反面、嘗て鬼を退治した側の人間に、現世で親愛の情を向けられている前世が鬼の王の自分。少し複雑な気分だった。
『なにボォ~としてるんだ主人よ』
(うん、ああ、お前と出会った昔の事を思い出していたんだよ)
昔の事を思い出していたら、頭の中に話しかけられる。所謂念話というやつだ。
そしてその話しかけてきたのは、現在進行形で俺を乗せている青毛の巨大な馬だ。
僧正坊様や太郎坊様が言っていた。
俺という特異点に、良かれ悪かれ色々なモノが集まるさだめだと。
この漆黒の巨大な馬体を誇る名を「黒影」と付けられた馬。当然、普通の馬ではない。
僧正坊様や太郎坊様から言われた後、直ぐに出会った元大妖だ。
しかも日本の妖じゃないと言う。
本人……馬だから本馬か、どうでもいいか、本人曰く中華の大陸では、四凶の一角「饕餮」だったらしい。
饕餮の頃の膨大な妖気は今は無いが、俺と同じように馬の範疇を超えた力と耐久力。そして多少の怪我や傷など瞬く間に治る半妖に近い存在が黒影だ。
黒影曰く、大陸でも妖の現状は日ノ本と変わらず、殆どの妖や神仙は人との関わりを絶って存在していたらしい。
『俺もまさか日ノ本で馬になってるなんて思ってもいなかったさ』
(だろうな。俺も三度人間として生まれ変われるなんて思ってもなかった気からな)
『主人は最初は鬼だったんじゃないのか?』
(鬼になる前は、普通……じゃなかったが、まだ人だったんだよ)
黒影の前世、饕餮だった頃なら、その膨大な妖力で様々なモノに変幻自在に姿を変える事が出来たそうだ。
しかしお前が逢いに来てくれて良かったよ。
『ああ、妖気は感じなかったが、膨大な力の塊を感じたからな。気になって見に来りゃ俺と同じ様な存在だと気がついたさ。まぁ、俺は馬だけどな』
(それこそ俺にとっては幸運な出会いさ。黒影なら鎧兜を着込んだ虎慶を楽々乗せて疾れるだろう)
『やだよ虎慶なんか乗せるのは。重さは平気だけどあいつは馬術が下手過ぎる』
黒影が俺の「氣」に誘われて出会えた事で一番幸運だったのは、この時代には大きくなり過ぎた俺や六郎、大之丞、慶次郎達が乗る馬を得れた事だ。
それまで、地道に優秀で大きな個体を掛け合わせる事で解消しようとしていた俺達の馬問題が、黒影のお陰で解決できた。
体高が五尺四寸五分(約165.15cm)の黒影は、この時代の日ノ本の馬としては巨体と言っていい。
力と持久力に優れ、駆ける速さも普通の馬と比べ次元の違う速度で疾走する。
馬体のバランスは、在来の日本馬に近いが、その能力は別物だった。
嘗て四凶と呼ばれた大妖「饕餮」の力は、その身が馬として生まれ変わったとしても、その存在は強大だった。
お前の息子や娘達も長生きするんだろう?
『ああ、俺ほどじゃないと思うが、普通の馬の寿命ではないな。十五年は現役で働けるぞ』
(お前に至っては、俺と同じくらい長生きするんだろう?)
『いや、お前はもう人の域を超えてるからな。同じだけと言われると俺も分からんな』
この時代の平均を大きく上回る体躯を誇る、俺や慶次郎の巨体を乗せてもバテる事なく戦場を駆ける事が出来る馬を造る試みは、黒影というイレギュラーのお陰で解決する。
黒影と俺達が集めた優秀な牝馬との間に生まれた子供達も、黒影程ではないが馬の常識を超えた存在だった。
毛色は母親によって黒影のように青毛だったり青鹿毛だったり鹿毛だったりと様々だが、その能力はどの子供も馬の域を超えていた。
チラリと背後を見ると、慶次郎が「松風」と名付けた黒影の子に機嫌良さげに乗っている。
松風は、黒影と良く似た青鹿毛で、馬体も黒影に良く似ている。気性が激しい子だったけど、慶次郎が一目惚れして是非とも乗馬にしたいと願った。
まあ、松風に認められるまで時間はかかったが、今では人馬一体と言っても過言じゃない程乗りこなしている。
俺に轡を並べるのは、六郎と大之丞、後ろの慶次郎の横に虎慶が居る。
今日は、領内の視察と序でに治安維持の為の巡回だ。
『しかし主人の周りには、元妖ばかりじゃなく現役の妖まで居るじゃないか』
黒影が念話でそう言うとバサバサと羽音を立て、俺の肩に一羽の大鷹が止まった。
『私も現役じゃないよ。変化も出来なくなったし、強い雷もあまり出せなくなったんだから』
(変化出来るじゃないか。雀や鴉にも化けれるだろう)
『そんなの変化のうちに入らないんだよ』
(まあ翡翠も一度退治されてるからな)
肩に乗る大鷹と念話とはいえ会話できるのは、この翡翠と名乗る大鷹が妖だからだ。
今では随分と力を失ったものの、俺との付き合いは長く、元は平安の都で暴れていた大妖怪「鵺」だった。
『酒呑童子みたいに、退治されて人間に生まれ変わった訳じゃないから、まだマシだけどね』
(うるさい。酒呑童子って呼ぶな)
虎慶や楓はまだしも、黒影といい翡翠といい、どうして妖や元妖が俺の元に集まるんだろう。
俺がそう考えていたその時、前方の村の方で悪意を察知した。
「殿、某が蹴散らして来ます!」
慶次郎がそう言って松風を駆り文字通り風のように疾る。
右手に三日月斧槍を持ち、一直線に迷いなく駆ける。
俺達は、僧正坊様や太郎坊様から「氣」の運用を授けられた。
それは仙術とも呼ばれる技。
それにより気配を感じ取るだけじゃなく、その気配の悪意まで感じる事が出来た。
その俺達が察知した悪意は、北伊勢から流れて来た野盗の類いだ。
戦さ場から逃げ出した雑兵や足軽の成れの果てだ。
慶次郎の三日月斧槍が唸りを上げ、野盗を両断する。そこに置いてかれるものかと六郎が追撃して野盗を蹴散らす。
『野盗も災難だな。伊勢に来なけりゃ死なずに済んだのに』
『黒影の子達は身体がデカイからな。あんなのに突撃されたら怖いよ』
(怖いで済まないがな)
野盗はあっという間に討伐され、慶次郎と六郎が戻って来た。
「後始末は村の者に銭を渡して頼んでおきました」
「ご苦労、一周りして帰ろうか」
「「「はっ」」」
死体を埋葬する事は徹底させている。疫病の元になると説明して領内の者には浸透してきたと思う。
京の都では、辻々に死体が打ち捨てられ野晒しにされていると聞く。
大樹と管領細川氏とその部下の筈の三好氏で泥沼の権力闘争を畿内で繰り広げている。
もう足利幕府は倒すべきかもしれない。
俺は黒影を駆けさせる。
大之丞や六郎達が後に続く。
黒影とその子供達が俺達を乗せ風になる。
翡翠が俺達の頭上を飛んでいる。
早く帰らないと虎慶が五月蝿いからな。
今世に生まれた当時「現世(うつしよ)と隠り世(かくりよ)の境が曖昧だった平安の世とは違い、今は隠り世の気配は感じない」なんて思っていたんだけど、それは少し違っていると分かったのは比較的早かった。
神仏や妖と人の距離は、平安の昔と比べると遠いのだが、超常の存在自体には早い段階で出会っていた。
その代表格が、鞍馬山で俺達に「氣」の運用や武術の根幹をなす呼吸法や歩法を授けてくれた僧正坊様の正体は大天狗だった。
昭和、平成を生きた現代人の感覚なら「何を馬鹿な事を」と思うだろうが、自身が酒呑童子だった俺にとって、魑魅魍魎は身近なモノだからそこに特別驚きはない。
何せ、鞍馬山僧正坊だけじゃなく、愛宕山太郎坊にまで修行をつけてもらったんだから。
ただ、その割に鬼には出会わない。それが餓鬼の様な取るに足らないモノすら見ないんだ。
あれは初めての鞍馬山での修行から二年後の話、一度どうしても気になって僧正坊様に聞いてみたんだ。
「ああ、鬼供か、奴等はお前や茨木童子が退治されてから引き篭もっておるわ」
「そういう事ですか」
俺が酒呑童子だった頃の眷属達がどうなったのか、気にならないと言えば嘘になる。だけど、今更人間の俺と鬼とは相容れないからこれでいいのかもしれないな。
「じゃが源四郎の周りには面白き奴等が集まって来るのう。これも因縁か……」
「面白き奴等ですか?」
「ふむ、お主も気付いていよう、岩正坊と楓とか言う娘の事じゃ」
「……やっぱり虎慶の前世は鬼ですか」
「ふむ、源四郎の想像していた通り、茨木童子じゃろうな。その身に宿す「氣」の大きさと、あの懐き方を見れば間違いなかろう」
「それは何となく感じていました。本人は前世の記憶は無いようですが」
「お主のように、前世の記憶を残している方が珍しいんじゃ」
成る程と頷いていたが、僧正坊様の話の中に楓の名が出てきた事を思い出す。
「楓も何かの生まれ変わりなんですか?」
「ふむ、楓は鬼を退治した方の側じゃな。鈴鹿御前を知っていよう」
「なっ! 楓の前世は鈴鹿御前でしたか……」
何とも皮肉な話である。日本三大妖怪の一角である大嶽丸を討伐する助けとなった鈴鹿御前の生まれ変わりだとは。
楓の非凡さの理由が分かってスッキリした反面、嘗て鬼を退治した側の人間に、現世で親愛の情を向けられている前世が鬼の王の自分。少し複雑な気分だった。
『なにボォ~としてるんだ主人よ』
(うん、ああ、お前と出会った昔の事を思い出していたんだよ)
昔の事を思い出していたら、頭の中に話しかけられる。所謂念話というやつだ。
そしてその話しかけてきたのは、現在進行形で俺を乗せている青毛の巨大な馬だ。
僧正坊様や太郎坊様が言っていた。
俺という特異点に、良かれ悪かれ色々なモノが集まるさだめだと。
この漆黒の巨大な馬体を誇る名を「黒影」と付けられた馬。当然、普通の馬ではない。
僧正坊様や太郎坊様から言われた後、直ぐに出会った元大妖だ。
しかも日本の妖じゃないと言う。
本人……馬だから本馬か、どうでもいいか、本人曰く中華の大陸では、四凶の一角「饕餮」だったらしい。
饕餮の頃の膨大な妖気は今は無いが、俺と同じように馬の範疇を超えた力と耐久力。そして多少の怪我や傷など瞬く間に治る半妖に近い存在が黒影だ。
黒影曰く、大陸でも妖の現状は日ノ本と変わらず、殆どの妖や神仙は人との関わりを絶って存在していたらしい。
『俺もまさか日ノ本で馬になってるなんて思ってもいなかったさ』
(だろうな。俺も三度人間として生まれ変われるなんて思ってもなかった気からな)
『主人は最初は鬼だったんじゃないのか?』
(鬼になる前は、普通……じゃなかったが、まだ人だったんだよ)
黒影の前世、饕餮だった頃なら、その膨大な妖力で様々なモノに変幻自在に姿を変える事が出来たそうだ。
しかしお前が逢いに来てくれて良かったよ。
『ああ、妖気は感じなかったが、膨大な力の塊を感じたからな。気になって見に来りゃ俺と同じ様な存在だと気がついたさ。まぁ、俺は馬だけどな』
(それこそ俺にとっては幸運な出会いさ。黒影なら鎧兜を着込んだ虎慶を楽々乗せて疾れるだろう)
『やだよ虎慶なんか乗せるのは。重さは平気だけどあいつは馬術が下手過ぎる』
黒影が俺の「氣」に誘われて出会えた事で一番幸運だったのは、この時代には大きくなり過ぎた俺や六郎、大之丞、慶次郎達が乗る馬を得れた事だ。
それまで、地道に優秀で大きな個体を掛け合わせる事で解消しようとしていた俺達の馬問題が、黒影のお陰で解決できた。
体高が五尺四寸五分(約165.15cm)の黒影は、この時代の日ノ本の馬としては巨体と言っていい。
力と持久力に優れ、駆ける速さも普通の馬と比べ次元の違う速度で疾走する。
馬体のバランスは、在来の日本馬に近いが、その能力は別物だった。
嘗て四凶と呼ばれた大妖「饕餮」の力は、その身が馬として生まれ変わったとしても、その存在は強大だった。
お前の息子や娘達も長生きするんだろう?
『ああ、俺ほどじゃないと思うが、普通の馬の寿命ではないな。十五年は現役で働けるぞ』
(お前に至っては、俺と同じくらい長生きするんだろう?)
『いや、お前はもう人の域を超えてるからな。同じだけと言われると俺も分からんな』
この時代の平均を大きく上回る体躯を誇る、俺や慶次郎の巨体を乗せてもバテる事なく戦場を駆ける事が出来る馬を造る試みは、黒影というイレギュラーのお陰で解決する。
黒影と俺達が集めた優秀な牝馬との間に生まれた子供達も、黒影程ではないが馬の常識を超えた存在だった。
毛色は母親によって黒影のように青毛だったり青鹿毛だったり鹿毛だったりと様々だが、その能力はどの子供も馬の域を超えていた。
チラリと背後を見ると、慶次郎が「松風」と名付けた黒影の子に機嫌良さげに乗っている。
松風は、黒影と良く似た青鹿毛で、馬体も黒影に良く似ている。気性が激しい子だったけど、慶次郎が一目惚れして是非とも乗馬にしたいと願った。
まあ、松風に認められるまで時間はかかったが、今では人馬一体と言っても過言じゃない程乗りこなしている。
俺に轡を並べるのは、六郎と大之丞、後ろの慶次郎の横に虎慶が居る。
今日は、領内の視察と序でに治安維持の為の巡回だ。
『しかし主人の周りには、元妖ばかりじゃなく現役の妖まで居るじゃないか』
黒影が念話でそう言うとバサバサと羽音を立て、俺の肩に一羽の大鷹が止まった。
『私も現役じゃないよ。変化も出来なくなったし、強い雷もあまり出せなくなったんだから』
(変化出来るじゃないか。雀や鴉にも化けれるだろう)
『そんなの変化のうちに入らないんだよ』
(まあ翡翠も一度退治されてるからな)
肩に乗る大鷹と念話とはいえ会話できるのは、この翡翠と名乗る大鷹が妖だからだ。
今では随分と力を失ったものの、俺との付き合いは長く、元は平安の都で暴れていた大妖怪「鵺」だった。
『酒呑童子みたいに、退治されて人間に生まれ変わった訳じゃないから、まだマシだけどね』
(うるさい。酒呑童子って呼ぶな)
虎慶や楓はまだしも、黒影といい翡翠といい、どうして妖や元妖が俺の元に集まるんだろう。
俺がそう考えていたその時、前方の村の方で悪意を察知した。
「殿、某が蹴散らして来ます!」
慶次郎がそう言って松風を駆り文字通り風のように疾る。
右手に三日月斧槍を持ち、一直線に迷いなく駆ける。
俺達は、僧正坊様や太郎坊様から「氣」の運用を授けられた。
それは仙術とも呼ばれる技。
それにより気配を感じ取るだけじゃなく、その気配の悪意まで感じる事が出来た。
その俺達が察知した悪意は、北伊勢から流れて来た野盗の類いだ。
戦さ場から逃げ出した雑兵や足軽の成れの果てだ。
慶次郎の三日月斧槍が唸りを上げ、野盗を両断する。そこに置いてかれるものかと六郎が追撃して野盗を蹴散らす。
『野盗も災難だな。伊勢に来なけりゃ死なずに済んだのに』
『黒影の子達は身体がデカイからな。あんなのに突撃されたら怖いよ』
(怖いで済まないがな)
野盗はあっという間に討伐され、慶次郎と六郎が戻って来た。
「後始末は村の者に銭を渡して頼んでおきました」
「ご苦労、一周りして帰ろうか」
「「「はっ」」」
死体を埋葬する事は徹底させている。疫病の元になると説明して領内の者には浸透してきたと思う。
京の都では、辻々に死体が打ち捨てられ野晒しにされていると聞く。
大樹と管領細川氏とその部下の筈の三好氏で泥沼の権力闘争を畿内で繰り広げている。
もう足利幕府は倒すべきかもしれない。
俺は黒影を駆けさせる。
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早く帰らないと虎慶が五月蝿いからな。
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